『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』はマジにイラつくヤツの出る映画だ!

■デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜 (監督:トッド・フィリップス 2010年アメリカ映画)


どこの世界にも疫病神みたいなヤツっていうのはいるもんですな。そいつ自身にはなんの悪意も無く故意にやったものでもないにもかかわらず、そいつといるだけで災難が降りかかってくるようなヤツ。災難というものではないにしても、そいつといるとなんだか知らないけど苛立たされてこっちのペースはガッタガタ、そのせいでうまくいくはずのものがうまくいかなくなってくるようなヤツ。まあそんなヤツがいたら近付かないのが得策というものでありますが、これが職場や縁故の人間だったらそうもいかないので大変であります。ましてやそんな疫病神みたいなヤツと二人っきりで5日間旅しなければならなくなったとしたら!?この映画『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』はそんな映画なんでありますな。

お話はというと仕事先のアトランタから自宅のロスアンゼルスへ行きたい男がとんでもないヤツの車に乗ってしまい、こいつのせいで信じられないような大災厄に次から次へと見舞われてしまうというもの。ロサンゼルスに行きたい男の名前はピーター、彼は5日後に予定される妻の出産に間に合わせる為に飛行機に乗ろうとしたんですが、訳の分からんアホのせいで搭乗拒否、さらに財布や身分証の入った鞄は飛行機に乗せられたまま飛び立ってしまいます。家に帰る術も無く途方に暮れているピーターの目の前に現れたのはさっきのアホ男!「僕の車に乗りなよ!」と誘うその男イーサンの車に、背に腹は変えられぬピーター、ついつい乗り込んじゃうんです。そしてそれがピーターに地獄の始まりだったのでございます…。監督は去年公開されたコメディ映画『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』が大絶賛されたトッド・フィリップス、ピーターに『アイアンマン』シリーズのロバート・ダウニー・Jr、アホ男を『ハングオーバー!〜』でもイラつくヤツを演じていたザック・ガリフィナーキスが配役されております。

しかしこのアホ男イーサン、馬鹿っちゅーかアホっちゅーかマヌケっちゅーかなにしろダサくトロ臭くドン臭く頭が悪くぼーっとしてて無神経で不快で不愉快でひたすら苛立たせムカつかさせる男なんですよ!おまけにヤク中な上不細工でむさ苦しくてババッちくてメタボで髭で髪の毛なんかパーマ当てててさらに父親の遺灰をコーヒーの缶に詰めて持ち歩いているような男なんですわ!まあこのうちオレ自身にも当てはまる部分が多々あって少々怖気立ちますが、なにしろそんだけ負のオーラに満ち満ちたダメダメ男なんでございますよ!この男のせいでピーターは常に苛々しっぱなし、その挙げ句怪我はするわ死に掛けるわ警察に捕まるわ、もうボロボロにされちゃうわけなんですな!いやーオレがもしこんな男と一緒にいたらぬっころしちゃうかもしれんて!しかしそんな疫病神男と付き合わされる羽目になったピーターは、我慢に我慢を重ねて旅を続けるんです。ここん所、ピーター役のロバート・ダウニー・Jrは声にも表情にも感情を出さず押し殺したような演技に終始し、逆にブチ切れ寸前の危ない状態を表現していて、そこがまた面白かった。

監督トッド・フィリップスの笑いの質って、ひたすら登場人物をサディスティックにいたぶり続けて笑いを引き出すというところにあるようですが、これが結構キツイもんですから観る人によってはかなり引いちゃう部分があるかもしれませんね。前作『ハングオーバー!』でも抜けてる歯に関するエピソードはあまりに痛そうで笑うよりも背中がぞわぞわしたもんな。トッド・フィリップス監督作品では他には『恋愛ルーキーズ』というのを観たぐらいですが、こちらも嗜虐の度合いがきつ過ぎて後半まるで笑えなかったという映画だった…。そういった部分で観る前は危ぶんでいましたが、前作みたいな凝った構成は無いにしろ、これはこれでストレートなコメディ・ロード・ムービーとして楽しめました。ただやっぱりねえ、こういう映画では最後に主人公同士友情が芽生えてお仕舞いというのが定番ですが、なにしろ相手の人間が疫病神なんだからオレだったら絶対友情なんか育まないし、何があっても心を許しちゃいけない、絶対こいつとは縁を切るべきだ、と思いましたがね!

■デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜 予告編


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