ハーレイ・クイン誕生を描く危険な愛の物語 /『ハーリーン』

ハーリーン / ステファン・セジク (著)、石川裕人・御代しおり (訳)

ハーリーン (DC BLACK LABEL)

なぜ彼女は犯罪界の道化王子と恋に落ちたのか―― 若き犯罪心理学博士ハーリーン・クインゼル。お局サマにいじめられ、同僚とクダをまく平凡な研究生活を送っていた彼女だったが、その研究内容に興味を持ったウェイン財団のバックアップで、犯罪者の心理分析のためアーカムアサイラムに赴く事となる。そこで出逢ったのは、ゴッサムの凶悪なヴィラン達……そして犯罪界の道化王子ジョーカーその人だった。 次第にジョーカーの危険すぎる魅力に惹かれていくハーリーン。彼女を待つ運命とは……

ハーレイ・クインといえばジョーカーの恋人として知られ、映画『スーサイド・スクワッド』のみならず『ハーレイ・クインの華麗なる冒険』でも映画化されているDCコミック・キャラクターでありスーパー・ヴィランの一人である。オレも実は結構お気に入りのキャラで、フィギュアも持っているしDCコミックを題材にした格闘ゲームではハーレイ・クインを使っていたりするのだ。

DCコミック・ブラック・レーベルからリリースされた『ハーリーン』はこのハーレイ・クインが誕生するまでが描かれたコミックとなる。スーパー・ヴィランとなる以前、彼女はハーリーン・クインゼルという名の犯罪心理学博士であり、犯罪者の心理分析を行うためゴッサムの犯罪者専用精神病棟アーカムアサイラムで研究を始めるが、そこでジョーカーと知り合い、彼の蠱惑的な魅力と狂気に取り込まれてゆくのだ。

このコミックでハーリーンは非常に表情豊かで魅力的な女性として登場し、読者は容易く彼女に共感し好意を感じることだろう。そんな彼女が研究対象であるジョーカーに次第に魅せられてゆく過程は、危険であると同時に熱烈なロマンス作品を読まされているような気分になってくる。一方ジョーカーは単に彼女を利用しようとしていただけにも関わらず、ジョーカーなりの奇妙な愛で彼女を受け入れる。そう、この物語は、歪でありながらも一つの愛の物語であることに間違いないのだ。 

この物語のジョーカーがこれまたジョーカー史上最高のイケメンとして登場していてニマニマさせられる。まるでロックスターか映画俳優を思わせるような色男なのだ。凶悪な犯罪者である以上に強烈なカリスマ性を持った存在として実に巧みに描かれている。これじゃあ確かにハーリーンもイチコロだ。また、ハーリーンが狂気に至るその引き金となったのがトゥーフェイスと化したハービー・デントの存在であるといった展開もDCコミック的な面白さに溢れていた。

ハーリーン (DC BLACK LABEL)

ハーリーン (DC BLACK LABEL)