2022年まとめ:今年面白かった音楽あれこれ

Photo by Marcela Laskoski on Unsplash

2022年のまとめ、今回は音楽篇です。今年もEDMを中心にいろんな音楽を聴いていました。そうしてまとめたブログ記事や、特に面白かったアルバムを紹介してみようと思います。

なにしろハニャ・ラニにぞっこんだった

■Esja / Hania Rani

Esja

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今年なんといってもハマりまくったのはポーランドのネオクラシック・ピアニスト、ハニャ・ラニの作品でした。いやあこれには心酔してしまいました。結局彼女のリリースしていた全てのアルバムを購入して聴いていたぐらいです。この時書いたブログ記事を引用しておきます。

YouTubeを眺めていたら、誰ともどんな人とも知らない女性がピアノを弾くサムネイルが目に付き、何の気なしに再生してみた。すると飛び込んできた映像の中で演奏されるその音楽があまりに素晴らしくて、25分もあるその動画を一気に観てしまった。飽きっぽくて動画なんてたいてい最初の1分も観ないオレにしては、異例中の異例の事である。

その時の動画がこれだ。アップライト・ピアノ、グランド・ピアノ、シンセサイザーの3つのキーボードを操り、中盤ではヴォーカルまで披露していた。なにより惹かれたのは高速アルペジオを駆使した緊張感溢れる演奏と、様々な感情が次々と表現されるメロディの妙だ。そして最も目を引いたのは、上蓋を取り外したアップライ・ピアノやグランド・ピアノの内部に演奏中手を突っ込んで、歪んだ音を出すという不思議な演奏法である。クラシック畑の方であろうと想像は付いたが、ピアノ音を電気的にループさせたりシンセサイザーを演奏するときにはエレクトロニカの素養もあることが伺えた。

誰だ?この人はなんなのだ?強烈な興味を覚えたオレは動画を観終わった後すぐさま名前を調べ、それがハニャ・ラニというポーランド出身の女性であり、クラシック、ジャズ、エレクトロニカ、フォークをまたいだ才能が注目を浴びる新進気鋭のピアニストであるという事を知った。



アーロ・パークスのアルバムが心に沁みた

■Collapsed in Sunbeams / Arlo Parks

Collapsed in Sunbeams

Collapsed in Sunbeams

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UKの黒人女性シンガーソングライター、アーロ・パークスのデビュー・アルバムをよく聴いてましたね。その時のブログ記事を引用しておきます。

まだ20代の若さにも関わらず、その高い才能から2022年第64回グラミー賞にノミネートされた経歴を持つ。音自体は90sオルタナティヴ・サウンドの匂いがするが、聴いていて、とても和むのだ。そのどこかあどけない歌声は、何か記憶に無いはずの懐かしさを想起させる。夢見がちな繊細さと同時に、揺るぎない確固たる自己も持ち合わせているように感じる。それとネグロイドの血を引く彼女だが、奇妙に人種を感じさせない歌声がいい。



なんにも知らないで書いたヒップホップ記事になぜか多数のブクマが付いた

「ヒップホップって全然知らないんだけど面白そうだったから20枚ぐらいアルバム聴いたよー」というただそれだけの記事で、アルバムの内容も特に詳しく説明したわけでもないんですが(なにしろ詳しくないし)、なぜか91個もブックマークを集めてしまいました。オレのこの零細ブログではブクマ91個なんて破格の数で、「え、え、こんなに貰っていいの?どうもスイマセンスイマセン」とどこの方角かは分かりませんが謝ってしまったぐらいでした。

例によってデヴィッド・ボウイのボックスセットやらなにやらを買い漁っていた

2016年1月10日に亡くなった稀代のロックスター・デヴィッド・ボウイですが、6年経った今でもこうしてアルバムやらボックスセットが出まくってるんですよね。ボウイだからこそとも言えますが、やっぱりある意味凄いことですよね。オレもいちファンとしてこういったアルバムを買い漁りながら、彼の素晴らしさをあらためて噛み締めているというわけなんです。

そして今年面白かったEDMなどなど

最後に今年聴いて面白かったEDMとかその辺りのアルバムを紹介しておきます。説明文はブログ記事で書いたものをそのままコピペしたものです。

■Balance Presents Kölsch / Kölsch

人気MIXシリーズ「Balance」から2014年にリリースされたコペンハーゲン出身のアーティストKölschのMIXアルバム。なんと1曲目からデトロイトテクノの名作中の名作、GALAXY 2 GALAXYの「Journey Of The Dragons」から始まり、ドイツの名DJ・Henrik Schwarzの曲やRADIOHEAD、さらにはCOLDPLAYまで飛び出す好MIX。



■Live in London Recorded at Fabric / John Digweed

コロナ禍はクラブシーンにも深刻な打撃を与えたが、徐々に規制も緩和され息を吹き返してきているようだ。この『John Digweed – Live In London』はディープハウス界ベテラン中のベテランJohn Digweedのプレイを2021年10月16日にUKの名門クラブFabricにおいてライブ録音されたもの(時折歓声が聞こえる)。CDだと4枚組全51曲、およそ4時間余りの至福のクラブミックスを聴くことができる。またアンミックス曲も含めたD/L版ではミックス曲含め11時間の大ボリューム、もちろんクオリティは最高、これはもう買いだろう。



■Midnight Scorchers / Horace Andy 

ホレス・アンディといえば実に長きに渡ってレゲエ・ミュージック・シーンのフロントに立ち活躍してきたベテラン・シンガーだ。今調べたら御年71歳、レゲエ・シンガーとしてのキャリアは50年に渡るというからぶったまげてしまった。そんなホレス・アンディがエイドリアン・シャーウッドのプロデュースによりOn-U Soundからリリースしたダブ・アルバムがこの『Midnight Scorchers』だ。そしてこれが、近年稀に見る素晴らしい傑作ダブ・アルバムとして完成していることに再びぶったまげてしまった。

 

Destination Unknown 2 / Pig & Dan

Destination Unknown 2

Destination Unknown 2

  • アーティスト:Pig & Dan
  • Bedrock / Hyper
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スペインを中心に活躍し、数々のフロア・ヒットを飛ばすプログレッシブ&テックハウス・デュオ、Pig&Danの最新3枚組アルバム。ダブテクノをベースに、ゆったりとしたテンポでトリップホップ、瞑想的なチルアウト曲が続く1枚目から始まり、2枚目ではそれが徐々にディープなラテンソウルのテイストを帯び始める。3枚目はヒップホップから始まり、それはジャズ、レゲエの喧騒へと収斂してゆく。3枚のアルバムそれぞれが朝、昼、夜を象徴し、それはあたかも音楽に満ちた豊かな一日を描き出したシンフォニーであるかのようだ。下のYouTube動画リンクではイギリスのトップDJ、John Digweedによるアルバム曲のミックスが聴くことができる。



■DJ-Kicks: Theo Parrish / Theo Parrish

ベルリンの老舗レーベルStud!o K7からリリースされている人気DJ Mixシリーズ「DJ-Kicks」の新作はデトロイトハウスの重鎮Theo Parrish。シカゴハウスをベースにアフロビート、スピリチュアルジャズのテイストを加味し、彼でしか為し得ないだろうと感じさせる魔術的なグルーヴ感に満ちたデトロイトサウンドが展開する。 

 

■Hello / µ-Ziq

かつてAFXと共にドリルン・ベースの覇者として君臨したµ-Ziqことマイク・パラディナスもデビューして早30年になるのらしく、月日の経つのも早いものである。今作でも目まぐるしく鳴り響く高速ジャングルビートは健在で、その寸分違わぬモザイクのように精緻に構築されたリズムに美しく時に暖かなメロディが被さり疾走してゆく様子は実に幻惑的であり、そしてスリリングだ。

 

Ultra Truth / Daniel Avery

ULTRA TRUTH

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UKエレクトロニック・シーンで注目を浴びるDaniel Averyのニューアルバムはヘヴィーなダーク・エレクトロニカ。アルバム導入部はリリカルでナイーブな曲が並ぶが、次第に幻想的であると同時に意識的にノイジーさを強調した終末感溢れるドラムンベースへと受け継がれてゆく。そして後半はこれらが昇華されたかのような美しいメロディの曲へと収斂してゆくのだ。

 

The Work / Gold Panda

The Work

The Work

  • PLANCHA
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ロンドンを拠点に活躍するプロデューサーGold Pandaの6年振りとなるニューアルバム。多彩なリズムを操りながら色彩感豊かなハッピーでドリーミーなサウンドワールドを展開。幸福感に満ち美しく儚げなそのサウンドは今年を締めくくるのに最高のものとなるだろう。