Emak Bakia / Muslimgauze
Muslimgauzeはイギリス人アーチストBryn Jonesのソロユニットであるが、彼自身は1999年に亡くなっている。Muslimgauzeとしての活動は1982年のレバノン侵攻を切っ掛けとしており、そのテーマは「パレスチナの自由」「反シオニズム」といった極めて政治的なものだった。生涯においてオリジナルスコアを約2,000曲、オリジナルアルバムを90枚以上発表した精力的なアーチストでもある(以上Wikipediaから拝借)。このアルバム『Emak Bakia』は1994年に発表され長らく絶版になっていたもののリイシューとなる。まず驚かされるのは実に今日的なサウンドデザインの在り方だ。パワフルでダンサンブルなパーカッション、ダークアンビエントなメロディ、ダブの影響を受けたベースラインなど、つい最近発売されたサイケデリックハウスミュージックと言われても通用するだろう。1994年の時点で既にこのような革新的な音を出していたことに驚嘆した。MUSLIMGAUZE Emak Bakia CD at Juno Records.
Isles / Bicep
北アイルランド/ベルファスト出身のマット・マクブライアーとアンディ・ファーガソンによるテクノ・ユニットBicepの2ndアルバム。ダンサンブルであると同時にリスニングとしても優れ、どの曲も美しく情感豊かな旋律と躍動感のあるリズムに溢れる非常に充実したアルバムとして完成している。今回のイチオシの1枚。
Lost Souls of Saturn / Lost Souls of Saturn
デトロイト/ベルリンで活躍するDJ・Seth TroxlerとNY地下アーティストPhil MoffaによるプロジェクトLost Souls Of Saturnの1stアルバム。ドローン/アンビエント/トライバル/ダブ/テクノと様々な音の境界を行き来するサウンドにはとらえどころがなく、さらに不穏なサウンドコラージュが織り込まれ、アルバムそれ自体が映像作品のサウンドトラックのように感じさせる。奇妙な映像喚起力を持つ部分がユニークなアルバムなのだ。マニアックだが今回のお勧め。
Brabuhr Q-Ih / Various Artists
UKの新進気鋭レーベルLith Dolinaからリリースされたコンピレーション・アルバム。4アーチストによって構成され、ダークかつドラマチックなドラムンベース・サウンドが展開している。ソリッドな音の感触は数あるドラムンベースの中でも突出したものを感じさせる。良作。
Lux / Venus Ex Machina
ブリティッシュ・アフリカ系女性コンポーザーVENUS EX MACHINAによる1stアルバム。暗く重々しいドローン/ノイズ系エクスペリメンタル・テクノを聴かせるが、単なるドローン/ノイズに止まらない音のしなやかさとリズムの躍動感を感じさせ、曲ごとに優れたアイディアを垣間見せている。
American Flesh For Violence / Vatican Shadow
ノイズ/インダストリアル系アーチストVatican ShadowはレーベルHospital Productionsの総裁でありマルチメディア・アーティストでもあるDominick Fernowによるテクノプロジェクトだ。2019年にリリースされたこのアルバムは Vatican Shadowのレア・トラックとリミックス曲を編集したものだ。ダークでメタリックなインダストリアル・ビートに冷え冷えとしたメロディが被さり、陰鬱な美しさを輝かせたアルバムとなっている。
DJ Kicks - Peggy Gou / Peggy Gou
ベルリンで活躍するコリアンDJ、Peggy Gouが2019年にリリースしたDJ-KicksのMixアルバム。マニアックなトラックとキャッチーなトラックを織り交ぜた心憎い1枚。
Year Of The Living Dead /John Tejada
KompktからリリースされたUS西海岸で活躍するテック・ハウス・プロデューサーJohn Tejadaのニュー・アルバム。ダブ・テイストを盛り込んだ非常にシンプルなダンス・サウンドを展開している。
Hope Is A Candle / His Name Is Alive
かつてニューウェーブシーンをリードした4ADレーベルのバンド、His Name Is Aliveの1985~1990に録音された初期未発表音源集。4ADレーベルらしいフィードバックノイズに彩られたギターやゴシックなアンビエント、逆再生ループサウンドが躍る耽美的な1作。
Long Trax 3 / Will Long
東京在住のアメリカ人アーチスト、Will Longによる極限まで音数を減らしたアンビエント・ハウス・アルバム。ストイックな音の連なりに思わず幻惑させられる。
All Hours / Ivy
1994年から活動していたNYのインディーポップバンドIvyは、非凡なソングライティングと儚げな女性Vo.の心地よい実に優れたバンドで、オレも大層なお気に入りだった。そういえば最近どうしてるんだ?と思って探してみたら、2011年にリリースされていたこのアルバムを最後に活動を休止していたのらしい。音的にはこれまでのギター中心の音から一転、打ち込みを多用したサウンドを展開しているが、それも後半はいつものIvyサウンドを聴かせてくれている。
Global Underground: Select #4 / V.A.
作業用に聴いているテックハウス・コンピレーション。こういうコンピって様々なアーティスト名が明記されるが、実際は数名のアーチストが名前を変えて回しているような気がするな。