レトロフューチャーな架空都市を舞台に、女王殺害の汚名を着せられた男が巨大な陰謀を追いつめてゆくFPSゲーム、それがこの『Dishonored』です。このゲームが面白いのはスニーキングとシューターの両方のアクション性を兼ね備えながら、どちらのやりかたでやってもゲームを進められるということですね。実は自分はかなりスニーキング・アクションが苦手で、これは堪え性がないのと解法を考えるのが面倒臭いという横着な性格だからというのがあるんですが、そんなもんですからこの『Dishonored』も”スニーキング要素あり”と聞いただけで敬遠していたんですが、普通にガンガン敵ぶっ殺しまくってもクリアできるのを知り、さらになかなか魅力的な世界観に興味を覚えて、ちょっとプレイしてみることにしたんです。
ゲームの舞台となるのは疫病と圧政に苦しむ19世紀ビクトリア朝英国を思わせる都市ダンウォール。しかし進んだテクノロジーを有し、さらに魔法の概念まであるこの世界は、スチーム・パンクとダーク・ファンタジーを融合したような世界観を醸し出しているんですね。主人公は摂政伯爵により女王殺害の濡れ衣を着せられ投獄された男コルヴォ。しかしコルヴォは処刑寸前に王政派と名乗る組織の手助けで脱獄し、彼らの仲間となって摂政伯爵の陰謀を暴こうとするのです。さらに物語には”アウトサイダー”と名乗る超自然的な存在が現れ、コルヴォに超常能力を授けるのです。
この「超常能力」の存在がゲームを面白くしていて、例えば瞬間移動したり、暗視・透視能力を使ったり、時間を止めたり、鼠を呼び寄せて敵を襲わせたりなど、潜入行為に非現実的な要素を持ち込み、よくあるスニーキング・アクションとは一味違うものにしているんですよ。こういった特殊能力を駆使することで、よりスニーキングを容易にし、またゲーム・プレイに工夫のし甲斐が出てくるんですね。実は最初、スニーキングなんかうっちゃっておいて、敵を完全殲滅する形の無双プレイをしていたんですが、これはこれで消耗が激しい上に意外とすぐやられてしまい、それで苦手なはずのスニーキング・プレイにチェンジしてみたところ、潜入するための解法を見つけるのが面白くなってしまい、結局敵を倒さないスニーキング・プレイを楽しむ結果となってしまったんですね。なんかこう「行けそうで行けない場所」に辿り着いたとき瞬間がいいんですよねえ。
また、潜入のためのルートも複数あり、さらにサブ・クエストもやってもやらなくても一緒なようなお使いミッションじゃなく、そのサブ・クエスト自体がゲーム展開を変えてゆく、という、非常に物語に密接なシナリオとなっていて、さっくりプレイして終わらすつもりだったのが、ああでもないこうでもないとリプレイとやりこみ要素を繰り返すほどはまってしまっております。さらにダーク&レトロな世界観も素晴らしいのですが、これは『ハーフライフ2』でアートディレクションを務めたヴィクトル・アントノフ氏の参加があったからこそなのでしょう。二足歩行機械や光の壁あたりは確かに『ハーフライフ2』を髣髴させるんですよねえ。というわけでスニーキングの苦手なオレがはまったスニーキング・アクション・ゲーム『Dishonored』、あんまり注目になってないかもしれませんがこれ、結構面白いですよ。
http://www.youtube.com/watch?v=ucvR2adzQMQ:movie:W620
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