というわけで毎年恒例の『オレ的映画ベストテン!!』に行ってみたいと思います。今年も大作・話題作が目白押しでしたが、個人的にはちょっと映画疲れしてきた部分があり、一ヶ月ほど劇場に足を運ばなかった時期もありましたが、まあなんとか10作品選ぶことが出来ました。では行ってみよう!
1位:ジャンゴ 繋がれざる者 (監督:クエンティン・タランティーノ 2012年アメリカ映画)
今年いろいろ観た映画の中で、物語性、アクション、問題提起のあり方、配役の素晴らしさ、視覚的な強烈さなど、様々な要素が最もバランスよく盛り込まれ、そして面白く観ることのできた作品はやぱりこれでしょう。物語の主題はしいたげられたの者の怒り、愛するものの救出、そして報復と、感情に生々しく訴えかけるシンプルなものであるにもかかわらず、決して扇情的なだけの物語で終わることなく、濃厚で深みのある演出が冴えわたる作品として仕上がっていました。映画的興奮のまさに真骨頂ともいえる作品でしょう。
黒人奴隷復讐劇として描かれるこの物語、出てくるザコの白人どもが皆揃いも揃ってレッドネック丸出しの無知無教養で薄汚く下品極まりない糞野郎糞女ばかりである、という描き方が面白い。見渡してみればこの映画にまともな「アメリカ白人」は一人として登場しない。これは考えてみると凄まじいことだ。だからこそのブラック・スプロイテーション映画ということも出来るけれども、アメリカ人の撮ったアメリカ資本の映画でこういった描写が成立する、そしてそんな映画がアメリカ国内で大成功を収める、それ自体でこの映画は既に画期的なのではないか。QTがこの映画で成そうとしていたことの意気込みと覚悟が伝わってくるようだ。そしてそこまで情け容赦なく描かなければアメリカの闇の歴史は描き切れない、それと同時に、娯楽映画作品として贔屓や曖昧さの無い屹立した面白さは出し切れない、QTはそのように考えたのだろう。そんなQTの采配がなにより素晴らしい。
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2位:華麗なるギャツビー (監督:バズ・ラーマン 2013年アメリカ映画)
"20世紀最高の文学"と呼ばれるF・スコット・フィッツジェラルドの原作をバズ・ラーマンが彼独特のグラマラスでエモーショナルな作品として映画化。謎の億万長者ギャツビー。夜毎繰り広げられる軽佻浮薄なパーティの中でも、うずもれるほどの富の中でも、孤独を隠すことのできない彼の心の中には、成就しなかった一途な恋の残り火だけがくすぶっていた。喧騒の果ての虚無と、虚飾の中の虚構と、避けられない運命に翻弄されるギャツビーの、悲劇の予感が暗く垂れこめる物語は、ものみな全てが美しく輝く前半の描写があるからこそ、あまりにも悲痛に幕を引くのです。観終わった後も、いつもまでもこの作品のことが頭を離れませんでした。
この物語は、主人公ギャツビーの、実らなかった恋とその行方を描いている。大富豪となったギャツビーは、いうなれば世界の全てを手に入れた男だ。あたかも彼は世界の「王」の如く君臨していた。しかし、その世界には、愛する君が含まれていないのだ。彼にとって、世界は、「君と共に生きる」ことで、初めて成り立つものであった筈なのに、君はいないのだ。君のいない、君以外は全てがある世界、結局それは「全て」ではない以上、「無」と変わりない。君がいない世界は、それは、世界ですらない。それは「虚無」だ。なぜなら、彼にとって、「君」こそが世界と等価であり、「君」こそが、真に世界そのものであったからだ。そして彼は、虚無の中で、愛する君という輝きに満ちた光明を請い求める。虚しい世界を、君に振り向いてもらうために飾り立てる。虚しい飾り、まさに虚飾だ。あらん限りの世界の富で飾りたてられながら、飾り立てれば飾り立てるほど、それが巨大な虚無にしか見えないのは、その全てが、彼の「孤独」の裏返しでしかないからだ。ああ、この物語は、なんと寂しく悲しい世界を描いたものだったのだろう。
レヴュー:君だけが、いない。〜映画『華麗なるギャツビー』
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3位:マン・オブ・スティール (監督:ザック・スナイダー 2013年アメリカ映画)
クリプトン星の異世界描写や、クラーク・ケントが自らの力を隠して生きねばならないことの苦悩、そしてその彼を暖かく見守る地球の家族の物語にも感銘しましたが、それよりも強大すぎる力とそれが巻き起こす凄まじい破壊とを徹底的に視覚化した映像に酔い痴れました。恐ろしいスピードでありとあらゆるものが次から次へと壊されてゆく、その有様を目の当たりにすることの快感。「視覚の愉悦」「破壊の快楽」をどこまでも追求した作品として高く評価できるでしょう。
『マン・オブ・スティール』にはヒーローのルサンチマンも人格的欠損もない。オチャラケもなく若気の至りもない。さらにはもったいぶった悲壮さもなく、かつて葛藤はあったとしても今は苦悩さえもない。ただ守るべきものがあり、守る人がいるだけだ。これはなんとストレートで、潔いヒーローなのだろう。確かにその反面、スーパーマンの物語はキャラクターの陰影に欠けた聖人君子的なつまらなさも存在するのだけれども、エクスキューズのないヒーローを正面から描ききった『マン・オブ・スティール』は堂々として見事であり、そして格別な爽快感に満ち溢れている。だからこそ、『マン・オブ・スティール』はヒーローとは何か、という原点に還った素晴らしい作品として完成しており、そしてそのマイルストーンとなるべき映画として、長く語り継がれることになるのは間違いないだろう。
レヴュー:最強の男の、最強の映画。〜『マン・オブ・スティール』
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4位:ムード・インディゴ〜うたかたの日々 (監督:ミシェル・ゴンドリー 2013年フランス映画)
ボリス・ヴィアンの奇想小説を、ミシェル・ゴンドリーが持てるセンスを総動員して奇想のままシュールにアバンギャルドに映像化してしまった傑作。出会いのときめきと恋の高揚を描く前半のポップでカラフルな映像はどこまでも楽しく目を楽しませます。しかし後半は一転、避けられない死の運命に彩られた暗く沈痛な悲劇が待ち構えているのです。この物語もまた、美しくそしてはかない人の生の無常を描くのです。
物語だけ取り出してしまうとこの作品は「難病悲恋モノ」でしかない。一組の男女が出会い、幸福の絶頂の中で結婚するが、妻は難病に倒れ、夫は看病に尽力するが、病状はどんどん悪化して行き…というものだからだ。しかしこの物語が「難病悲恋モノ」のテンプレ通りの物語であるにもかかわらず、実際描かれているものは全く違うものであることは観た方なら誰もが判るだろう。いわばこの物語は「難病悲恋モノ」をベースとしながら、その状況の中で立ち現れる主人公の情動を、どれだけアバンギャルドでアナーキーな描写でもって描くことが出来るか、といった挑戦めいた物語であり、ある意味メタな恋愛ドラマとして捉えることも出来るのだ。そしてこのようなベタでしかない骨組みの物語を、唯一無二の透徹したユニークさで描くことにより、凡百の悲恋モノを遥かに凌駕した、天にも昇るような幸福と、海の底に沈むような悲痛さを描写しつくしたものとして、この映画は完成しているのだ。
レヴュー:あの時、僕らは幸福だった。〜映画『ムード・インディゴ〜うたかたの日々』
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5位:ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日 (監督:アン・リー 2012年アメリカ映画)
大海原に難破した少年と虎が一つの小船で227日漂流する、というあまりにも突飛なシチュエーション。それと同時に、死と隣り合わせの極限状態を、ファンタジックな映像と物語で描いてゆく、という恐るべき合わせ技を見せる物語です。しかもそれをきちんと成功させ、美しく力強い、素晴らしい作品に仕上げた手腕にはただただ脱帽でした。
いつ死が訪れるのか分からないギリギリの状況と、そんな状況の中でも決して希望を失わずに生きていこうとする意志、そしてその過酷な生を際立たせるのが、少年と虎が漂流している際に出会う、海の上での様々な出来事です。暗い海底に没した船が音もなく瞬かせる明かり、凪となり鏡面のように夕暮れの空を映し出す海、夜光虫の群れが電飾のように輝く夜の海、巨大な鯨が海面から躍り出る光景、海面を飛び交うトビウオの群れやイルカたち、そして少年と虎が流れ着いた不気味な島。そのどれもが力強いファンタジックな映像で圧倒的なまでに描き切られているのです。世界は美しく、荒々しく、そして驚異に満ちている。その中にいる自分は、宇宙に投げ出された宇宙飛行士のようにあまりにも無力だ。生命に満ち溢れた自然と、その中で死と隣り合わせに生きる生、その対比が、生きることのかけがえなさを、より一層鮮やかに、輝かせているのです。
レヴュー:海と虎と少年のオデッセイ〜映画『ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日』
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6位:アウトロー (監督:クリストファー・マッカリー 2012年アメリカ映画)
クライム・サスペンスである原作を、ありがちなアクション映画に貶めることなく、正攻法でじっくり着実に描き、じわじわと映画的興奮を盛り上げてゆく作品でした。一見地味なんですが、観ているとぐいぐい引き込まれてゆくんですね。アクションと謎解きのバランスも素晴らしかった。トム・クルーズ演じる主人公と彼をサポートする女弁護士が実に魅力的に描かれていました。
まず何が良かったかって、そのじっくりしっかり組み立てられてゆく堅実極まりない物語運びですね。そして今風の細かいカット割りや矢継ぎ早のアクション編集、爆発や爆音やCGで水増しした見てくれの派手さ、そういったものを全部否定し正面からきっちり描く誠実な映像の撮り方、こういった部分が映画を独特のものとしているんですね。これはもともと脚本家として活躍しているクリストファー・マッカリーが監督したせいでしょうか、「きちんと物語を見せたい」という方向性の表れじゃないのかと思うんですよ。だから2時間10分という意外と長めの作品なのに、物語運びに無駄が無く、物語の持つサスペンスを確実に盛り上げてゆくんですよね。その物語も、「真の狙撃犯はなぜ人々を無差別に殺害したのか?」「狙撃犯はなぜ別の男を犯人に仕立て上げなければならなかったのか?」「狙撃犯を操る黒幕の正体は誰か?」「その黒幕が企む陰謀とは何なのか?」というミステリーが散りばめられ、そのミステリーの持つ緊張感と、真相が次第に明らかになってゆく興奮で、観ている者をグイグイ引っ張ってゆくんですよ。
レヴュー:映画『アウトロー』はトム君のアクションとしっかりしたストーリーが魅せる良作サスペンスだった!
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7位:オブリビオン (監督:ジョセフ・コジンスキー 2013年アメリカ映画)
人類が滅び去り、大地にはどこまでも続く廃墟と荒野が残され、そしてそこにぽつねんと存在する白く冷たく輝く未来的な建造物と飛行艇。この気の遠くなるような寂寞感溢れるヴィジュアルにまず目を奪われました。そしてそこで展開するのは一人の男の失われた記憶の謎とアイデンティティの物語。今年公開された中で最も素晴らしいSF作品だと思います。
この廃墟と化した地球の情景にぽつねんと現れる冷たく未来的なビジュアルとの対比、といった部分でこの作品はまず半分は成功しているといえる。SF映画作品としての魅力を非常に感じさせるのだ。しかしこの映画はデザインやVFXだけが魅力の映画だという訳では決してない。この『オブリビオン』を真に秀逸なSF映画たらしめているのはその物語だ。地球壊滅後の世界を描きながらも、この映画は多くの謎を冒頭から投げかけながら進行する。これらの謎が交差しながら、物語は次第に宇宙人地球侵略の真の全貌が明らかになってゆくのだ。そしてそこで描かれるのは、実はラブストーリーであり、そしてそれは、失われた記憶と、悲痛な事実とがない交ぜになった、あまりにも切ない物語だったのである。タイトル『OBLIVION』の意味は「忘却」。ジャックは何を忘却していたのか、またはさせられていたのか。自分とは誰か?自分とは何か?自分はどこから来てどこへ行くのか?かつて多くのSF作品は、それらを主題としながら幾多の傑作を残してきた。そしてこの『オブリビオン』も、そのあまりにもSF的な命題をテーマに描かれた傑作の一つとして数え上げられることは間違いない。
レヴュー:忘却の惑星〜映画『オブリビオン』
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8位:ローン・レンジャー (監督:ゴア・ヴァービンスキー 2013年アメリカ映画)
『パイレーツ・オブ・カリビアン』のスタッフが再び結集した、ディズニーのお気楽アトラクション映画とばかり思って観たら、それはとんでもない勘違い、本当にいい意味で裏切られた映画でした。監督ゴア・ヴァービンスキーが『ランゴ』の流れをくむ魔術的なセンスを見せ、ファミリー・ムービー的な親しみやすさの中に先住民の悲劇と悲哀を絶妙に織り込んでいるんです。そしてなにより、クライマックスに用意された疾風怒濤のアクションの連打!あれには鳥肌が立ちました!
物語は、最初から正義のヒーロー、ローン・レンジャーが大活躍!といったものではない。ある意味この作品は「ローン・レンジャーはいかにしてローン・レンジャーになったのか」という、アメリカのヒーロー映画ではよくあるコンセプトの上で作られている。中盤までは「単なる役立たずのデカブツ」でしかないローン・レンジャー/ジョン・リードを牽引し、「戦いとはなんなのか?なぜ戦うのか?」をジョンに理解させるのがトントの役目なのだ。いわば、図体だけのジョンに心を宿させたのがトントというわけだ。ローン・レンジャーとは、ジョンの肉体とトントの精神が合致することによって初めて出現できたヒーローだったのだ。そしてクライマックス、いよいよローン・レンジャーが活躍する時がきた!白馬に乗ったローン・レンジャーが登場し、「ウィリアム・テル序曲」が高らかに鳴り響いたとき、オレは歓喜で鳥肌が立ちました。ここからは一気呵成、疾風怒濤の血湧き肉踊るアクションの連打連打に、思わず拍手喝采であります!いやあ、ええもん見せて頂きました!
レヴュー:ジョンの肉体とトントの精神〜映画『ローン・レンジャー』
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9位:コズモポリス (監督:デヴィッド・クローネンバーグ 2012年フランス/カナダ/ポルトガル/イタリア映画)
ハイテク・リムジンの中に一人ぼっちの王のごとく鎮座するマネートレーダーの虚無。空疎で観念的な会話劇として進行するこの物語は、観る者を置き去りにしてしまう難解さと退屈さがあることは否めません。しかしそこここで描かれるクローネンバーグならではの異様さ、歪んだ変態趣味が、次第に暗く冷たく脳髄を侵してゆく感覚がたまらないんですよ。リムジンの座席からシステマチックに便所が出てきてそこにオシッコするシーンは最高でしたね!
そもそも、マネートレーダーの虚無感だの、億万長者の破滅だの、世界経済の終焉の予兆だの、そんなものは本当は、どうでもいいのだ。観念的な世界に長く生きたばかりに生の実感を喪失した男の悲劇、というお行儀のいい解釈も、当たりが良すぎてつまらない。監督デヴィッド・クローネンバーグはそんなものをテーマにしたくて映画を撮ったわけでは決してないのだ。そんなことよりもこの映画の本当の楽しみは、ハイテク・リムジンに代表され、そしてそのリムジンの中だけで完結しようとする異様な人間性を描くクローネンバーグの変態性、これに尽きるのだ。そしてそうしたテクノロジーに弄ばれ、変質し、自滅する、『ビデオドローム』や『クラッシュ』でもさんざん描かれてきたクローネンバーグらしい崩壊感覚、それがやはりどこまでも暗い愉悦を観る者に与えてくれるのだ。
一見難解であり、文学的でもあるこの物語は、実は非常にクローネンバーグらしい異常さを垣間見せてくれる逸品として仕上がっているのだ。ある意味ドラッグと幻覚抜きの『裸のランチ』と言うことができるかもしれない。実際、観ている間は会話がウザくて閉口していたんだが、見終わった後、じわじわときますよ、この映画。
レヴュー:ハイテク・リムジンの中で変態化する小宇宙〜映画『コズモポリス』
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10位:東ベルリンから来た女 (監督:クリスティアン・ペツォールト 2012年ドイツ映画)
東西ドイツ統合前の、社会主義国家だった旧東ドイツの田舎町を舞台にしたドラマです。その町に赴任してきた寡黙な女医師は、監視社会と化した国を逃れ、国外脱出の計画を密かにたてていたんですね。静かで寂しげな映像の中に、自由を求め、必死で生きようとする一人の女の強い思いが鮮やかに描かれてゆき、胸を締め付けられるようなクライマックスを迎えるんです。
しかし、この映画は決してサスペンス映画という訳ではない。一人の女が、人として女として、幸福になりたい、人から愛されたい、人を幸福にしたい、そして、自由になりたい、そういったあたりまえの気持ちを封殺されながら、それでも、自分にできる最低限のことをやり通そうとする、人間的であろうとする、これはそんな、悲哀についての物語なのだ。どこまでももの寂しい風景と色彩、吹きすさぶ風の音があたかもバルバラの心象のように映画全体を覆い、物語を一層沈痛なものに変えてゆく。だが決して彼女は悲嘆の中に沈むことなく、生きることを選び通そうとする。映画のクレジットで流れる音楽はファンク・バンド、シックの名曲中の名曲「At Last Iam Free」。「最後には私は自由だ」と歌うこの曲通りに、物語の数年後に待っている筈のベルリンの壁崩壊の時、バルバラは真の自由を得る事が出来たのだろうか。
レヴュー:最後には、私は自由になれる。〜映画『東ベルリンから来た女』
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◎【2013年オレ的映画ベストテン!!】のまとめ
というわけで【2013年オレ的映画ベストテン!!】のランキングは次の通りです。
1位:ジャンゴ 繋がれざる者
2位:華麗なるギャツビー
3位:マン・オブ・スティール
4位:ムード・インディゴ〜うたかたの日々
5位:ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日
6位:アウトロー
7位:オブリビオン
8位:ローン・レンジャー
9位:コズモポリス
10位:東ベルリンから来た女
並べてみた後で気づいたんですが、これらの映画のうち、文学作品が原作となっているものが4作(『華麗なるギャツビー』『ムード・インディゴ〜うたかたの日々』『ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日』『コズモポリス』)、未確認ですが原作があるらしい作品が1作(『東ベルリンから来た女』)さらにクライム・ノベル原作が1作(『アウトロー』)と、小説が元になって脚色された作品が6作(ないし5作)あったんですね。原作が優れているから素晴らしい映画だ、と言いたいわけではなくて、原作にあるしっかりと構成された物語と、そこに濃縮されたアレゴリーのあり方を、完璧に咀嚼し把握して脚色したからこそ、これらの映画作品が豊かなものになったのではないかと思います。さらに言ってしまえば、原作こそなくとも(原典はあるのでしょうが)『ジャンゴ 繋がれざる者』は、「しっかりと構成された物語と、そこに濃縮されたアレゴリーのあり方」が絶妙に表現されていたからこそ、ここまで映画的興奮に溢れた映画として完成していたのではないでしょうか。
それとは別に、『マン・オブ・スティール』『オブリビオン』『ローン・レンジャー』は、映画の視覚的な愉悦とアクションの醍醐味を、余す所なく表現した作品だと感じました。映画は、物語、視覚効果、活劇のそれぞれがバランスよく配されているのが理想でしょうが、そのひとつ、ないしふたつが特化することで映画そのものを牽引し完成度を高めることもありうるでしょう。しかしそのバランスのあり方は、逆の見方をするなら「足りないものがある」と観る方もいるわけです。要は、そのバランスのあり方がいかに自分にフィットするかによって、人の映画の楽しみ方は千差万別になる、ということです。今回10作の映画を挙げましたが、読まれた方の中には「あれとこれとそれが入ってない!なぜなんだ!?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかしこれは「これらの映画がいかに自分にフィットしたのか」という個人的なものであり、この選から漏れた多くの作品の中にも、優れたもの、楽しめたものが多数あったことは明記しておきたいと思います。
…というわけなんですが、明日は例によって『2013年オレ的【裏】ベストテン!』をやってみようかと思います。お楽しみに〜。