ハングオーバーシリーズ完結篇『ハングオーバー!!!最後の反省会』は誰も二日酔いになんかなっていなかったッ!?

ハングオーバー!!!最後の反省会 (監督:トッド・フィリップス 2013年アメリカ映画)


飲みまくって記憶が飛んじゃい目を覚ましたらとんでもないことに!?という『ハングオーバー』シリーズの最新作、3作目にして完結篇の『ハングオーバー!!!最後の反省会』ですが、なんと今回、本筋に関わる部分では誰も二日酔い=ハングオーバーしてません。泥酔もしてないし記憶も飛んでない。タイトルに偽りありです。まあしかしそんなに何度も酒飲んで失敗ばかりしていたら(正確には薬盛られてたりもしてましたが)、人としてどうとか言う以前に「性懲りも無くまた同じネタで焼き直し映画かよ」と飽きられるとでも思ったのでしょう。
確かに1作目の『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(2009年)こそハチャメチャな展開と「記憶を取り戻す」という推理要素が功を奏した傑作コメディでしたが、2作目『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』(2011年)は1作目を超える為により一層のドギツイ展開とサディスティックで暴力的な要素が用意され、逆にそんな部分が単なるやりすぎに思えてしまい、個人的にはまるで【笑えない】作品として全然好きじゃありませんでした。で、この3作目はどういう映画かというと、1作目で最もイラッとさせてくれたヒゲ面の不愉快なデブと、2作目で最もイラッとさせてくれた中国人の不愉快なデブが、物語の中心となっているんですね!いやーこりゃ不安だわ!
物語はマフィアの金塊を奪った中国人デブをおびき寄せるために、中国人デブのただひとりの友人と目されるヒゲ面デブと彼に関わってる友人が危険な目に遭わされる、といったお話です。まず中国人デブは単なる基地外です。そしてヒゲ面デブはボーダーライン系の人格障害者です。たった一人でさえ相手にしたくない基地外人格障害者の二人を同時に相手にしなければならないその他のハングオーバー・メンバーのてんてこ舞い振りを笑う、というのが今回の見所ということになるのでしょう。
結論から言うと、基地外人格障害者という1作目2作目からお馴染みの「人外」の者同士が中心となっている、ということがあらかじめ判っている分、安心して観ることが出来る作品でした。まともな人間だったらこんなことはしないだろうと期待するからイラッときますが、もはや相手は「人外」だと判っているのですから、後は「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」みたいな怪獣映画だと思って観ていれば楽しいのです。だからこそ逆に、人格障害者のヒゲ面デブが人間臭い感情を見せると、「ド腐れヤンキーが堅気になって立派に家庭養っている」ことが「一般の人が立派に家庭養っている」ことよりも賞賛される「落差の法則」が適応され、妙に情緒を刺激されたりもするんですね。まあ人格障害者に変わりはないし現実には一切関わりたくない類の人間ですが。
ところで1作目『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』、2作目『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』、この3作目『ハングオーバー!!! 最後の反省会』のそれぞれの邦題を見て気づくことがあります。それは「ハングオーバー」の後に付く「!」マークがそれぞれの作品のナンバリング数に対応しているということですな。いやあ実にどうでもいいことですいません。ちなみにタイのアクション映画『マッハ!!!!!!!!』は「!」マークが8つありますが「マッハ」の「ハ」の語呂合わせで8つなのでしょうか。これも判ったからといって人生に何かの活路や指針が見つかるといったことでは一切ないどうでもいいことではありますな。重ね重ねどうもすいません。