♪だいにじすうぱあろぼっとたいせんだああ~~/映画『パシフィック・リム:アップライジング』

パシフィック・リム:アップライジング (監督:スティーヴン・S・デナイト 2018年アメリカ映画)

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ギレルモ・デル・トロが監督した『パシフィック・リム』1作目、実はオレあれのどこが面白いのかさっぱり分からんかったんどすわ。

「え……デル・トロで怪獣でロボットで、オレの好きな要素がみんな入ってる筈なのになんなのこの全く盛り上がらない気持ち……」。映画ファンの間ではあれだけ熱狂をもって受けいられた映画なのにオレ自身はまったく気持ちの動く場面が無くて逆に自分がどうにかしたんじゃないのかと思ったぐらい。だからブルーレイが出た時は今度こそはとわざわざ購入して鑑賞したけどやっぱりダメだった。で、その続編となる『パシフィック・リム:アップライジング』が公開されたわけなんだけど、予告編は割といい感じだった。なにしろ前作はつまんなかったけど、この続編ならイケるんじゃないか。そう感じて劇場に足を運んだんだけど、これが、最初の予感通り、1作目なんかより全然いい感じで楽しめる作品だった。

なんだろなあ、前作のうんざりさせられた部分が払拭させられていたからなんじゃないのかなあ。前作はイェーガーも怪獣も重量感たっぷりではあったけど、オレには鈍重にしか見えなかった。戦闘シーンは画面が暗すぎて鬱陶しかった。その他のシーンの映像もモヤモヤフヨフヨしてソリッドさに欠けた。デル・トロの特撮愛がアナクロなものにしか見えなかった。さらにデル・トロの内臓趣味な映像がハイテクロボットSFってな内容に水と油だった。主要登場人物にひとつも魅力が無かった。クセの強い脇役に胸焼けさせられた。

(あれ?要するにオレ、デル・トロが嫌いってこと?かの『シェイプ・オブ・ウォーター』も全然ダメだったしなあ。『パンズ・ラビリンス』や『クリムゾン・ピーク』は好きなんだけどなあ)

だけどこの2作目では十分にスピード感があり、イェーガーの動きも軽快で、さらに秘密兵器をしこたま披露してくれて戦闘シーンを大いに盛り上げてくれた。その戦闘シーンも夜間や荒天の中ではなく昼光で行われ、アクションそのもののみならずイェーガーや怪獣のディテールをつぶさに楽しむことができた。もちろん破壊され瓦礫と化してゆく高層ビル群の描写もクッキリだ!わはは壊れろ壊れろみんな壊れてしまえ!なにより、イェーガーが「稼働する二足歩行巨大戦闘機械」ではなく「スーパーロボット」ぽいのがよかった。イェーガーが空飛んだ時はマジンガーZが初めて空飛んだ時の感動を覚えたね!

ただし登場人物は前作に輪を掛けて魅力に欠けていた。キャラクターもその背景も果てしなくどうでもいい人物ばかりだったな。前作から引き続き登場したキャラもどこぞのホラー映画から間違って出演してしまったようにしか見えないような生気に欠けていた。強いて興味の湧いたキャラを一人挙げるなら『グレートウォール』(2016)、『キングコング: 髑髏島の巨神』(2017)にも出演なさってるジン・テイエン演じるシャオ博士ですかね。いやほらエロっぽかったし、登場の仕方がいかにもワルっぽかったじゃないですか。エロくて悪い女性科学者、いやもうサイコーじゃないっすか。それと他のキャラにオコチャマが多く見えたのは子供向けに製作されたからですかね?

(↓もうジン・テイエン眺めるためだけにこの映画観てもいいぐらいじゃない?)

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シナリオもまあ、頑張ってるっちゃあ頑張ってるが、実の所、新世紀エヴァンゲリオンのアレの話にアレを足して最後はアレの話をアレしたようなストーリーに見えたことも確かなんですがね。クライマックスは東京が舞台になるけど、実際の東京の街並みと全然違うことがどうこう言うよりも、オレには第3新東京市に見えて仕方なかったけどね!ただしかしロボット・ストーリーとしては今風になってるんじゃないかな。なによりイェーガーたちが横並びに揃い踏みになってるシーンなんて壮観だったし「オレはこういうの見たかったんだ!」と思えたけどね。

とまあ前作におけるデル・トロのオタク魂炸裂に心酔したファンには物足りない作品になっちゃってるのかもしれないけど、そーゆーのとか特にどーでもいーと思ってるけどロボットと怪獣がガシガシ戦ってるオハナシは観てみたい、なんて人には丁度いいぐらいの作品なんじゃないかな。あとジン・テイエンのエロさを眺めまわしてみたい人とかね!そんな『パシフィック・リム:アップライジング』でございやした!


『パシフィック・リム:アップライジング』日本版本予告