リトル・ミス・サンシャイン (監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス 2006年 アメリカ映画)

ざっと書くとある落ちこぼれだらけの負け犬一家の一人娘が子供向けミスコンの出場資格を得たことにより、ダメダメなこの一家が一致団結?して娘を遠く離れた審査会場まで送り届けるというコメディ映画なんですな。 一家のメンツといえば怪しい自己啓発セミナーで一発当てたいパパ、ランチだというのに買ってきたフライドチキンとソーダしか出せない家事駄目ママ、「ファックじゃ!この世はファックなんじゃああ」と公言して止まないエロバカ爺さん、根暗で引き篭もりで誰とも口をきかないお兄ちゃん、ゲイの恋人を寝取られて自殺未遂しちゃった叔父さん、そしてただ一人天真爛漫なちいちゃなお嬢ちゃんの6人!このちょっとイタイ5人+普通の子1人が皆で押さないと発進すらできないオンボロバスに乗って審査会場を目指す珍道中!というもの。
まあしかしそれぞれ駄目だの負け犬だのと言いつつも、基本的に善人ばかりな訳ですよ。いくら外れているとはいえそこは市井の小市民、笑いあり涙ありのホーム・ドラマの範疇から外れていないと思います。こういうアホ家族モノって昔っから松竹か吉本の喜劇でよくやってなかったっけ?サンダンス映画祭で受けるようなお話ですからもう少し個性的かなと思いましたがそれほど尖った部分も感じられず、ラストは普通に家族賛歌で終わっていたような気がしますが。やっぱりここはもうちょっと強烈に、例えば、

・お父さん自己啓発セミナーだけではなく、さらにTV伝導師に入れあげていて、目がいっちゃった電波キャラと化している。常にウンコ色のスーツを着用!そしてそれを家族からあからさまに馬鹿にされている!得意技「演説」
・お母さん…家事が駄目なだけではなく人間も駄目という馬鹿っ母、識字率が低くいつもタラタラと喋る。常にゼリービーンズを携帯し、事あるごとに貪り食っている。得意技「アタシよくわかんなーい」
・爺さん…エロキャラなだけではない。爺さんはビスの付いたレザースーツに身を包みでかいグラサンをかけ、老人ホームで出会った婆さん連中に常日頃携帯で電話している。電話はいつも涎だらけだ!得意技「カーマスートラって知ってるか?」
・お兄ちゃん…まだ暗さが足りない。やはり衣装はゴス、顔は白塗り、ポータブルプレイヤーで常にゴス・ミュージックを最大ボリュームで聴いている。でも第3世界の惨状の映像を見ると何故か身をよじって嗚咽する。得意技「突然ヘッドバンギング
・叔父さん…今時ゲイなだけでは普通だ。ドラッグ・クイーンというのはどうだろう。勿論衣装は普段もドラッグ・クイーン仕様だ!当然羽根付き!暇なときはいつも鏡を見ている。時々シャンソンの歌詞から薀蓄のある言葉を引用し皆を感動させる!得意技「ディスコ・ダンス」
・お嬢ちゃん…この子だけ普通で良いんだが、何故か意味も無く自分をイヌイットだと思い込んでいる。だからいつもモコモコのボア付きジャケットを着用しているが、生魚が食えないため自己嫌悪に陥っている。そしてこの伏線は最後まで回収されない!得意技「アザラシ飼って〜」

…というキャラ設定で新たに脚本を作り直し、オレにこの映画誰か監督し直させてくれませんか?タイトルは「リトル・ミス・とげ抜き地蔵」で。

リトル・ミス・サンシャイン トレーラー