魔法の話、その他の話

子供の頃の話。

手品を魔法と誤解していたガキだった。TVで観た手品。紙の封筒に入れた水をもう一度コップに戻すと、それはオレンジジュースになっていた。紙を紐状に切ってドンブリに入れ、お湯を注ぐとそれはラーメンになっていた。ガキのオレはやってみた。水はコップに戻しても水だった。紙はお湯で戻しても紙だった。何故TVのようにならないのか理解出来なかった。
また別の話。
小さなオモチャの手提げ金庫を買って貰った。そこにはお菓子のオマケを入れていたのだが、ある日、そこに仕切りを作ろう、と思い立った。オレは紙とハサミを持ってきてどう作ればいいのか考えた。今考えれば、単に紙を縦にしてそれを仕切りとし、そしてのりしろを作り、それを金庫の内側に貼ればいいのだということぐらいは思い付く。ところがガキのオレが思いついたのは紙を細い短冊に切り、それをどこまでも重ね合わせてその厚みで仕切りにしようということだった。何層も薄い紙を糊付けし、懸命に壁状にしようとするオレ。5mmほど作って挫折しました。
別の話。
2B弾を鳴らすのが流行っていた時期があった。爆竹の大き目の奴で、単発で鳴らすのだ。オレはまるで好きになれなかったが、友達と集まると必ず2B弾を鳴らして遊びたがる奴がいた。その日は友達同士集まり家の前の海で釣りをしていた。オレは釣りも好きではなかったが、近所の海は”うぐい”という名の駄魚が良く釣れた。バケツ一杯の”うぐい”が釣れた。2B弾好きの友達が「爆発させようぜ。」と言った。みんなはそれに同意しそして釣ったばかりの”うぐい”の口に2B弾を突っ込み、片っ端から爆発させて遊んだ。家の前には首の吹き飛んだ魚が何匹も転がっていた。
別の話。
そういえば親父はオレに子供らしい趣味をさせようと、オレに釣竿や野球のグローブを買い与えた。どれも嫌いだった。親父には野球の嫌いな子供と言うのが想像もできないものだったらしい。実際、ガキの頃から球技っていったい何が面白いのかまるで理解できなかった。今でも何の興味もない。
また別の話。
棄てられた小さな物置小屋を見つけ、そこに友達同士で集まって「基地」を作った。マンガや、お菓子や、オモチャを持ち寄って、みんなでそこで遊んだ。想像の中ではそこはSF科学基地だった。小銭をみんなで集めてそこに置き、貯まったらそれでお菓子を買ってみんなで食べた。ある日基地に置いてあったその小銭が消えてしまった。基地遊びはそれで終わってしまった。
そしてまた、別の話。