2012-01-01から1年間の記事一覧

懐疑という名のパラノイド〜映画『裏切りのサーカス』

■裏切りのサーカス (監督:トーマス・アルフレッドソン 2011年イギリス/フランス/ドイツ映画) ジョン・ル・カレの小説は20代の頃によく読んでいた。とりあえず「寒い国から帰ってきたスパイ」から「リトル・ドラマー・ガール」あたりまではきちんと読んで…

絶対零度の抒情〜映画『ベルフラワー』

■ベルフラワー (監督:エヴァン・グローデル 2011年アメリカ映画) この『ベルフラワー』は、映画『マッドマックス2』に憧れ、その終末観に心酔し、改造車や火炎放射器を作って日々を過ごす二人の若者が、つきあっていた女に裏切られ、幻想的とも呼ぶべき暴…

最近読んだ本 / 日本をテーマにしたSFアンソロジー『THE FUTURE IS JAPANESE』

フィリップ・K・ディック賞特別賞を受賞した伊藤計劃『ハーモニー』ほか、日本SFの翻訳出版を精力的に進めるHaikasoru。同レーベルから刊行された、日本がテーマのアンソロジーをJコレクションにて凱旋出版。日本作家は、円城塔、小川一水、菊地秀行の書き下…

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』は急展開といつもの勿体付けが楽しいアニメだった!

■ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q (総監督:庵野秀明 監督:摩砂雪 前田真宏 鶴巻和哉 2012年日本映画) 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を観てきました。あちこちのサイトではもうすっかりネタバレされているようですが、ここではなるべくネタバレ無しで書こう…

『大神 絶景版』は流麗かつ美麗なジャポネスク・グラフィックが心を洗う大傑作日本神話ゲームだ!

血塗れFPSを愛好し毎晩殺伐としたゲームプレイに勤しむこのオレが最近やっているゲームは、古代日本を舞台にしたワンコロ・アクション・ゲーム『大神 絶景版』なのである(ワンコロではなくて本当は神の宿った白狼なんだけどね)。なぜにそんなゲームを!?…

名探偵ホームズとグチャグチャゾンビがくんずほぐれつ戦って、それはもう凄いんです。〜『ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ』

■ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ / イアン・エジントン、デイビッド・ファブリ 世にゾンビのネタは尽きまじ、とはよく言いますが、今度はなんとあのシャーロック・ホームズがゾンビ軍団と戦っちゃう!というアメリカン・コミッ…

アニメ『009 RE:CYBORG』はムズかしい話はどうでもよくてひたすら003を愛でる映画だったッ!?

■009 RE:CYBORG (監督:神山健治 2012年日本映画) この映画『009 RE:CYBORG』は1964年に描かれ石ノ森章太郎の代表作となったコミック『サイボーグ009』を現代的にリブートしたアニメ作品です。 コミックの『サイボーグ009』は子供の頃、秋田書店のサンデー…

一人の女性患者を巡るフロイトとユングの物語〜映画『危険なメソッド』

■危険なメソッド (監督:デヴィッド・クローネンバーグ 2012年 映画『危険なメソッド』は有名な精神分析学者フロイトとその弟子ユング、そしてユングの前に現れた総合失調症の女性患者ザビーナを巡る人間ドラマなんですね。 監督はかつて『スキャナーズ』や…

『HALO4』プレイしましたあ

さあ今年もいよいよ『HALO』の季節がやってきましたッ!前作『3』でHELOサーガも終わりかとやっと一安心しておりましたがそうは問屋が卸してくれなかったようで、「大人気シリーズにつき続投決定!」の掛け声と共にあれよあれよという間に開発終了、「まだや…

ホモセクシャルなスターリンと超能力を持つヒトラーがお手々繋いでヨーロッパを支配する世界を描いたSF奇想小説『青い脂』!!

■青い脂 / ウラジーミル・ソローキン 始まりは2068年の未来、雪深きシベリアの遺伝子研究所なのだ。この研究所ではトルストイだのドフトエフスキーだのチェーホフだの、ロシアの歴史的文学者の醜く変形したクローンを使役して、"これ"らが文学作品を創作する…

最近聴いたCD / Ricardo Villalobos、Terrence Dixon、FUNK D'Void、Ben Klock

■Dependent And Happy / Ricardo Villalobos Dependent And Happyアーティスト: Ricardo Villalobos出版社/メーカー: Perlon発売日: 2012/09/24メディア: CD購入: 2人 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見るミニマル・エレクトリック・ミュージッ…

最近読んだ本 / 時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタチスカ傑作選

二十一世紀に入ってからの東欧SF・ファンタスチカの精華、十か国十二作品を、新進を含む各国語の専門家が精選して訳出した日本オリジナル編集による傑作集。 東欧SFアンソロジーというのはこれまでもいくつか書籍化されているが、この『時間はだれも待ってく…

炸裂する銃撃戦、そしてインドネシア格闘術シラット!〜映画『ザ・レイド』

■ザ・レイド (監督:ギャレス・エヴァンス 2011年インドネシア映画) 麻薬王の篭城する30階建てのビルに突入したSWAT部隊が、殺し屋やゴロツキどもと熾烈な戦いを繰り広げながら最上階を目指してゆく、というインドネシア産のアクション映画です。 東南アジ…

映画の詐術、諜報活動の詐術〜映画『アルゴ』

■アルゴ (監督:ベン・アフレック 2012年アメリカ映画) 1979年、革命の嵐が吹き荒れるイランで、アメリカ大使館人質事件が発生。多数の大使館員が過激派の人質となったが、混乱の中6人がカナダ大使館に逃げ込む。しかし逃亡の発覚は時間の問題であり、アメ…

最近読んだコミック

感想書いてる暇もなくてすいません…。狼の口 ヴォルフスムント 4巻 (ビームコミックス)作者: 久慈光久出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2012/09/15メディア: コミック購入: 4人 クリック: 48回この商品を含むブログ (18件) を見るGANTZ 35 (ヤング…

電池交換6300円。そしていつもの日記

■電池交換6300円。 実はダイビングなんぞという趣味などまるで無いにもかかわらずコンピューター内臓のダイバーズウオッチを所有しているのだが、電池が切れたので交換しようと思い調べたら、なんと電池交換費用が6300円。もう一度書きますよ。電池交換費用…

レトロフューチャーなスチーム・パンクとダーク・ファンタジーが融合した秀逸なスニーキング・アクション・ゲーム『Dishonored』

レトロフューチャーな架空都市を舞台に、女王殺害の汚名を着せられた男が巨大な陰謀を追いつめてゆくFPSゲーム、それがこの『Dishonored』です。このゲームが面白いのはスニーキングとシューターの両方のアクション性を兼ね備えながら、どちらのやりかたでや…

最近聴いたCD ディスコ・ハウス篇

■Risco Connection / Risco Connection RISCO CONNECTIONアーティスト: RISCO CONNECTION出版社/メーカー: MUSICA PARADISO発売日: 2011/04/21メディア: LP Record クリック: 2回この商品を含むブログを見る1979から80年頃に活動し、全てのシングルがレア化…

ゾンビ・コミック2連発〜『ウォーキング・デッド 3』『アイアムアヒーロー 10』

■ウォーキング・デッド 3 / ロバート・カークマン ゾンビ禍により崩壊したアメリカの大地を彷徨う人々の悲痛な運命を描く大河ゾンビ・コミック、TVドラマ版も好調らしい『ウォーキング・デッド』の日本語翻訳版第3巻が発売されましたねえ。なんでもあとがき…

ダメダメ男とハチャメチャ爺さんの運命の出会い〜『レオン・ラ・カム』

■レオン・ラ・カム / シルヴァン・ショメ作 ニコラ・ド・クレシー画 この『レオン・ラ・カム』は『ベルヴィル・ランデブー』『イリュージョニスト』のアニメーション監督シルヴァン・ショメが原作を、『天空のビバンドム』『氷河期』のニコラ・ド・クレシー…

日々是日記

■某月某日 最近歯医者に通っていて何かとユウウツ。今日も口こじ開けられ指突っ込まれ奇怪な機械であれこれギギガガされていた…。 ■某月某日 発作的にWindows8Proを導入。アップグレード3300円だったもんだからつい。UIが結構変わってしまい戸惑うが綺麗にな…

『エル・トポ』のホドロフスキー原作、宇宙最強の傭兵一族の歴史を描くスペース・オペラ『メタ・バロンの一族』

■メタ・バロンの一族(上)(下) / アレハンドロ・ホドロフスキー、フアン・ヒメネス この広大な宇宙で最強最悪であり冷徹非道と謳われた殺し屋、メタ・バロン。彼の一族は古来より苛虐な肉体破損と親殺しを条件とした通過儀礼により、その血塗られた名を脈…

最近読んだ本 / 『夜の姉妹団』『いずれは死ぬ身』 柴田元幸 編・訳

■夜の姉妹団―とびきりの現代英米小説14篇 / 柴田元幸 編・訳 夜の姉妹団―とびきりの現代英米小説14篇 (朝日文庫)作者: 柴田元幸出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2001/05メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (23件) を見る 少女た…

「わたしゃ宇宙人のワンあるよ!」とイカ型宇宙人は言った〜映画『宇宙人王(ワン)さんとの遭遇』

■宇宙人王(ワン)さんとの遭遇 (監督:マネッティ兄弟 2011年イタリア映画) 中国語通訳を職業とする主人公が政府の秘密組織に連れられ、通訳を頼みたいと対面させられた相手は、なんと中国語を話すエイリアンだった!?というお話です。 最初、この変なタ…

もう"消耗品"なんて呼ばせねえッ!〜映画『エクスペンダブルズ2』

■エクスペンダブルズ2 (監督:サイモン・ウェスト 2012年アメリカ映画) あの"消耗品軍団"がさらに男臭く汗臭くパワーアップして帰ってきた!?という主演シルベスター・スタローン他数多くのアクション・スター皆々様が勢揃いで登場するアクション映画続編…

生きることのニヒリズムを超えて〜映画『スローターハウス5』

■スローターハウス5 (監督:ジョージ・ロイ・ヒル 1975年アメリカ映画) 映画『スローターハウス5』は、自分が最も敬愛する作家、カート・ヴォネガットの代表作である同名小説を、『明日に向かって撃て!』『スティング』のジョージ・ロイ・ヒルが1975年に…

もしもマリリン・モンローとアインシュタインが出会っていたら〜映画『マリリンとアインシュタイン』

■マリリンとアインシュタイン (監督:ニコラス・ローグ 1985年イギリス映画) セックス・シンボルと呼ばれた往年のハリウッド女優マリリン・モンローと相対性理論を生み出した天才アルバート・アインシュタインが出会っていたら、どんな会話が繰り広げられる…

最近ダラ観したBlu-rayだのDVDだの (その3) 『戦火の馬』『海の上のピアニスト』

■戦火の馬 (監督:スティーヴン・スピルバーグ 2011年アメリカ映画) 一頭の馬を通して第一次世界大戦の趨勢を追って行く、という映画ですね。なにしろ主人公は軍馬として戦場で使役されることとなった馬、この馬の周りに様々な人が現れては消えてゆくんです…

最近ダラ観したBlu-rayだのDVDだの (その2)『Black&White/ブラック&ホワイト』『アポロ18』

■Black&White/ブラック&ホワイト (監督:マックG 2012年アメリカ映画) 容姿も性格も三人並みの平凡な女性がある日突然二人のイケメン男性に惚れられたばかりか、その二人はなんと諜報機関の同僚同士だった!?という映画です。平凡な一般市民の女性とスパ…

最近ダラ観したBlu-rayだのDVDだの (その1)『セレニティー』『アーティスト』

■セレニティー (監督:ジョス・ウィードン 2005年アメリカ映画) この『セレニティー』は大ヒットした映画『アベンジャーズ』の監督ジョス・ウィードンが2005年に撮ったSF映画で、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、プロメテウス賞と有名SF賞を総なめにした作品で…