■どげせん(2) / RIN, 板垣恵介
田代まさし似のあいつが帰ってきた!土下座に訳の分からない屁理屈付けまくって読者を唖然愕然呆然とさせる究極の土下座漫画、「どげせん」第2巻!第1巻では主人公の紹介を兼ねてじっくりとしょうもない土下座哲学を描いていたが、この2巻ではドッカンドッカン土下座の花火が打ち上がる!だいたい【介助土下氏】ってなんやねん!思いつきだけでモノ言ってるだろオイ!そして今回は宿敵も参上だ!ってかそもそも土下座の宿敵って意味がわかんねえ!さらに思いっきり笑わせてくれたのは組み体操ピラミッド土下座!ありえねー!土下座すりゃあいいってもんじゃないだろ!ナニ考えてんだこいつ!いや、実は何も考えてないような気がする!
もはや日本漫画界で最高最凶と言ってもいいゾンビ・パニック・ホラー漫画、「
アイアムアヒーロー」の新刊だが、全巻ラストで「まさかああああ!?」と驚愕させた女子高生・比呂美ちゃんのあんなことがこんなことになって「なにいいいいい!?」とまたしても驚愕させられるオープニング!そしてアウトレットモールに篭城する生き残りグループを目指す主人公一行だが、実にロメロな展開ににんまりさせられつつ、この漫画ならではの独自な流れを見せているのがまた面白い。やっぱりここは「本当に怖いのは実は人間」といったお話になってくるのだろうか。次巻が楽しみです。
相変わらず血管ブチ切れそうな勢いでリキミまくる男、大作家
芸術大学生・ホノオモユル君のマンガ道を描く「
アオイホノオ」6巻目だ!例によって能書きばかり多く寄り道ばかりして努力しない割には仲間へのジェラシーに
アオイホノオを燃やす主人公だ!お好み焼きの上にかかったマヨネーズだけで3ページもグダグダなんか言ってたりとかこいついったいナニがしたいんだ!しかしこのグダグダ感がたまらなくイイ!そして主人公とは別に
庵野秀明はじめ
ガイナックスの母体となった連中の青春時代も描かれているこの物語、クライマックスではいよいよあの
岡田斗司夫の登場を予感させている!しかしそれにしても…トンコちゃんホンットに細っこいなあ!
ああ…やっと出た「
西遊妖猿伝 西域篇」の3巻。もっと飛ばして描いてくれないとこの調子では完結はいったいいつになるのか…。「
西遊記」を諸星の独自な視点で描くこのマンガ、中国西域を舞台にしてから文化圏が中華的なものからどんどん遠ざかり、中東ソグド人に
ゾロアスター教というオリジナルの「
西遊記」からはかけ離れたイメージで描かれてゆくのが実に面白い。この作品は「
西遊記」を材にとりながら古代
シルクロード沿線の移り変わってゆく文化圏とその文化に根ざした「怪しのもの」を描こうとしているのだろう。そのエキゾチズムが堪らなく想像力を刺激する。今作でも不気味なクリーチャーと呪術が乱れ飛び、「裏
シルクロード」とも呼ぶべき物語が展開する。
■主婦の生活 完全版 / 山上たつひこ
ギャグマンガの天才、
山上たつひこが80年代半ばに
ビッグコミック、スーパーアクションで連載していた作品の単行本化。この作品のことはまるで知らなかった。3作収録の「主婦の生活」では若妻を主人公にしながら、「おろし金」「住居改築」「スーパーに置き忘れられたレジ袋」を題に取り、日常生活の裏に潜む奇妙な陰謀を描くが、この陰謀というのが非常に想像力豊かな企み事ばかりで、ある種
推理小説さえ思わせるものがある。連作「夫婦漫才」ではごく普通の夫婦と暴走気味の姑が主人公となるが、なにしろこの姑が破壊力たっぷりのキャラクターで、山上らしいギャグが連発される。それにしても山上は本当に凄いなあ。