リー・ペリーはこれまでに膨大な数の曲やプロデュース作を製作しており、その全貌を把握するのは骨の折れる作業だが、一度「沼」にハマってしまったファンであればとことんズブズブと「リー・ペリー沼」の深淵を追い求め、その彼方にある(あるいは「沼」の最深部にある)「リー・ペリー真理」を獲得したいと願ってしまうものなのである。
これまでこのブログで「リー・ペリー”聖なる三部作”」「スーパーエイプ特集」「Pressure Soundsレーベルのリー・ペリー レア音源集」「リー・ペリーのインスト3部作」「リー・ペリーのプロデュース・アルバム」とリー・ペリーの足跡を辿ってきたオレだが、今回はいよいよ最後ということで「リー・ペリーのコンピレーション・アルバム」を幾つか紹介してみたい。
「リー・ペリーのコンピレーション・アルバム」というと「リー・ペリー”聖なる三部作”」という最強至高のコンピレーション・アルバム群が存在するが、リー・ペリーが作り上げた”聖なる”作品は実はそれら三部作で収まり入れるものではない。確かに”聖なる三部作”と比べるなら【完璧さ】という意味では見劣りするが、多少の脇の甘さはあるもののもっとリラックスしていたり遊び心のある曲を多く集めたコンピレーションは他にも多く存在するのだ。今回はそんな「リー・ペリー・コンピレーション・アルバム」を紹介してみたいと思う。
■Some of the Best / Lee Perry & Upsetter
68年から74年というブラック・アーク期直前までのLee Perry & Upsetterの音源を集めた編集盤。ちょっと古い時代のペリー・サウンドをまとめて聴くなら最良のアルバムだろう。ペリーの名を世に知らしめた「People Funny Boy」、ボブ・マーレー曲をDUB化した「Duppy Conqueror」など聴き所たっぷり。
■Soundzs From the Hot Line / Lee 'Scratch' Perry
70年代に録音されながら、なんらかの理由でリリースされなかった曲をオリジナル・テープから落としたというレア・トラック集。どの曲も遜色ないが、12分41秒に渡ってのったりと響き渡る「Free Up The Prisoners」や、テープの破損がひどく断片しか録音されていない「Truck13」などユニークな選曲が楽しい。
■Baffling Smoke Signal: Upsetter Shop 3 / Lee 'Scratch' Perry
Baffling Smoke Signal: Upsetter Shop 3
- アーティスト: Lee 'Scratch' Perry
- 出版社/メーカー: Heartbeat / Pgd
- 発売日: 2002/07/02
- メディア: CD
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Heartbeatレーベルからリリースされたリー・ペリーのブラック・アーク期レア音源集。これまたどの曲も充実した出来栄えで、この人のレア曲っていったいどうなってんだ?といつも思わされる。Aura Lewis & Full Experienceの「Full Experience」とかファンキーでええよー。
■Words of My Mouth / Lee 'Scratch' Perry
ペリーの狂いまくっている代表曲「Words」のバージョンをのっけから3連発かますという、編者は「やってやったぜ」とガッツポーズを取りリスナーは「わかってらっしゃる」と大いに頷くというWinwinなコンピレーション。冒頭はヘヴィだがその後もノリにノッてる時期の愉快なペリー・サウンドを堪能できる。
■Lee 'Scratch' Perry & Friends: The Black Ark Years - The Jamaican 7"s / Various Artists
Lee 'Scratch' Perry & Friends: The Black Ark Years - The Jamaican 7"s
- アーティスト: Various Artists
- 出版社/メーカー: Sanctuary
- 発売日: 2015/04/21
- メディア: CD
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Trojanレーベルからリリース、ブラック・アーク期のペリー・サウンドをCD2枚組44曲に渡って紹介するもうお腹いっぱいです!なコンピレーション。とことんマニアックだった「聖なる3部作」と比べるとこちらはキャッチ―かつポップ、さらに有名シンガーの代表曲を中心にまとめられ、全体的にライトな印象だし寄せ集めな感じもするのだが、決して悪くないコンピだ。
The Heptones (Upsetters style)-Babylon Falling.wmv
■Cutting Razor-Rare Cuts From The Black Ark / Lee Perry
Cutting Razor: Rare Cuts From the Black Ark by Lee Scratch Perry
- アーティスト: Lee Scratch Perry
- 出版社/メーカー: Heartbeat / Pgd
- 発売日: 2003/04/08
- メディア: CD
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Heatbeatレーベルからリリースされたブラック・アーク期未発表レア音源集。いやもうどんだけ未発表曲あるんだペリーさん!と思いつつ聴いてみるがやはりこのコンピも間違いのない良曲だらけ。全体的にキャッチ―でユーモラスな曲が多いだろうか。なにより凄いのはこのアルバム、相当レンタル屋に出回っていたのかその中古品が100円代でAmazonで投げ売りされていることだ。しかし音は確か、この機会に購入しよう!
Lee Scratch Perry, Cutting Razor (Junior Byles & The Versatiles)
■Complete UK Upsetters Singles Collection 4 / Lee 'Scratch' Perry
Complete UK Upsetters Singles Collection 4
- アーティスト: Lee 'Scratch' Perry
- 出版社/メーカー: Trojan Records UK
- 発売日: 2001/05/22
- メディア: CD
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68年、「People Funny Boy」の大ヒットにより一躍有名になったペリーは自身のレーベルUpsetterを立ち上げるが、TrojanレーベルがこれのUKリリースを請け負い、「UK Upsetter」というレーベル名で発売した100枚以上のシングルを全て集めたコンピレーション 「Complete UK Upsetters Singles Collection」。CD2枚組でVol.1~4の4Setリリースされておりその曲の総数はほぼ200曲(シングルはA面B面あるからね)!アルバム自体レア盤化して結構高額になっており、オレも4Set全て揃えていないが、とりあえずブラック・アーク期直前までの音源を集めたVol,4を紹介。ブラック・アーク期のペリー・サウンドを殆ど聴いてしまったオレとしては今、この時期のペリーさんに注目していて、いわゆるペリーさん黎明期の「シングル・ヒット・メイカー」としてのペリー・レゲエ・サウンドを楽しんでいる所。このスカスカだがよくハネるリズムとヤンチャな雰囲気がいいんだよなあ。
Alpha and Omega- Dennis Alcapone
■Black Arkives / Lee Perry
英Justice Leagueレーベルからリリースされたリー・ペリー73~75年の音源集。結構ヴォーカル曲寄りの選曲がされており全体的に賑やかで伸び伸びとしたコンピ。とはいえホーン・ダブ版「Vampire」が1曲つらっと仕込まれておりここだけ果てしなくどす黒く狂っている。ただ他のコンピ持っているならあえて揃えなくてもいいかも。
■The Best of Lee Scratch Perry: 20th Century Masters The Millenium Collection / Lee Scratch Perry
20th Century Masters: Millennium Collection
- アーティスト: Lee 'Scratch' Perry
- 出版社/メーカー: Island
- 発売日: 2004/05/18
- メディア: CD
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今世紀初頭Islandレーベルが多岐に渡るジャンルのアーチストを網羅した「20th Century Masters The Millenium Collection」というシリーズをリリースしたが、レゲエ代表として選ばれたのが我がペリーさん。全12曲でペリーさんの代表曲ヒット曲を余すところなく収録している感心なアルバムだが、逆にたった12曲だけでペリーさんの全貌など知れるわけもなく、良い選曲なんだけど「こんなの氷山の一角だよ!」と言い放ちたい気分になるのも確か。
Lee Perry - Dreadlocks in moonlight
■Meet Scientist At Black Ark Studio / Lee "Scratch" Perry & The Upsetters
Meet Scientist At Black Ark Studio
- アーティスト: Lee Perry & The Upsetter
- 出版社/メーカー: Observer Music
- 発売日: 2000/11/07
- メディア: MP3 ダウンロード
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ペリー・マニアにはよく知られていることだが、「リー・ペリー」の名を冠しながら実はペリーさんとは全く関係ない曲の入った怪しいアルバムが結構出回っているのである。で、このアルバムだが、ネットでバイオを調べても詳しい事が何も出てこないという困ったアルバムなのだ。アルバムタイトルを信じるならペリーさんの曲をScientistがブラックアークでミックスということになるが、どれもこれも信用できない。ただし曲自体は悪くないというのも困りもの。少なくともリー・ペリー・アルバムとしての購入は避けたほうがいい。