サンドマン(1)(2)/プレリュード&ノクターン 上下

あおれんじゃさんのところでお奨めしていた海外ファンタジィコミック。
この現象世界の背後には世界全てを統べるもうひとつの超越世界があり、『エンドレス=終りなき者』と呼ばれる7人の兄妹が統治していた。その兄妹の一人、《夢》を支配する男《サンドマン》は、あるカルト教団の姦計により召喚され、監禁されてしまう。からくも監禁から抜け出した《サンドマン》であったが、復讐の為、そして奪われた3種の魔導具を取り戻す為に闘いを開始する。
ああ面白かった。オーソドックスなファンタジィの骨子を持ちながらもゆったりとした語り口で徐々に独自の世界観を提示してゆきます。この重圧な語り口がこの物語を奥深く文学的なものにしているのだと思う。《サンドマン》の持つ能力が《夢の世界》という無意識の領域を支配していることから、その闘いは魔法合戦ではなく人の深層心理を巡る闘いとなっていきます。
物語冒頭のプレリュードにあたる部分はまだ物語の落ち着き先を決めかねていたのか、割と有りがちかもしれないゴシックなカルトとの闘いや、他のDCコミックのヒーローとの絡みがあったりとか多少落ち着きませんが、これはこれで味わいがあります。いきなり最近映画にもなった《コンスタンティン》の主人公が現れたときはびっくりしたなあ。
しかし最後の魔導具を巡る闘いであるエピソード《24時間》から物語の視点は定まったように思います。この《24時間》はこれのみ取り出しても非常に優れたモダン・ホラーとして読むことが出来、その緊張感と立ち上ってくるような死の冷気は、この物語の中でも異色の密度の高さで、完成度の高さを感じさせます。また、最初作画に難を感じたこの作品ですが、この《24時間》からアーティストが変わり、そのカラーも変わったのではないでしょうか。
こうして3種の魔導具を揃えその本来の力を取り戻した主人公ですが、その後のお話は続巻と云うことで、とても楽しみであります。