16世紀フランスに実在し、あのマリー・アントワネットの首も刎ねたという死刑執行人、シャルル‐アンリ・サンソンの壮絶な生涯を描いたコミック第2巻(第1巻の感想は
この辺に書きました)。前回まで「こんな仕事イヤだああ〜〜ッ!!」とモラトリアム爆走しまくっていたサンソン君、やっと腹が据わったのか死刑執行人としての自分を受け入れ始めます。それと同時に、惨たらしい死刑のあり方を自分なりに変えようとしてゆくんですね。ただ読んでみて、若干構成に難があるな、と感じました。エモな描写は非常に流麗に描かれていて、そこは盛り上がるんですが、細かな描写の積み重ねが苦手なのか、心の移り変わりのあり方が判りにくい部分があります。描写の瞬発力は相当なんですが、じっくり描く、といったタイプの作者ではないのかもしれません。ただし、そういった部分の瑕疵を差し引いても、華麗なグラフィックとモンタージュ技法を多用した表現の仕方には並々ならぬ力量を感じさせます。そして今回は前回にも増してグロとエロがひしめき合い、非常に
デカダンな雰囲気を醸し出しているんですね。さらに「自分と関わった者を死刑にする苦悩」はさらにいや増していくんです。この作者のクセはなんとなく判って来たので今後は気にせず読めるような気がします。
いがらしみきお画、
山上たつひこ原作による、出所した重犯罪者たちを秘密裏に町に受け入れる更正プロジェクトを描いたコミックです。最初は大人しくしていた元受刑者たちは次第に暴走し、プロジェクトは破綻の兆しを見せ、前巻あたりから町はパニックに至ってゆくんですが、今巻も引き続きその状況が続きます。このパニックはもっと大規模になってゆくんでしょうか。でもそろそろ同じことの繰り返しが目立ってきたので締め所を見せてもらってもいいような気がします。元受刑者の数が多いのでそれを個々に描いてゆくとどうしても長くなってしまうんでしょうが、次回あたりでおしまいでもいいんじゃないかなあ。
今回も毒吐きまくり、さらにゲロまで吐きまくりの
人生画力対決です。ただし悪名が漫画会に広まりすぎたのか、出席してくれる人がどんどん減ってきているようです。だから今回なんか後半から
ボブ・サップが出てきたりとか高須院長が画力対決で絵を描いてみたりとかなんだか迷走しています。迷走もネタにする所はさすが西原だと言えないことも無いですが、そろそろ企画自体がおしまいなのかもしれませんね。西原の露悪ぶりは嫌いじゃないんですが、どうも最近は無理して露悪ぶっているような気さえします。あの西原もそろそろ落ち着き時なんですかね。