バンドデシネ及びスペースオペラSFコミック不朽の名作『アンカル』が新装版となって発売されたのでまだ買ってない人は是非買うといいと思う。

■アンカル / アレハンドロ・ホドロフスキーメビウス

アンカル

これを読まずしてSFは語れない。アレハンドロ・ホドロフスキーメビウスによる、世界的ベストセラー『アンカル』。クローン手術を繰り返す大統領、ミュータント、異星人、殺し屋、階級間の争い、陰謀……主人公ジョンの行く先にはさまざまな試練が待っている。宇宙と人類の運命を懸けた大冒険の先に見たものとは?アンカルとは何なのか?人はどこから来てどこへ行くのか?これぞスペース・オペラ。追加要素として『アンカル』に隠されたさまざまな謎を解き明かした「アンカルの謎」を収録した漫画ファン必読の1冊!

アレハンドロ・ホドロフスキーメビウスによるバンドデシネ不朽の名作でありスペースオペラSF大作『アンカル』日本語版が新装版となって発売された。
内容については以前拙ブログで『フランス・コミック界伝説のSF大作、『アンカル』を読むべし。 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ』として紹介したのでそちらを参考にされたい。ひとりのダメ男がとあるきっかけから広大な大宇宙(アウタースペース)と深遠なる精神世界(インナースペース)との大冒険の旅に出るというこの物語、原作者ホドロフスキーの活劇と神秘に満ちた驚異のストーリーテリング、そして稀代の名アーチスト・メビウスによる卓越した描線により、バンドデシネの歴史に燦然と輝く名作として語り継がれており、コミック・ファンなら一度は読んでおくべき傑作と言っていいと思う。

さて今回の再販、2010年に小学館集英社プロダクションから発売されていたものがパイインターナショナルへと出版社を変えての再販となるわけだが、中身は同じ『アンカル』ではあるけれども仕様が違う。まず小学館集英社プロダクション版は定価¥3990だったのがパイインターナショナル版は定価¥3888。¥102ほどお安くなっている。しかし安価になったにもかかわらずパイインターナシ>ョナル版のほうが格段にお徳になっている。詳しくは下記にまとめるが、ページ数がアップし版型も若干大きめになっているのだ。

◎パイインターナショナル版 (2015/12/18)
単行本: 360ページ
商品パッケージの寸法: 27 x 20 x 3 cm
(巻末)『アンカル』の謎(解説集) / 『アンカル』未刊の1章 / 『アンカル』サーガ
定価¥3888


小学館集英社プロダクション (2010/12/21)
単行本: 336ページ
商品パッケージの寸法: 25.4 x 19.6 x 3 cm
《特別収録》ソリューンの誕生(パイインターナショナル版「『アンカル』未刊の1章」と同一)
アンカル日本語版特典 : メビウス略歴/メビウス主要作品リスト/『アンカル』とその時代 古長真一 / 夢の映画『アンカル』柳下毅一郎 / [特別対談]谷口ジローX藤原カムイ / 訳者あとがき
定価¥3990

パイインターナショナル版のページ数が大幅に多くなっているのは、ホドロフスキーメビウスの紹介文と『アンカル』誕生の経緯などが書かれた解説集「『アンカル』の謎」に多くのページが割かれているためで、『アンカル』本編が増えているというわけではないのだけれども、より詳細な解説文を読むことができるのは『アンカル』理解のために非常に役立つだろう。自分は小学館集英社プロダクション版は既に所有していたが、もちろんこのパイインターナショナル版も購入した。だから既に持っている方もオレのように比べてみるために買い直してみるのも一考かもしれない。

ところでこのパイインターナショナル版、手違いにより一部の商品の表紙に誤植があるまま発売されてしまったらしい。(経緯はこちら→「アンカル」新装版 不良本の交換について | PIE COMIC ART)これはアレハンドロ・ホドロフスキーメビウスの作画表記が逆になっているものなのだが、実は自分が入手したのもこの誤植分だった(写真参照)。

だが、オレ個人は既に一冊持っているし、表紙の誤植もまた面白かろうと、交換返品せずにそのまま所蔵することにしている。現在はきちんとした商品が出回っているはずなので新規購入者はご安心あれ。そしてこの『アンカル』が気に入ったのであれば、前日譚『ビフォア・アンカル』レヴュー)、後日譚『ファイナル・アンカル』レヴュー)をばご賞味されるとよろしいかと思う。

アンカル

アンカル

ビフォア・アンカル

ビフォア・アンカル

ファイナル・アンカル

ファイナル・アンカル