Pressure Soundsレーベルのリー・ペリー レア音源集

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イギリスに拠点を置くレゲエ/ダブ・レーベル「Pressure Sounds」は95年創設以来様々なヴィンテージ&レアなレゲエ/ダブ音源を発掘しリリースしてきた名門レーベルである。その中にはリー・ペリーの幾多もの驚くべきリイシュー盤も含まれている。

以前リー・ペリーコンパイル代表作として「聖なる三部作」を紹介したことがあるが、実際の所「Pressure Sounds」の業績は今現在それを超えるものがあるのではないかと思う。「Pressure Sounds」の、リー・ペリーに関するサウンド・チョイスとそのコンパイルの在り方は、テクノ/ハウス等クラブ・サウンドを経た後の音楽センスを感じるのだ。

それぞれの音源は未完成であったり音質が劣悪だったりしたとしても、今日的なリマスターとトリートメントを施すことでフレッシュなサウンドに生まれ変わっているのではないかとオレは想像している。正直、この2000年代に聴くべきリー・ペリーの音は、懐古的な名盤などではなく、この「Pressure Sounds」の厳選されたリイシュー盤なのではないかとすらオレは思う。

今回紹介する「Pressure Sounds」のリー・ペリー音源集に関しては、オレの調べた限り「Pressure Sounds」レーベルでリリースされた全てのリー・ペリー音源なのではないかと思うのだが、もし抜けているものがあればご教授願いたい。また、アルバムはそれぞれにテーマこそあるものの、紹介するオレの音楽的ボキャブラリーが貧困なため、それを補う形としてアルバムのハイライトと個人的に思える作品をYouTube動画でリンクしておいた。参考にされて欲しい。

■Voodooism / Lee Scratch Perry
Voodooism

Voodooism

 

Pressure Soundsリー・ペリー・コンピ第1弾、という事で最も力が入りまとまりがあり、そしてキャッチ―な内容になっている。収録曲はヴォーカル→ダブという流れになっていて、ペリーのブラックアーク・ダブ・サウンドをたっぷりと堪能できるだろう。今回あれこれ紹介する中でも「とりあえずこれ1枚買っとけ!」というアルバムだ。まあ、これを聴くと残りのリー・ペリー・コンピも聴きたくなっちゃうけどね!


Voodooism - Leo Graham

■Produced & Directed By Upsetter / Lee Perry
Produced & Directed By the Upsetter

Produced & Directed By the Upsetter

 

Pressure Soundsリー・ペリー・コンピ第2弾は第1弾よりもリラックスした曲が多いが、ブラックアーク後期のその音源はよりミニマルなリー・ペリー・ダブ・サウンドを構築している。要するにあのキンキンいうハイハット音満載。例によって収録曲はヴォーカル→ダブのセットで収録。


GUIDE LINE + DUB LINE ⬥George Faith + Upsettersv

■Divine Madness...Definitely / Lee Perry
Divine Madness...Definitely!

Divine Madness...Definitely!

 

2001年発売のこのコンピともなると段々とシブめになってくるが決して地味という訳ではない。噛めば噛むほど味わいの広がるリー・ペリー節を堪能できるのだ。収録曲はブラックアーク期初期から後期まで様々だが、その分ブラックアークサウンドの変遷は発見できるかもしれない。なおCD2枚組になっておりCD2にはBBCラジオにおけるリー・ペリーのインタビューが収録されているので英語の堪能な方は是非。


STAND UP + DUB FA YU RIGHT ⬥Eric Donaldson & The Keystones⬥ 

■High Plains Drifter:Jamaican 45's 1968-73 / Lee Perry & The Upsetters
High Plains Drifter:Jamaican 45's 1968-73 [帯解説 / 国内仕様輸入盤] (BRPS073)
High Plains Drifter:Jamaican 45's 1968-73 [帯解説 / 国内仕様輸入盤] (BRPS073)
 

このコンピからPressure Soundsは相当にレアなリー・ペリーサウンドを収集したアルバムを出し始めるが、実はここからがマニアにとって醍醐味となってくるのだ。まずこのコンピはタイトル通り1968年から73年までの、ブラックアーク期以前のリー・ペリーサウンドの妙味を味わえる。そしてこれが、意外に、いい。ブラックアーク超新星爆発前の激シブなリー・ペリー・レゲエがしみじみと堪能できる内容だ。


The Upsetters - Big Joke

■Sound System Scratch / Lee Perry and the Upsetters
Sound System Scratch [帯解説 / 国内仕様輸入盤] (BRPS68)
Sound System Scratch [帯解説 / 国内仕様輸入盤] (BRPS68)  

 ますますレア度マニア度を上げてゆくPressure Soundsリー・ペリー・コンピ集、今作ではダブ・プレートを中心に収録するが、2010年発売の段階で、これまでのどのリー・ペリー・コンピとも重複しないダブ・プレート作を収集し収録している時点で相当凄い。テープが劣化していたのか音質の悪さや不安定さが顕著なのにもかかわらず、逆にそのザラザラとした音の感触がカオティックな興奮を呼ぶ、という凄味に満ちたコンピだ。


Lee 'Scratch' Perry & The Upsetters - locks in the dublight ('76)

■The Return of Sound System Scratch / Lee Perry and the Upsetters
The Return of Sound System Scratch [帯解説 / 国内仕様輸入盤] (BRPS70)
The Return of Sound System Scratch [帯解説 / 国内仕様輸入盤] (BRPS70)
 

リー・ペリーの激レア・ダブ・プレート集第2弾は前作からまたさらにマニア度を上げてゆくが、同時に「これまでも散々コンピ組まれていたのに、まだまだ未発表曲未収録曲で、おまけにここまで完成度の高い曲が存在するのか!?」と唖然呆然とすること必至の驚愕コンピである。個人的には1作目よりもキレッキレの内容になっていると思う。それはより実験的な作風のものが多くなり、ダブやレゲエすら超越したコンテンポラリー・ミュージックへと肉薄しているように感じるからだ。

  
I'VE GOT THE GROOVE DUB ⬥George Faith & The Upsetters⬥ 

 ■The Sound Doctor - Black Ark Singles and Dub Plates 1972 -1978 / Lee Perry and the Upsetters

前作『The Return of Sound System Scratch』でレア・ダブプレート・サウンドの極北まで掘り尽くしてしまったPressure Soundsだが、今作ではもう一度基本に立ち返り、ブラックアーク期前後のシングル&ダブプレートを紹介する。ヴォーカルの冴えるゆったりと力強い曲が多数収録され、リー・ペリーサウンドは本来ダブではなくヴォーカリストを活かすサウンドを産み出す為に進化してきたという話を思い出した。そういった部分でレゲエのエッセンスを味わえる一作だ。

 
Bobby Floyd - Sound Doctor  

■Roaring Lion / Lee Perry & His Upsetters
Roaring Lion [帯解説・国内仕様輸入盤] (BRPS082)
Roaring Lion [帯解説・国内仕様輸入盤] (BRPS082)
 

依然として快進撃を続けるPressure Soundsリー・ペリー激レアコンピ、今作で披露するのはリー・ペリーがかつてリリースした曲の初期ヴァージョンや未発表ヴァージョンだ。だから聴いたことのある……と思って聴いていると微妙に違っていたり、かと思えば途中からどんどん展開が変わったり、というマニアック過ぎる曲ばかりが収録されている。なにしろ思うのは「よくこんなレア曲見つけてきたな……今までどこに転がってたんだ」ということばかり。Pressure Sounds恐るべし。

  
Althea & Donna - Loco Negril - Late Black Ark

■Mr Perry I Presume / Lee Perry & Various Artists
Mr Perry I Presume  -  STARRING LEE PERRRY AS THE UPSETTER [輸入盤CD] (PSCD089)_157
Mr Perry I Presume - STARRING LEE PERRRY AS THE UPSETTER [輸入盤CD] (PSCD089)_157
 

もはや【レア曲の鬼】としか表現しようがないPressure Soundsが2015年にリリースした今の所最新のリー・ペリー・レア盤コンピである。ライナーノーツによるとブラックアーク期以前の曲のリミックス、未発表曲、ブラックアーク期最期に録音されたエクスクルーシブ・トラックなどなどが収録されているという。ここまで来ると真のマニアにしか何がどう違うのか分からないかもしれないが、それ以前に曲のクオリティは高く、レアだマニアだといった事を無視しても十分に楽しめるリー・ペリー・アルバムであることに間違いはない。


Lee Perry - Don't Be Afraid