ソーナム・カプールが美しい結婚詐欺師を演じるコメディ作品『Dolly Ki Doli』

■Dolly Ki Doli (監督:アビシェーク・ドーグラー 2015年インド映画)


結婚詐欺団が主役となり、あちらこちらで詐欺事件を繰り返しちゃうが!?という2015年公開のインド映画です。主演は日本公開作品『ミルカ』でヒロインを演じ、近作『Khoobsurat』でもその魅力をたっぷり見せつけてくれたソーナム・カプール。結婚詐欺に遭って仕返しを考えている男に『Queen』のクソ野郎ぶりが香ばしかったラージクマール・ラーオ。また、アイテム・ガールとして『ディル・セ 心から』の「Chaiyya Chaiyya」や『ダバング 大胆不敵』の「Munni Badnaam Hui」などの名ソングで踊っていたマライカ・アローラ・カーンが登場しているのも嬉しいですね。それと、とあるボリウッド・スターがカメオ出演していますのでお楽しみに。

《物語》ソーヌー(ラージクマール・ラーオ)はとんでもない美人のドリー(ソーナム・カプール)と結婚し、ウハウハの初夜を迎えたものの、彼女の差し出したミルクを飲んだら正体不明、気が付くとドリーが姿を消していたばかりか、家じゅうから金目のものが奪われていた!?そう、実はドリーこそはインド中を騒がせる結婚詐欺団の女だったのだ!詐欺団はドリーの父母やその他の家族の振りをしてカモの一家に近づき結婚を取りまとめ、初夜のその日にカモ一家を薬で眠らせ金品を強奪していたのだ。それから数か月後、今日も今日とて新たなカモの家で嘘八百並べるドリー&詐欺団一家だったが、そこに思わぬ訪問者が。なんとそれは、かつて彼らが騙したソーヌーだった!?さらに詐欺団の存在を嗅ぎつけた警察官ロビン(プルキト・サームラート)も、捜査の範囲を狭めていたのだった。

さてこの『Dolly Ki Doli』、上映時間96分とインド映画にしてはちょっと短いかな?と思わせる作品なんですね。以前オレはTwitterでこんなことを書いたんですが、


実は「1時間半」の映画ってこの作品の事だったんですよ。まあ「ヤル気あんのかオイ」というのは冗談なんですが、それよりもこの作品、最初から1時間半のフォーマットがあって製作された作品じゃないのかと思わせるんですよね。インド映画界もシネコン化が進んでいるそうですが、特に都市部などではこの作品のように短い時間で観られる作品が必要とされているんじゃないのか、と勝手に推測しているんですが。

というのはこの作品、上映時間の短さからサクッと観られて手軽に楽しむことのできる作品である、というのが第一点にあり、そのかわり第二点として物語の膨らみには欠けてしまう、というマイナス部分があるんですね。結婚詐欺団が登場し、あれやこれやの詐欺シーンが描かれ、でもそこに大きな危機が訪れ、さてその結末は!?というプロットがストレートに語られてゆきますが、それは物語の体裁としては十分なものがあります。主演がソーナム・カプールということで、いわゆるボリウッド・アイドル映画として楽しめるし、主人公の「本当の恋の存在」もきちんと描かれ、あっさりとではありますがエモーショナルさもあります。カメオ出演のスターにもびっくりさせられることでしょう。

こういった点で、娯楽映画の機能はきちんと果たしてはいるのですが、長い上映時間の中にいろんなものを盛り込んだインド映画に慣れ親しんでいると、物足りなさを感じてしまうのも確かなんです。それは登場人物の性格の掘り下げ不足であったり展開の単調さであったりもします。短いなら短いなりにこの辺も工夫のしがいがあったのでしょうが、プロットを語ることで終わってしまっちゃってるんですね。そういう部分で、決して退屈ではなかったのですが、及第点以上でもなく、ソーナム・カプールが素敵だっただけになんだかちょっともったいない気にさせられた映画でしたね。