最近読んだコミックその他

ヤングアニマル 2021年 9/24 号 

去る5月に急逝した三浦健太郎のメモリアル特集号。三浦の描いた『ベルセルク』最後の原稿が掲載されている。実は『ベルセルク』は単行本でしか読んだことがなく、雑誌の判型で読むのは初めてなのだが、この判型ですら息苦しくるほどの書き込みがなされており、改めて驚愕した。「なんでこの大きさコマに登場人物が10人も描かれているの?」と思う場面ばかり。いやこれは魂削るわ……。凄い、と思うのと同時に「ここまで描かなければならなかったのか」とすら思えてしまった。しかも今回の話、とんでもないところで終わっている……。三浦はここからいったいどうするつもりだったのだろう。このメモリアル号には付録として親交の深かった漫画家による特別寄稿小冊子「Messages to KENTAROU MIURA」、さらに『ベルセルク』名場面ポスターが附けられていて、ファン必携だろう。オレは三浦の個人的側面はあまり知らなかったのだが、小冊子からは生前の彼の人となりが伺え、いかに彼が愛され尊敬されていた人物だったのかを知ることになった。それにしても『ベルセルク』はこれからどうするのだろう。12月に発売される第41巻で本当に終わってしまうのだろうか。しかし今回の第364話で未完の終了だとしても、十分余韻のある終わり方だったのかもしれない。三浦の魂に安らぎあれ。

ゴールデンカムイ(27)/野田 サトル

ゴールデンカムイ』もいよいよ佳境に入り、終幕に向けて思いっきりドライブがかかっている感じ。おまけにこれまで隠されていた真実がこの巻で次々と明かされ、怒涛の展開過ぎて泡を吹いてしまった。そもそも濃い話だが今回は輪をかけて濃厚であり、残虐かつ猟奇的なシーンと残酷な運命がこれまで以上に描かれ、闇はさらに黒々と深まっていく。こんな物語にいったいどんな幸福な結末を期待すればいいのだろう。これは次巻が待ち切れないでしょ……。

ダンジョン飯(11)/九井 諒子

この『ダンジョン飯』もまたいよいよ佳境じゃないですか。大量の狂暴なドラゴンと対峙するライオス、という絶望的なシーンから始まりつつ、それを切り抜けた後に待つさらなる恐るべき展開、これは目が離せませんわ。ファンタジーを知り尽くした作者があらゆるファンタジー知識を総動員して練り上げられた物語は圧巻の一言。

アンダーニンジャ(6)/花沢健吾 

全体的に妙にダルイ雰囲気で描かれながら突発的に凶悪な暴力描写が飛び出すところが面白い『アンダーニンジャ』、話が進んでいるんだか進んでいないんだかさっぱり分からないのだが、なんだかこの作品も佳境に向かっているような気がする。向かってないかもしれんが。いきなり次巻で終わりでもいいような微妙なテンションの作品なのでこれからも適当に読んでおきます。

クマとたぬき(1)(2)/ 帆

大自然の中で生きるクマとたぬきの交流を描くほのぼの動物漫画。オレも最近動物漫画が多いな。癒されたいんだろうな。しかし数ある動物漫画の中でなぜ本作が気に入ったのかというと、それは主人公となるのが「クマとたぬき」だからなんだな。実はオレ、相方からクマ呼ばわりていて、一方相方は常々たぬきに自己投影しており、つまりは「クマとたぬき」とは「オレと相方」であり、そういった感情移入をして読んでいるんだよ。そういった部分を離れても里山の四季をそれぞれのテーマにし、季節ごとの違う動物たちの生態を描いている部分で読み所のある作品なんだよな。2巻は若干ネタ切れ気味になっているんだが、まあのんびり楽しんでるよ。しかし「樹木」が主人公となり会話している回とかある意味凄かったな。

総特集:諸星大二郎―怪を語り、快を生み出す―<大増補新版> (文藝別冊) /諸星大二郎

この間『諸星星大二郎展』を観に行って興奮冷めやらぬまま河出から出ていた『諸星大二郎総特集』を購入し読んでしまった。インタビュー、作品論、作品リストなどで構成されているが、未発表作品が掲載されているのがなにより目玉で、『失楽園』の元となった1972年執筆作『恐るべき丘』などは超貴重作だろう。また、諸星のロングインタビューでは彼の作品が論理性よりも非常に感覚的な側面から描かれているのが伝わってくる。確かに知識量はハンパないのだろうが、それを論理性でもって構築してゆくのではなく、脳内ミキサーにかけて磨り潰し「不気味さ・気持ち悪さ」に特化した別個の形を与えているのが諸星作品なのではないのか。諸星作品を人類学や民俗学的切り口から論じる作品論も掲載されてはいるが、そういったアカデミズムからスルリとすり抜け、あくまでも物語の持つダイナミズムで牽引してゆく、そういった部分が諸星の面白さなのではないか、そんなことを思った。

諸星大二郎 デビュー50周年記念 トリビュート/諸星大二郎

さらに諸星関連本、こちらは「デビュー50周年トリビュート」ということで諸星を敬愛してやまない様々な漫画家が一同に会し、諸星作品のパロディ・二次創作を通して海よりも深い諸星愛を吐露するという作品群となっている。そういった意味で全体的に私的で極ゆるい作品が並ぶけれども、それよりも彼らがいかに諸星を敬愛しているのかが十二分に伝わってきて、その諸星愛は読んでいるこちら側の諸星愛ともシンクロし、まるで諸星さんファンクラブの飲み会に参加しているかのようなぽかぽかとして暖かい気持ちになってくる。それにしても唐沢なをきの高密度情報量による諸星漫画は大爆笑だった。