■センチュリオン (監督:ニール・マーシャル 2010年イギリス映画)
ニール・マーシャルといえば『ドゥームズデイ』、『ドゥームズデイ』といえばヒャッハー映画の大傑作ということに異論を唱える方はおりますまい(まあ唱えてもいいけど)。いやあ面白かったなあ『ドゥームズデイ』、楽しかったなあ『ドゥームズデイ』。そしてそのニール・マーシャルの新作映画がDVDで出ていたというので早速観てみましたよ。日本じゃDVDスルーだけどきっと面白いよ!きっとね…!?
お話の舞台はローマ帝国時代、蛮族討伐に出かけたローマ軍が返り討ちに遭っちゃうところから始まるんですな。部隊はほぼ全滅、生き残った兵隊たちは捕まった隊長を助けようと蛮族の根城に忍び込みますが失敗、その時ガキ一人ぶっ殺して逃げますが、なんとこれが族長の息子だったからさあ大変、復讐の念に燃える蛮族たちは逃げるローマ軍残党をどこまでもどこまでも追いかけて行っては一人一人血祭りにあげていくわけです。ローマ軍残党兵士たちは生き延びることが出来るのか!?という物語なんですな。
でまあ観たんですが、ぶっちゃけ、これが相当つまんないんですわー。DVDスルーは正解、マーシャル・ファン、『ドゥームズデイ』ファンの人にも「別に観なくていいんじゃね?」って言いたくなるような出来なんですよー。物語りもメリハリに欠け、戦闘それ自体もまるで盛り上がらないんですよ。しかも観ていてどんどんしょぼくなっていくんですね。まあ血飛沫大サービスとか切り株てんこ盛りとかマーシャル監督らしいショットも結構あるし、オルガ・キュリレンコ演じるヒャッハーなメイクしたヒャッハー姉ちゃんは見所ですが、それ以外の登場人物が全然魅力無かったりするしなあ。だいたい「命を懸けて隊長を助けよう!」と出かけていって「やっぱ無理だから帰ろう!」とかって、かなーりずっこけましたよ!
なんかこうマーシャル監督、『ディセント』でホラー映画の新機軸を打ち出し、『ドゥームズデイ』でエポックメイキングなヒャッハー映画を作りましたが、この作品では史劇をキワモノ臭くなく描こうとして大失敗してしまったんじゃないかなあ。ちょっと「俺だってこういうのできるんだぜ!」っちゅう所見せたかったんですかねー。でもジャンル映画監督の看板を外すのはまだ早かったようですね。というより、実はマーシャル監督、ひょっとして、引き出しがもう無いんじゃないのか?と思うんですよ。例えば例の『ドゥームズデイ』だって、ある意味オマージュ連発の剽窃映画だったわけで、意外とこの辺でマーシャル監督の限界を現してたのかもしれませんよね。
面白いのは『ディセント』でバケモノに、『ドゥームズデイ』でモヒカンパンクに追いかけられる映画を撮り、実はこの映画でも蛮族に追いかけられる映画だったりするところですね。「追いかけられる」という設定だけでどう面白い映画を撮れるか、というのはアクション映画の基本だし、監督の資質を問われるところだと思うけど、ここで外しちゃうと力量不足なのかと思わせてしまいますね。
■センチュリオン 予告編
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