エレン・ペイジ、ウィレム・デフォー主演のサイキック・スリラー〜『BEYOND:Two Souls』


エレン・ペイジウィレム・デフォー主演、音楽をハンス・ジマー、ローン・バルフェが担当したサイキック・スリラー作品、『BEYOND:Two Souls』です。…こうやって書くとなんだかハリウッド大作映画みたいなんですけど、実はこれ、れっきとしたゲームなんですね。
主人公はエレン・ペイジ演じるジョディ・ホームズ。彼女には子供の頃から「エイデン」という名の霊体が取り憑いており、物事を透視したり物体を動かしたりが出来るんです。彼女は政府の特殊研究施設「D.P.A.」においてその能力を調査されますが、そこでネイサン・ドーキンズ教授(ウィレム・デフォー)と出会います。ドーキンズ教授はその後も影となり日向となりジョディをサポートしてゆきます。しかしジョディは意に染まぬ特殊能力を持っていることで様々な障害に出会い、葛藤しながら成長してゆきます。成人したジョディはその特殊能力をかわれてC.I.A.の職員となりますが、そこでもまた新たな試練が待っていたのです。
このゲームでのエレン・ペイジウィレム・デフォーらは実写で出ているわけではなく、彼らをスキャンしたCG映像としての登場になりますが、CGの動きは実際に彼らの演技したものをモーション・キャプチャーで処理しており、また、その表情までがキャプチャーされているものですから、CGではあっても彼らそのものがそこに再現されているんですね。もちろん声も彼らのものを使用していますが、日本語吹き替えに設定するとそれが聞けないのでちょっと迷うところですね。
ゲームではこのジョディの人生を、時間軸をシャッフルさせながら描いてゆきます。10代のジョディ、成人したジョディ、幼年期のジョディ、といった具合ですね。ゲームのジャンルとしてはアドベンチャーということになるでしょう。物語の進行に合わせて主人公の細かな行動を指示してゆく、その操作によってまた物語が進行してゆく、いわばアクションよりも物語性を重視したインタラクティヴ・ムービーに近いゲームなんですね。格闘などの激しいアクションもありますが、これも要所要所でキーを入れるQTE(クイックタイムイベント)でこなしていくことになります。また、ジョディに憑依した霊体エイデンに操作を切り替えることもでき、この時には物体移動、憑依、チャネリング、ヒーリング、暗殺までもが行うことができるんですね。
ハリウッドスター起用!最新技術を駆使したリアルで美しい映像!ストーリーに重点を置いた胸を打つアドベンチャー!と鳴り物入りで製作されたこのゲーム、プレイしてみた感想としては、最初は確かに凄いなあ、と思ってやってるんですが、慣れてくると、まあ物語的には普通かなあ、と思えてきてしまうんですよ。霊体が憑依した少女の数奇な運命、なんていうのは、それを15年という長いタイムスパンで、そしてプレイ時間15時間程度の長さで没入して体験させられる、といったところがゲームらしいところなんですが、物語だけ取り出してみると結構平凡な気がするんですよ。
純粋にゲームとしてみても、アドベンチャーならではの表現や操作の仕方に好き嫌いが出ると思いました。ゲームは基本的には会話や移動で費やされていて、いわばまったりしているんですよね。ゲーム世界を移動するときは殆どが「歩き」で、走れないために、さっさとゲームを進めたいと思っていると、だんだんまどろっこしくなるんですよね。だからプレイしていて時々「『アンチャーテッド』みたいにガシガシコントローラーのボタン押しながらド派手なアクションしたいなあ!」と思えてきちゃうんですよ。それに個人的にQTEってどうも好きじゃなくて。霊体のエイデンにしても、自由にあっちこっち動き回れるわけではなく、画面に表示されたポイントのみを移動したり動かしたりできるだけで、なんだか「やらされてる」感が強いです。
あとこのゲーム、マルチシナリオ、マルチエンディングになっていて、あるアクションで失敗してもゲームオーバーにならず別の展開へと分岐していくんですが、そうするとそこでセーブされてしまい、もう一度挑戦!ということにならないんですよ。個々のシナリオをもう一度やり直せばそれで済むことなんですが、それも意外とかったるいんだよねえ。あとグラフィックの美しさで注目を集めているゲームですが、基本的にはキャラクターの造形には力を注いでいるけど、それ以外のグラフィックは、まあ、普通なレベルなんですよねえ。そういった部分で、自分的にはこのゲーム、残念ながら手放しでお勧めってわけでもないんですよ。
しかしゲームとはいえ、映画でお馴染みのエレン・ペイジを操作するのって変な気分ですね!エレン・ペイジの子供時代を操作することがあるんですが、これなんて幼女になってゲームをプレイするってことじゃないですか!?幼女操作ゲーム!一方、いつもウィレム・デフォーが傍にいて見守っている、というのもそれ以上に変な気分です!だいたいウィレム・デフォーって、映画ではクセがあったり裏表が激しかったりするキャラが多いようなイメージなんですが、このゲームではとってもいい人なんです。ウィレム・デフォーってこんないい人じゃないだろ!?あとで絶対身の毛もよだつような掌返しするんだろ!?と変な邪推してしまい、ゲームをやっていても居心地悪いんです!むしろ、ウィレム・デフォー、邪悪な人になって欲しい!とさえ思えてしまいました!
http://www.youtube.com/watch?v=iv_wbIy8UNE:movie:W620