フォールガイ (監督デヴィッド・リーチ 2024年アメリカ映画)
俺は命知らずのスタントマン!
大乱闘、大爆破、大カーチェイス!ド派手なアクション映画は数ありますが、そんな映画に欠かせない存在、それが命知らずのスタントマン。映画『フォールガイ』はそんなスタントマンが主人公となり、映画撮影の陰で進行する巨大な陰謀を追い詰める!という物語です。
《STORY》大ケガを負い、一線を退いていたスタントマン=コルト。 愛する元カノの初監督作で久々に現場復帰するが、 主演が突如失踪してしまう! 行方不明のスターの謎を追ううちに、 コルトは危険な陰謀に巻き込まれることに… 彼は己のスタントスキルで、この危機を突破できるのか!?
主人公コルトを『ドライヴ』『ブレードランナー2049』のライアン・ゴズリング、元カノ・ジョディを『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『クワイエット・プレイス』のエミリー・ブラント、失踪した主演俳優トム・ライダーを「キック・アス」シリーズのアーロン・テイラー=ジョンソンが演じています。監督は『ブレット・トレイン』『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』『デッドプール2』のデヴィッド・リーチが務めます。
壮絶アクションとコミカルな展開!
これは楽しかった!アクション映画のスタントマンが陰謀に巻き込まれ、現実世界でも壮絶アクションを繰り広げてしまう!?という構造がまず面白い。向こう見ずで身体能力抜群のスタントマンだからこそ、どんな危機に直面してもスイスイと乗り越えちゃう、という筋書きになってるんですね(実際のスタントマンがこうだとは限りませんが!)。なにしろスタントマンが主人公ということで繰り出されるアクションもド派手でトリッキーなものばかり、この次々と繰り出されるアクションシーンがなにより楽しい映画なんです。これは元スタントマンから映画監督に大抜擢されたデヴィッド・リーチ監督の面目躍如といったところでしょう。
緊迫のアクションと同時に、コミカルな展開も大いに持ち込まれ、これがまた大いに笑わせてくれます。このコミカルさが物語を非常に軽やかで風通しのいいものにしているんですね。主人公コルトはあくまで主演男優を立てる「代役」として登場するので、役どころとしては三枚目だからなんです。これには主演のライアン・ゴズリングの、スカしたような魅力が大いに効を奏しています。またこの立ち位置は、映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でスタントマン役として登場したブラッド・ピットと共通するものを感じました。
また、この作品は映画についての映画である、という部分が面白いんですね。映画の撮影現場が舞台となるこの映画、映画撮影中に巻き起こる様々な問題、人間関係や撮影時間、資金やプロデューサーの横やりなどが次々に描かれますが、同時に映画を作る歓び、製作仲間たちとの熱いチームワークも同時に描かれてゆきます。そして撮影中の映画が映画内映画として登場しますが、これがなんだかよく分からないけど『スター・ウォーズ』と『マッドマックス』を足したようなSFアクションらしく、物凄くB級ぽいんだけどなんだか観てみたくなるんですね(とんでもないカメオ出演もあるのでお楽しみに!)。そして登場する映画関係者たちの映画愛トリビアもまた興味をそそられるんです。
最高に心くすぐられるラブコメディ!
しかしなにより、この物語を大いに盛り立て、魅せるものにしているのは、これが「最高に心くすぐられるラブコメディ」だという部分にあるんですね!自分も最初はスカッと楽しめるアクション映画ぐらいに思っていたんですが、この大幅にフィーチャーされたラブコメ展開にはびっくりさせられたのと同時にとても引き込まれてしまいました。
大怪我を負いスタントマンをリタイアしていたコルトが現場復帰を決めたのは元カノのジョディがその映画の監督に抜擢されたからなんですね。しかし事故の後、心の傷からコルトはジョディと連絡を取っていませんでした。この二人が映画撮影の最中に1年半ぶりに再会し、映画ストーリーの打ち合わせに見せかけながらメガホンで痴話喧嘩を始めるシーンの可笑しさったらありませんでした!ここでの元カノ役エミリー・ブラントの澄ました顔で繰り出すツンデレぶりが実によかった。
遺恨を残したまま久々に会った二人が痴話喧嘩を始める、というのは二人の間にまだ気持ちが残っていたからに他ありません。よりを戻したいコルトと、そうは簡単に許したくないジョディ、この二人が腹の読み合い探り合いを繰り返しながら徐々に距離を縮めてゆく展開がこそばゆくて悶絶必至!そしてコルトがスタントマンとしての技量を活かして事件の謎に迫ってゆくように、ジョディもまた映画監督の技量を活かして事件解決に一肌脱ぐんですね。こうしてラブラブなコンビネーションの末に明らかになる真実とは何か!?想像の倍面白かった優れた作品でしたので是非お勧めしたいです!