国立新美術館『ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション』を観に行った

この間は六本木にある国立新美術館へ『ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション』を観に行きました。

《展覧会概要》ドイツ第4の都市、ケルン市が運営するルートヴィヒ美術館は、20世紀から現代までに特化した世界有数の美術館です。その優れたコレクションは、市民からの寄贈をもとに形成されてきました。本展覧会では、館名に名を冠するルートヴィヒ夫妻をはじめとするコレクターたちに焦点を当て、ドイツ表現主義新即物主義ピカソロシア・アヴァンギャルド、ポップ・アートなど、絵画、彫刻、写真、映像を含む代表作152点をご紹介します。

ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション|企画展|展覧会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

展示は「ルートヴィヒ美術館とその支援者たち」を描く作品を紹介する「序章」から始まり、「ドイツ・モダニズム」「ロシア・アヴァンギャルド」「ピカソとその周辺」「シュルレアリズムと抽象」「ポップアート」「前衛芸術」「70年代以降のドイツ美術」といった7つのテーマに分けられます。

どのテーマの作品も非常に密度が濃く、さらに明確なカラーが感じられ、コレクターであり作品寄贈者でもあるルートヴィヒ夫妻、並びにヨーゼフ・ハウプリヒの審美眼の高さを否応なくうかがい知ることができるんです。ピカソをはじめとする著名画家の作品も多数展示されていましたが、それよりも、今まで知らなかったアーチストや目にしたことがなかった作品の質ですら相当に高く、己の不勉強を恥じながらも目を奪われ続けた美術展でした。

例えば「ドイツ・モダニズム作品」は素朴さと抽象とがせめぎ合いながら強烈なコントラストを表出させていたし、「ロシア・アヴァンギャルド作品」はもっと掘り下げて観てみたくなりました。「ピカソとその周辺作品」はピカソに関連付けられた作品展示が絶妙で、「シュルレアリズムと抽象作品」「前衛芸術作品」ではこのテーマにおける非常に充実した作品が並んでいました。「ポップアート作品」などは、自分は全然このジャンルの作品を知らなかったんだな、と思い知らされるほどでした。

さらに今回の展示では、写真作品が思った以上に良い作品が多く、これも目を見張らされました。実は写真作品って今までピンとこないものが多くて、オレには向いてないのかな、と思っていたんですが、今回の展覧会で開眼させてもらいました。

それと展示作品とは関係ないのですが、今回行った展覧会はそれほど人が多くなく、伸び伸び鑑賞できたというのも大きいですね。そもそも、しばらく美術館に行ってなかったのは、観に行くといつも人が多くて毎回うんざりさせられていた、というのもあるんですよ。

そんなわけでとても質が高く充実した展覧会でした。では例によって気になった作品をざっと紹介しましょう。本当はここで紹介した以上に素晴らしい作品が多く、これはもう実際観に行って確認してもらうほかないほどです。

ヴィリ・バウマイスター《立つ人物と青色の面》

ホルスト・バウル・ホルスト《マンボッシェのコルセット》

カジミール・マレーヴィッチ《スプレムス 38番》

パブロ・ピカソアーティチョークを持つ女》

ヴォルフ・ホステル《コカ・コーラ

ロバート・ラウシェンバーグ《アマガエル》

ジェームズ・ローゼンクイスト《無題(ジョーン・クロフォードは言う…)》

モーリス・ルイス《夜明けの柱》

ギュンター・コッカー《大きな螺旋II》

トーマス・ルフ《h.t.b.03》