名探偵ホームズとグチャグチャゾンビがくんずほぐれつ戦って、それはもう凄いんです。〜『ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ』

■ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ / イアン・エジントン、デイビッド・ファブリ

ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ (ShoPro Books)
世にゾンビのネタは尽きまじ、とはよく言いますが、今度はなんとあのシャーロック・ホームズがゾンビ軍団と戦っちゃう!というアメリカン・コミック、『ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ』であります。もとより根強い人気のシャーロック・ホームズ作品、ロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウの映画『シャーロック・ホームズ』や、TVシリーズ『SHERLOCK (シャーロック)』など、ホームズは様々な形の作品として新たに世に生み出され、執筆されてから100年以上経つ今でもその人気は収まることがないのですが、まさか今度はゾンビと戦うことになろうとは、草葉の陰のアーサー・コナン・ドイル卿でさえ想像もしなかったでありましょう。う〜ん次はシャーロック・ホームズvs.エイリアンかな…。
さてお話はタイトル通り、19世紀ヴィクトリア王朝ロンドンに大発生したゾンビの大群に、ホームズがその知力を生かして戦いを挑む、というものになっております。さらにそのゾンビ軍団の背後には、な〜んと!あのモリアーティ教授の怪しい影がうごめいているのでありますよ!しかもお話は原作ホームズの『最後の戦い』の後、すなわちホームズとモリアーティが生死を賭した"最後の戦い"を繰り広げ、滝壺の底にモリアーティ教授が消えてしまったその後の時系列に設定されておるんですな。ではモリアーティ教授は生きていたのか!?いや、生きているというか死んでいるというか…その辺は読んでのお楽しみということで!
物語にはこのモリアーティ教授のみならず、ホームズの兄・マイクロフトやハドスン夫人、レストレード警部など、ホームズ作品にはお馴染みの面々が顔を揃え、勿論ホームズとワトソン君のコンビネーションもばっちりで、ファンを楽しませることでありましょう。事件を終息させるべく彼らが疾走するロンドンの街並みも、美麗なグラフィックで雰囲気たっぷりに描かれ、さらにスチーム・パンク的な味付けもそこここに施されており、特殊戦闘服に身を固めた英国軍ゾンビ討幕部隊がウェストミンスター橋に集結し、壮絶なゾンビ掃討作戦を展開する、なんてスペクタクルも用意されておりますよ。グラフィックは日本人好みの描線で取っ付き易く、誰でも素直に楽しめるゾンビ・エンターティメント・コミックとして仕上がっていますね。


ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ (ShoPro Books)

ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ (ShoPro Books)