最近読んだコミックあれこれ

■ベアゲルター(2) / 沙村広明

ベアゲルター(2) (シリウスKC)

ベアゲルター(2) (シリウスKC)

ウオオン!沙村広明の『ベアゲルター』2巻がやっと発売だ!1巻目から2年も待たされたよ!『ベアゲルター』は昭和任侠にバイオレンス映画の要素を盛り込んで現代に蘇らせたようなお話で、ぶっちゃけ『キル・ビル』のあの雰囲気を日本を舞台にやっちゃいました!ってな感じの作品なんだよね。作者は「中2テイスト任侠活劇」とも言っていたな。なにしろ主役となる3人の女が一癖も二癖もある連中ばかり、一人は日本人のいわゆる"ズべ公"(まあここは意外と普通)、一人はロシア人で隻眼義手の殺し屋、一人は拳銃の仕込んだヌンチャク(!!)を操る中国人格闘家、とまあ狙い過ぎで嬉しくなっちゃうようなキャラなんだよね。で、1作目は日本のどこかにある"売春島"を舞台にヤクザ絡みの死闘がド派手に演じられるわけだが、どうも背後にとんでもない設定らしきものが見え隠れしていたんだよ。で、この2巻でその物語の核心となるものが描かれるのだけれども、これがもう世界規模で繰り広げられる不気味な陰謀ってェヤツで、物語世界がいきなり広がっちゃうんだよ。同時に3人の女もキャラクターを掘り下げていっていて、これがまた物語をより面白くしているんだね。さらに作者の好みらしいエロ要素も満載、いやもうこれはとんでもなく快作だなあ。問題は次の巻もまた2年も待たされるの?ということなんだが…。

西遊妖猿伝 西域篇(6) / 諸星大二郎

ウオオン!いつの間に出てたんだ『西遊妖猿伝 西域篇』第6巻…。アマゾンでも品切れだったから本屋探し回っちゃったよ…。さて今回の第6巻、ひょっとしたら『西域篇』最大の盛り上がりを見せるんじゃなかってぐらいの展開を見せてるんですよ。孫悟空と二人の仲間の都合3人と、追撃隊の騎兵200騎との大立ち回りが演じられるんですね。3対200の数の差がありながら、地の利を生かした策略でもって敵兵を次々に倒してゆく悟空と仲間たち、諸星さんこんなにアクション展開巧かったっけ?と思っちゃうほど盛り上がりまくるんですよ。そして作者十八番のグヂャドロなオカルト展開もガッツリ見せてくれます!さらにこの8巻では外伝版の『逆遊奇談』が収録されているんですが、これがオカルト密室殺人事件てな風情の作品で、諸星さんこんなのも描けたのか!?と驚いちゃうような佳作でしたよ。

■あもくん / 諸星大二郎

ウオウオオン!(くどい)諸星大二郎の短編作品集なんていつの間に発売されてたんだあ!どこの書店も品切れでしばらく探し回ったぞう!…というわけでこの『あもくん』なんですが、怪談専門誌「幽」において2004年から10年以上連載していたものをまためた作品集となっております。内容はある男の平凡な日常に起こる奇妙な出来事を描いたものなんですが、諸星さんらしい少しボヤッ…とした日常が、夢かうつつか…といった不気味な雰囲気を醸し出しているんですね。ただどうも本当に日常のちょっとしたことからの思いつきで作られていて、「後ろに誰かがいるような…」といった似たような話が多いんですよねえ。その辺ちょっと物足りなかったなあ。むしろ最後に収められている、自分の子供に語って聞かせたというお話をまとめた短編小説集「ベッドサイド・ストーリー」のほうがみるものがありました。

エリア51(10) / 久正人

エリア51  10 (BUNCH COMICS)

エリア51 10 (BUNCH COMICS)

エリア51全体を吹き飛ばすというサトリの少女・ネモリを殺すため、アメリカ軍は、エリア51全住民を避難させ、あることを行おうとするが…?」という今回の『エリア51』、「全てを予知するサトリをどう殺すのか?」という命題に主人公マッコイが挑みます。なぜエリア51が崩壊しちゃうのか?という理由はちょっと強引過ぎる様な気もしましたが、今回も面白かったからまあいいや。 "サトリ事件"終結後、さらに幾つかのエピソードも収められております。

■フォービリオンナイツ 久正人傑作短編集 / 久正人

久正人の未発表初期作も含む3編が収録された短編集。実は作者の初期長編『グレイトフルデッド』が個人的にイマイチだったので2001年の初期作2作「或る仇討の話」「カマイタチの日」は若干心配もあったが、どうしてどうして手堅くまとまっており楽しめた。「或る仇討の話」はちょっと『キックアス』入っているしね。そして2009年作「フォービリオン・ナイツ」、これが実に面白い!"科学博物館分館剪定課"なる架空の秘密部署が挑むのは日本の妖怪!という展開がイカス。なにしろ主人公となる女性自衛隊員"上木三曹"の高い身体能力と特殊装備は萌えポイントが実に高い。設定も実に練られたもので、これを新たな久正人の連載作品にするべきだ!とも思ったが、実はその連載がぽしゃった作品だというのが残念無念。

ヒストリエ(9) / 岩明均

ヒストリエ(9) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(9) (アフタヌーンKC)

岩明均が好きなので『ヒストリエ』もこの9巻まで読み通しているが、オレが歴史的知識に欠けるせいかどうも物語をよく理解していない気がする…そして新刊が出るたびにそれまでの話を一切忘れている上に前巻読み直さないので何が起こってるのかよく分かっていない…。

いとしのムーコ(7) / みずしな孝之

食って寝て遊ぶ。動物はシンプルでいい。そのシンプルさに触れることで人間は安心するんだろうな。しかし犬のムーコは動きも表情も豊かだしたまにする失敗も可笑しかったりするけど、オレの好きな動物であるカピバラなんてジャレないし無表情だしじっとしているばかりだもんなあ。でもあの「ぬー…ん」としたとこがいいんだよなあ。