■バットマン:笑う男 / エド・ブルベイカー、ダグ・マーンキ、パトリック・ジーカー
ゴッサム・シティの廃工場で顔を笑ったように醜く歪め白く変色した死体が大量に発見されます。それはゴッサム・シティを死と混乱の街に変えようと企むジョーカーの最初の挨拶状だった…というのがこのコミック『バットマン:笑う男』です。解説によると本書は『バットマン:イヤーワン』の直接的な続編として企画され、さらにジョーカーの初登場作品をリメイクしたものだということなんですね。バットマンとジョーカーの初顔合わせの物語は『ウォッチメン』のアラン・ムーアが原作を務めた既約作『バットマン:キリングジョーク』をはじめ、これまでにも数多く描かれているらしいのですが、"闇の男"バットマンが"虚無の男"ジョーカーと初めて対峙する、というテーマはなぜこれほど好まれるのでしょう。ジョーカーは常に謎と不条理に満ちた存在であり、その異常さが最も驚きを持って迎えられ、さらのバットマンを混乱の極みに陥れるのが彼の初登場のときだからこそ、こうして何度も「ジョーカー初登場」の物語が再話されるのでしょうか。
なおこの『バットマン:笑う男』ではジョーカー初登場作「笑う男」の他に、バットマンとグリーンランタンが連続殺人事件の謎を追う「ウッドキラー」も収録されています。