最近読んだコミック / 食の軍師、毎日かあさん(7)、GANTZ(30)

■食の軍師 / 泉昌之

食の軍師 (ニチブンコミックス)

食の軍師 (ニチブンコミックス)

泉昌之がデビュー30周年なんだそうである。忘れもしないあのデビュー作『夜行』、そしてそれが収録されていた単行本『かっこいいスキヤキ』by青林堂。面白かったなあ。何度繰り返して読んだかわからないなあ。オレの友達もハマって読んでいた。しかしあれから30年ってオレまだあんとき10代だったってことなのか…(遠い目)。今回発売された『食の軍師』単行本の巻末には泉昌之30年の単行本リストが載っていて、これを眺めるだけでも昔日の思いである。この中で思い出深いのは『ジジメタル・ジャケット』。今は無き駅前の本屋で買ったのだが、レジの女の子が表紙絵のあまりの下らなさに手にとったとたん絶句し、その後レジ打ちしている間中ずっとクスクス笑っていた…。この『食の軍師』は例によって「トレンチコートのおっさん」がおでんやらラーメンやら焼肉やらの庶民的な食いもんを頬張りながら食う順番やら心構えやらの無意味な能書きをグダグダと垂れるというあまりに素晴らしい漫画なのであるが、今回いつもと違うのは敵役としてフード付きジャンパーがトレードマークの「力石」なる人物が出てきて「トレンチコートのおっさん」と対決(というかおっさんが勝手に敵だと思っている)するという展開なのである。しかも、なんとおっさん、この『食の軍師』であのいまどき勘違いしまくった帽子を脱いでいるのだ!「トレンチコート」シリーズの新機軸ともなる30周年にふさわしい名作ということができよう。そしてあの必殺の決め台詞「旅になんて でなきゃよかった」が最後に炸裂するというファンにとっては心憎いばかりに嬉しい作品でもあるのだ。それにしても焼肉を食う順番…今度オレもやってみよう…。
ジジメタルジャケット (単行本コミックス)

ジジメタルジャケット (単行本コミックス)

毎日かあさん(7)ぐるぐるマニ車編 / 西原理恵子

毎日かあさん7 ぐるぐるマニ車編

毎日かあさん7 ぐるぐるマニ車編

子育ては続くよどこまでも、あれだけやんちゃだった西原の子供たちも手がかからない歳になり、それが逆になんだか寂しい西原の心の中なのである。そしてまた、元旦那である鴨志田の死が少しづつ遠い日のものとなり、その悲しみが浄化されると同時に記憶から薄れることへの疚しさが西原の胸の内に去来するのである。おおおおなんだよこれ、今気づいたよ、西原って、文学じゃないかよおい。

GANTZ(30) / 奥浩哉

GANTZ 30 (ヤングジャンプコミックス)

GANTZ 30 (ヤングジャンプコミックス)

多恵ちゃんを追って異星人の巨大宇宙船に乗り込む玄野計。そこで彼が見たものは新たな地獄だった…。しかしこの巻、なんか変な展開な気がする。人間の登場人物はみんなすっぽんぽんでおチン様おマン様丸出し、多恵ちゃんを助けるオヤジは「俺…ロリコンなんだ」とか突然言い始めるし、玄野の多恵の救出作戦も随分行き当たりばったりのような気がする。なにより異星人の造形や文化が少しも面白みがなく、さらにこの展開、まだまだずっと続きそうな気がする…。作者はちょっと軌道修正するべきじゃないか。