ジューク/フットワークを中心に最近聴いたエレクトロニック・ミュージック

RP BOO

Legacy Volume 2 / RP BOO

1990年代から発展してきたジューク/フットワークはアメリカ・シカゴを発祥とするEDMとダンスムーヴメントの総称だ。その特徴として、まずダンスに特化したゲットームーヴメントであること、重低音のベース、3連符を基調にした160bpmを超える高速かつ複雑なリズムを持つことが挙げられるだろう。シカゴ出身のRP BOOはそのオリジネイターの一人と言われるDJ/プロデューサーだ。アルバム『Legacy Volume 2』は彼が2002年から2007年にかけて制作した楽曲を収録したコンピレーションで、2013年にリリースしたデビュー作『Legacy』の続編的アルバムでもある。そのサウンドは微塵切りにされた高速リズムと痙攣的なサンプリングで成り立ち、混沌そのもののような剥き出しで生々しい音に満ち溢れている。いわばダンスミュージック・ジャンルにおけるパンクロック、それがジューク/フットワークだ。


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Signals in My Head / DJ Manny

DJ Mannyはジューク/フットワークジャンルで活躍するアメリカ・シカゴ出身のDJ/プロデューサーだ。彼が2021年にPlanet Muからリリースしたアルバム『Signals in My Head』は160bpmの超高速ダンスミュージックであると同時に、甘くロマンチックなメロディも兼ね備えた異色作である。あたかもLTJブケム全盛期のドラムンベースにR&B要素を加味したようなそのサウンドからは、ジューク/フットワークジャンルを飛び越えた甘美で強烈な魅力を感じさせるだろう。今回のオススメ。


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Double Cup / DJ Rashad

2013年にリリースされたアルバム『Double Cup』は、ジューク/フットワークのパイオニアであり、2014年に惜しくも亡くなったDJ Rashadが生前唯一残したフルアルバムだ。そのリリース元であるPartisan Recordsが創立10周年を記念し、オリジナルと別ジャケットでリイシューしたものが本作となる。アルバムはベース、ヒップホップ、テクノ、アシッド、ジャングルのるつぼとして機能し、ドライビングビートとゲットーファンクのワイルドな調合を実現した画期的な作品であり、その先鋭的なエレクトリック・サウンドは10年たった今でも色褪せない。


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HiTech / HiTech

HiTech [Explicit]

HiTechはアンダーグラウンドシーンで高い評価を得ているデトロイト出身のハウス/テクノ・プロデューサーOmar Sに見出された新世代のLo‐Fi Ghetto Techユニット。Milf MellyとKing Miloからなるユニットで、その音はデトロイトテクノ、シカゴゲットーハウス、マイアミベースを融合させたものとなる。やんちゃで元気がよくて楽しくてそして旬。


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Sator Arepo / Judgitzu

Sator Arepo

Sator Arepo

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Judgitzuはフランス生まれの音響技師であり音楽家のJulien Haironによるプロジェクトだ。「パンク民俗音楽学者」を自称する彼の音は、タンザニア音楽シンゲリの高速リズム、どんよりと濁ったドローンサウンド、マジカルなシンセ・トーン、そしてケルト神秘主義と古代のゼンハーモニック・スケールを探求した恐るべき複合ダンスミュージックとして完成している。ちなみにSator Arepoとは原始キリスト教や魔術との関連のあるラテン語の回文形式のこと。う~ん何から何までペダンチック


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