バットマンとジョーカーが熾烈な全面戦争を繰り広げるというDCコミック『バットマン:ジョーカー・ウォー』。その感想は以前拙ブログに書いたが、その「ジョーカー・ウォー」の背後で他にどんな戦いが繰り広げられていたのか?を描いたのがこの『ジョーカー・ウォー:コラテラル・ダメージ』だ。この『コラテラル・ダメージ』にはバットマンはほとんど登場しない。その代わりに活躍するのがバットマンと共闘を誓う仲間たち、バットガール、ナイトウィング、レッドフードであり、ハーレイ・クインやキャットウーマンといったかつてはバットマンと敵同士だったヴィランである。
この『コラテラル・ダメージ』は上下巻で刊行されており、それぞれに短編サイズの物語が幾つか収められた体裁になっている。また、イラストレーターが各話ごとに違うのでそれらを見比べるのもまた楽しく、ある意味お得感を感じる。では上下巻の内容をざっと紹介してみよう。
ジョーカー・ウォー:コラテラル・ダメージ<上>/ サム・ハンフリーズ他 (著)、ライリー・ロズモ他 (イラスト)、中沢 俊介 (訳)
バットマンとジョーカーの大激戦を描いた『バットマン:ジョーカー・ウォー』。 その物語の裏では、ナイトウィング、バットガールといったバットファミリーの面々もジョーカーの毒牙にかかり、 それぞれ死闘を繰り広げていた……。 DCの大型イベント『ジョーカー・ウォー』の本編につながるサイドストーリーが日本オリジナル編集で刊行! 上巻では、ハーレイ・クイン、バットガール、ナイトウィング、レッドフードの活躍を収録!
「第1章:笑いのオチ」はハーレイクインとパンチラインという「元・現ジョーカーのカノジョ同士」が掴み合いの戦いを繰り広げる。丸っこい顔したハーレイが可愛い。
「第2章:体を張ったジョーク」はバーバラ・ゴードン/バットウーマンの部屋にジョーカーが強襲を掛ける。脊椎を痛めているバーバラの捨て身の戦いが息を飲む。
「第3章:闇からの訪問者」「第4章:自我を懸けた戦い」「第5章:新しい家族」では自分がナイトウィングであった記憶を失ったリチャード・グレイソンが主人公となる。彼はジョーカーから誤った記憶を植え付けられ、バットマンファミリーを窮地に堕としいれる。
「第6章:レッドフード断章」では2代目ロビンだった男レッドフードが登場。ジョーカー・ウォーによって混乱したゴッサムで戦う彼はパンチラインの陰謀に巻き込まれる。
ジョーカー・ウォー:コラテラル・ダメージ<下>/ダン・ジャーゲンズ他 (著)、ライアン・ベンジャミン他 (イラスト)、中沢 俊介 (訳)
バットマンとジョーカーの大激戦を描いた『バットマン:ジョーカー・ウォー』。その物語の裏では、ナイトウィング、バットガールといったバットファミリーの面々もジョーカーの毒牙にかかり、それぞれ死闘を繰り広げていた……。 DCの大型イベント『ジョーカー・ウォー』の本編につながるサイドストーリーが日本オリジナル編集で刊行! 下巻では、ナイトウィング、バットウーマン、キャットウーマンの活躍を収録するほか、本国で刊行された短編集『ジョーカー・ウォー:ゾーン』も収録!
「第1章:ジョーカーの息子」「第2章:覚醒」ではジョーカーに偽りの記憶を与えられたナイトウィングの陰謀によりバットガール、レッドフード、ロビンに危機が迫る。洗脳され暴れ回るナイトウィングを「いい子に育った」と涙ながらに眺めるジョーカーが可笑しい。
「第3章:ウェイン社急襲」は混乱するゴッサムにバットウーマンが登場しピエロども叩き潰す。そしてバットマンと共闘しジョーカーの手に落ちたウェイン社を取り戻そうとする。
「第4章:踊りの神髄」はキャットウーマンがアンダーブローカーによって乗っ取られたウェイン社の口座を奪取しようと画策する。詩情に満ちた1作だ。
「第5章:面会人」ではアーカム精神病院に捕らえられたベインの元にジョーカーが訪れる。不気味な余韻を残すラストだ。
「第6章:家族の絆」は黒人バットマン・バットウィングがジョーカー・ウォーの混乱の中家族を守ろうと戦いを開始する。
「第7章:象徴」はキッズなガーディアン、スポイラーとオーファンが登場。ポップな絵が楽しい。
「第8章:エデンの灰」ではジョーカーの騒乱に楽園を荒らされたポイズン・アイビーが怒りを爆発させる。
「第9章:道化師狩り」ではバットマンに失望した少年がクラウンハンターとなりピエロどもを狩りだしてゆく。