ネットで注文していたフィギュアが届く。McFARLENE TOYSの新作"CLIVE BARKER'S THE INFERNAL PARADE"である。
「地獄のパレード」。カーニバルの見世物小屋の怪しげな曲芸師やフリークス達がテーマの妖しく淫靡なフィギュアである。ファンタジーとホラーが合体したようなダークな造形と雰囲気が楽しい。ホラー作家であり、映画監督でもあるクライブ・バーカーが監修している。6体のセットなので、それぞれキャラクターのイメージなどを紹介してみましょう。
- TOM REQUIEM…この“地獄のパレード”の団長「鎮魂歌トム」。禿頭の黒人のハーレクイン、白塗りした顔には凄惨な笑みを浮かべ、黄色い目が鬼火のように輝いている。彼の本当の姿はカリブ海を恐れさせたブードゥーの導師なのかもしれない。海賊風のコスチューム、片手にはシルクハットを掲げ、矮人の陰気な道化を従え、パレードの先陣に立つ。そう、これから行われるのは、闇のカーニバルなのだ。
- BETHANY BLED…「出血ベサニー」。彼女は中世の悪名高い拷問器具「鋼鉄の処女」の中で微笑んでいる。半裸の体を覆うのは喪に服しているかのような漆黒の下着、そしてガーターのみ。邪淫の気に満ちた顔つき、腐りかけた果実のように熟れ切った肉体は、死の恐怖か、あるいは歓喜のせいなのか、ほんのりと薄紅に染まっている。彼女はこれから、鋭い鉄杭がヤマアラシの刺の様に伸びた鉄の処女の中に入れられ蓋をされる。あまつさえ、その後2本のサーベルが鉄の処女を刺し通す!閉じ込められた彼女の運命は?
- MARY SLAUGHTER…「屠殺屋メリー」。ベサニーが魔女なら彼女メリーは女戦士だ。鍛えられた肉体に無駄な脂肪はついていない。体中に掘られた密林の野獣の如き刺青は、彼女の肉体がどんな苦痛をも超えた所にいることを物語る。そして彼女はヨガの求道者でもある。彼女の両肩の肉を太い鉤が痛ましくも貫き、そして彼女はその鉤で屠肉のごとく、光輪のような意匠の鉄枠から吊るされるのだ!それだけではない。彼女は剃刀の様に研ぎ上げられた長剣を、鯰でも飲み込むかのごとくにその喉深くへと刺し入れる。ヨガの境地がこの危険な死の業を可能にするのか?
- GOLEM ELIJAH…「ゴーレム・エリジャ」。このエリジャについては謎が多い。人の姿をしているけれども、この醜さおぞましさは、この生き物が決して人ではないことを伺わせる。其れでは何だ?伝説のミッシング・リンクか?異常な分娩により生まれた畸形なのか?忌むべき疾病に冒された人のなれの果てなのか?それとも…噂通り、恐るべき科学実験で生み出された人造人間なのか?この生き物の生い立ちを知るものの累は全て絶え、今や謎と噂ばかりが生き残っているのだった。
- THE SABBATICUS…カーニバルを沸かすアトラクション――野獣の血塗れた鋭い牙の前に己が首を差し出す、命を掛けた見世物。しかしこの“地獄のパレード”ではちょっとだけ趣向が違う。道化の矮人がその首を曝す、腐肉の臭いの息を吐く邪悪な牙を持った生き物はありふれた野獣などではない。その生き物――山羊の角と獅子の両目、狼の牙と雷魚の背鰭、そして鷲の爪と大蜥蜴の皮膚を持つこの生き物は、地獄より召還された魔獣なのだった。
- FAMILY OF FLEAKS…パレードの最後に控えるこの“モノ”は、「畸形の家族」。呪いか、祟りか――人知を超えた狂気に満ちた理由からか、――彼らは目を背けたくなるようなおぞましい姿で出産されたが、この世で生きられる形をしていないばかりに、既に息絶えていたのであった。そしてその魂魄の失せた姿は、ホルマリンに満たされた壜の中に浸され、その中で彼らは永劫の夢の中でまどろむのであった。彼らにしか理解出来ない、歪んだ、超現実の夢の中で。
百聞は一見にしかず。興味をもたれた方はぜひWebSiteでこのフィギュアの悪夢のような恐るべき造形を楽しんで下さい。
McFARLENE TOYS:"CLIVE BARKER'S THE INFERNAL PARADE" / http://www.spawn.com/toys/series.aspx?series=180