湿気に弱い。

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関東も随分前に梅雨に入ったが、今年は例年以上に雨の日が多いような気がして堪らない。雨、雨、一日中雨、晴れだと思えば雨、雨が止んで晴れたと油断したらまた雨、久しぶりに天気のいい日が続いたと安心させておいていきなりの雨の日の連続、かつてグアンタナモ収容所で行われたというCIAの水攻め拷問の如く精神と神経を苛み体力を奪ってゆく悪夢の如き雨地獄である。

雨の天気自体が鬱陶しいのもあるが、もう一つ鬱陶しいのは湿気である。雨の降る屋外から逃れてやっと室内に入ったと思ってもその屋内がじっとりむしむしと蒸し暑く、空気中の水分がコロコロに貼り付く埃のようにべったりと皮膚に貼り付いてくるのである。目の前に水など見えないのに水の中を漂っているかのようだ。不快だ。ああ不快だ。不快で気が狂いそうになる。

誰でもそうであろうけれども、オレはこの湿気が特に苦手だ。なにしろ気持ち悪い。体中がぬらぬらべたべたとして巨大なめくじの腹に取り込まれてしまったかのようだ。あたかも2日3日シャワーを浴びていないかのような厭らしい不快感で一杯になる。これは苦手というよりもオレの天敵であり弱点と言ってもいい。オレから国家機密を聞き出したかったら暴力なんぞを使わなくても湿度の高い部屋に放り込んでおけばヒバリのように秘密を囀りだすだろう。ってか国家機密など知らんが。

暑いのと湿気とどちらが苦手かというならそれは湿気の方だ。気温25度で湿度70%と気温30度で湿度40%とであったら湿度70%のほうがこたえる。これが気温35度以上で湿度が70%といったら頭がおかしくなると思う。だから熱帯雨林地帯とか絶対無理だ。だったらまだ氷雪気候とかツンドラ気候の方がましだ。

そもそもオレは梅雨の無い北海道生まれなので寒冷な気候向けに体ができてしまっているように思う。多分本州の方よりも汗腺の数とかも少ない(子供の頃からあまり運動をしなかったというのもある)。それにしても実の所北海道なんて18までしか住んでおらず、この歳まで40年以上東京で暮らしていたにも関わらず体質が変わらんというのも何かの業のように感じる。今更北海道に郷愁など感じないのだが、梅雨の時期だけは北海道に逃げ帰りたくなる。

とはいえきちんと調べてみると、なんと北海道というのは東京より湿度が高いというではないか。

北海道は年間を通して東京よりも湿度が高い。東京の8月平均湿度が71%に対して北海道主要都市の総合平均湿度は約81%もある。特に釧路の平均湿度は88%と高い。湿度の高い夏の北海道が涼しく感じられるのは、平均気温が東京よりも低く湿気が1年間の中でも比較的少ないから。

北海道の気温と気候

ううむそうすると「梅雨の無い北海道生まれだから湿気に弱い」という今まで思っていた前提が全て崩れることになる。つまりオレは東京より湿気の多い北海道で生まれながら東京の湿気が堪え難いと言っている事になるのだ。そして気温が高いのと湿度の高いのでは気温が高い方がいい、というのは、実は北海道生まれであることなど関係なく、むしろ東京で生活してきて培ってきた体質という事になりはしないか。つまりすべて思い込みという事なのである。東京、すまん。

まあいい。それはそれとして。湿気なんか大嫌いだ!(無理矢理まとめる)