新世紀エヴァンゲリオン(9)初回完全限定版 綾波レイ・アクションフィギュア付き 貞本 義行(著)

〜オレと綾波,オレとエヴァ
買ったよ…。買っちまったよ…。今一部で話題になっている綾波フィギュア付きマンガ版エヴァ第9巻。綾波全身可動だよ…。今パソコンの上に座らせてます。か、可愛い…。
エヴァにははまったな。DVD11枚組BOXも持ってるよ。フィギュア(食玩じゃないよ)もレイとアスカ、それぞれ4体づつ(プラグスーツ2バージョン、学生服、水着)持ってるな。それ以外にコミック7巻の特別版サンタ姿レイとアスカのフィギュア。これはコミック7巻にはどちらかが特典になってるので、オレは両方買った。つまり7巻は2冊あるのだ。サンタ姿のアスカのほうは去年のクリスマスからずっと、会社の自分の机に飾ってあったりする。
エヴァのアニメの前半は、実によくアニメーションしてた、つまり良く動いてたのがよかったね。SF的な設定も面白かったよ。特にポジトロンライフルのエネルギーを集めるため、日本中の電力をエヴァの元に送る、っていうアイディアなんか馬鹿馬鹿しくて良かったなー。妙にリアリティーに拘ってる所がね。
で、問題の後半なんだけど。実はオレ、エヴァ後半のグジャグジャした部分が一番好きなんだよ。ラストの2話なんて訳判んないとか言うけど、一歩間違えば宗教に行っちゃうしかない「原理」な危うさ、こんな危険な臭いさせてる作品がアニメ以外でもあるか?
エヴァとSF〜
だいたいそもそも「人類補完計画」って言葉、SF作家 コードウェイナー・スミスの「人類補完機構」からきてるんだろうし 、映画版での「人類補完計画」が発動された最終的なビジュアルはグレッグ・ベアのSF「ブラッド・ミュージック」(凄い好きだった。ラスト泣けます)の(ネタばれ注意)『アメリカに住む全ての人々が遺伝子改変され、その肉片が”思考する細胞”として雲霞のごとくアメリカの空を飛び交うクライマックス』そのままだったし。あとなにより、「世界の中心でアイを叫んだケモノ」ってのはSF者なら知らないもののいないハーラン・エリスンの短編のタイトルそのものだしな。(エヴァがこれにオマージュするならいい。だけどなんだ、片山恭一とかいう奴の小説でTVだか映画だかになった「世界の中心で愛を叫ぶ」ってのはよ。こいつの場合は単なる美味しい言葉のカッパライだよ。エリスンの小説はタイトルと裏腹な暴力的な内容だったからカッコよかった。こいつのオハナシは要するに世界の中心で「一発やりたい!!」って叫ぶことなんだろ?)
〜「サイテーだ、オレ」〜
そう、何しろ映画版がオレは一番好きだ。オープニング。昏睡状態の女(アスカ)に「僕を叱ってよ!助けてよ!」とわめくクソ男(シンジ)。揺すった体の胸元が弾け女の生オパーイハケーン。すかさず1本抜く男。手の中に放出されたテメーの精子。それを見ながら男、独白。「サイテーだ、オレ」。かあああああああああっ!!!ほんっっっっと、サイテー!!!この下劣さ、卑屈さ、自己否定と自己憐憫。これ、オレのことじゃねえかよ!!!
戦略自衛隊に突入され虐殺の限りを尽くされ血の海死体の山になるネルフ本部のシーンも好きだ。一方的な殺戮。それは屠殺。権力の気分次第で軍隊は幾らだって人を殺せるし、そして日本で軍隊は自衛隊だ。自衛隊員とはいえそれは本質的には国民であり市民である以上オレ等だって自衛隊員として人をぶっ殺す/ぶっ殺されることが100%有り得ないなんて言えないのだ。
で、クライマックスへとドロドロになりながら突き進むのね。アスカはああなっちゃうしレイはこうなっちゃうし。レイとアスカ、あれは何だろうな。レイは男にとって夢の女なんだよ。不可思議で神秘的なんだ。つまりは母だしね。アスカは現実の女だ。現実は融通が利かない。現実は時として裏切る。現実は巧く付き合わないと足をすくわれる。でも、人は現実でしか生きていけないんだ。だから、シンジは最終的に、アスカを愛するしかなかったんだ。ラストのアスカとシンジのシーンって、要するに「胸糞悪い現実ともう一度対峙する(首を絞める→攻撃する/抱きしめる)」ってことなんだろ。(ただわざとアニメファンってヤツを裏切ろうしてた意図が見え見えで、『エヴァ』という物語全体のラストとしてはバランス悪いよな。いや、もともとバランスの悪いお話なんだけどさ)
エヴァとロボットアニメの構造〜
作家であり評論も多数ある橋本治氏によれば、ロボットアニメというのは、少年が大人の肉体(鋼鉄のロボット)を手に入れて大人の社会(敵ロボット)と対決していく、いわゆる成長物語なんだそうだ。ただ問題は、大人の肉体を操縦するのは少年の心であり、肉体を脱ぎ捨てると少年に戻っちゃう、つまりいつまでたっても大人の心を獲得できない、ここにロボットアニメの齟齬がある、ということらしい。ロボットアニメ好きの方、身に覚えありませんか?
エヴァもこうした見方をすると面白い。親父(ゲンドウ)のやってる会社(ネルフ)に入社したシンジ。会社には素敵な先輩(ミサト、リツコ)、可愛い同僚(レイ、アスカ)がいて、時々心乱れる。シンジは仕事(エヴァに乗る)を任されるが巧くいったり行かなかったりする。終いには「こんな会社(ネルフ)なんか辞めてやる!」とかいって荒れる。だんだん仕事を覚え自信が付いてきたシンジ。しかし筆頭株主(ゼーレ)が会社(ネルフ)の株(エヴァ量産機)を他所へ委譲(ネルフの見切り)し、ゲンドウはゲンドウで使い込みがバレ(人類補完計画の個人的な運用)、会社もろとも自爆だああ、とばかりに滅茶苦茶なこととなり、シンジの心は又しても揺す振られる事となるのであった。…ってどう?割と辻褄合うでしょう?
〜助けてアスカ、助けて〜
そういえば惚れてた女に心の中で「アスカ」と名付けてたのは何を隠そうこの私です。で、仕事が辛くなると心の中で「助けてアスカ、助けて」と泣いていたのもこの私です。いっぺん、この女が目の前にいた時、試しに「アスカ」と呼んでみたら「はぁぁ〜〜??」とか言ってました。当たり前だろオレ!重症だぞオレ!! 「…サイテーだ、オレ。」