シャーロットのおくりもの (監督:ゲイリー・ウィニック  2006年 アメリカ映画)


ええとシャーロットというのはこの作品に出てくる小さな蜘蛛な訳でダコタ・ファニングちゃん(どうしても”ダコダ”と言ってしまう)でも子豚のことでもありません。世の中にはそれぞれ”シマ”というものがありまして、他所のシマからやってきて他のシマで好き勝手な事を言ったりやったりしても通用しない、という不文律があったりするんですな。そういった意味ではこの映画『シャーロットのおくりもの』ではオレは全くの部外者でしたなあ。この映画の原作は「児童文学の最高傑作」であり「19カ国4500万人」のファンがいらっしゃるということらしいですが、この圏内の方たちと「スプラッタ映画最高!血飛沫上等!臓物歓迎!」な鬼畜街道まっしぐらのオレのいったいどこに共通点があるというのでしょう。こういうオレがこの映画を観て「ヌルイ」だの「ツマンネ」とか言ってもしょうがないんですよ。ポケモンドラえもんのアニメを見て「いやんお子ちゃま向け」などと自明の理をほざいている様なもんですな。この場合ポケモンドラえもんに問題があるのではなくそれと知ってて観に行って落胆する側に責任があるんですな。そのぐらい最初から気付け、と。

ええ、そういうわけで涙と笑いと感動の素晴らしいヒューマン(アニマル?)ドラマです。CGやアニマトロニックスを駆使した動物達の動きやリップシングのシンクロは素晴らしいです。この自然さは一見の価値はあるでしょう。ダコタ・ファニングちゃん演じる少女はよくいる”理屈の上手い子供”って気がしてあんまり好きじゃなかったですが、ダコタちゃん自体は好きです。いやロリじゃないよ。ロリじゃないってば。でも酪農農家なんだから生産と生活が密接している訳だし、自分の家がどういうことを生業にしているのかぐらいこのお子ちゃまなら判りそうな気がしますが、やっぱりそういうこと言ったらいけないのかなあ。オレソーセージやベーコン大好きだから、世界中の豚が可哀想だからってツブサレなくなったら悲しいですね。ああでも主人公の豚以外はどうもこっそりツブサレているような気がしますがそれはどうなんでしょう…。

言ってしまえば子供に民主主義をどこでどういう風に教えるかという問題だろうと思うんですが、例えば子供の頃観たテレビアニメの『ジャングル大帝』は弱肉強食を撤廃した動物達皆仲良しのドラマが描かれるけれど、動物の擬人化はよしとしても結局こいつら何食って生きるの?という疑問は子供の頃にもありましたよ。あとどこかの宗教団体から渡されたパンフにもライオンと羊が仲良く草原で寝転がっている絵が描かれていましたが、これだって子供のオレが見ても嘘っぱちだろぐらいは判りましたね。いやーガキの頃から荒んでたんでしょうかね。そして今は穢れた大人になってしまったという訳ですかね。そういう穢れた大人のオレとしては農場で飼われている家畜の皆さんよりも、野生で生きてるネズミやカラスの連中を眺めているほうが感情移入できて楽しかったですね。ま、オレ様はネズミやカラス並みってことですかね。ファンタジーとして見るなら「奇跡」という言葉を強調し過ぎているような気がして、その辺の宗教臭にちょっと鼻白みました。

シャーロットのおくりもの トレーラー