近未来のサイバーパンクな企業間闘争を描くFPSゲーム『Syndicate』

■Syndicate (XBOX360PS3、PC)


2069年、企業間の闘争は熾烈を極め、互いの開発したテクノロジーを奪うため重火器を操る武装警備隊とバイオテクノロジーで身体機能をパワーアップさせた”エージェント”が血で血で洗う戦いを繰り広げていた…というのがSFタイプのFPSゲーム、『Syndicate』。

○ストーリー
2017年、世界各地における企業買収が『ユーロコープ』を誕生させた。ユーロコープは他の企業に先駆け、世界で一番最初にバイオデジタルインプラントDART(ダート)チップの開発に成功。アドレナリンを動力源として脳内から補い、使用者はデータバースとの信じられないほどの接続性を体験する。 もはや、デジタルデバイスを持ち歩く必要はなくなった。国家はもはや意味を失い、世界はこれらの巨大企業群によって支配されていた。世界人口は150億人にまで膨張。そのうち、57%の人口がチップを埋めこまれており、彼らの属する企業と文字通り「リンク」していた。残りの人口は締め出され誰からも気にかけられることがなくなった。企業間の防諜活動はかつて無いまでに活発化した。エージェントたちは企業における利益を守るために、無作為に選ばれる。貴方はそのエージェントとして選ばれた。


実はこのゲームに興味を持ったのは「2月に発売されて全世界で15万本しか売れなかったFPS」というゲーム記事を読んだからで、「そりゃいったいどんな酷いゲームなんだろ」と興味半分で調べたところ、少なくともビジュアルは酷くない、というよりもむしろカッコイイ。「ブレードランナー」や「マイノリティ・リポート」みたいなサイバーパンク(例によってこればっかりですが好きなんですスイマセン)な世界観を持つゲームなんですね。評価も実際のところ好意的なものが多く、どうも考えるに、作品内容が酷くて売れなかった、ということではないらしい。きっと宣伝の仕方が地味だったり同時期に発売されたゲームの陰に隠れてしまったのが売れなかった原因なんでしょう。というわけで、折角興味を持ったのと、もともとSFタイプのFPSが好きだったのと、さらにPC版が格安の値段で売っていたのでプレイすることにしてみたんですよ。

近未来の都市群やビーグルなどSF的なビジュアルは十分雰囲気がありますが、それに加えて主人公の視界に入る様々なガジェットにそのガジェットの名称がAR=拡張現実でタグ付けされているのが見える、というのが面白いんですね。これ、主人公が脳内にバイオデジタルインプラントされているから、現実の光景にARの映像が重ねあわされている、ということなんですね。さらに銃の残弾数や敵と一般人の区別、その他通常のFPSゲームではHUDとして表示されるいろんな事柄がARタグで可視化されている、という設定になっていて、この辺のビジュアルが実にサイバー感覚が溢れていていいんですよ。

このゲームの特色は「ブリーチング」と呼ばれるシステム。いわゆるデジタルハッキングツールみたいなものなのですが、これを使って鍵を開錠したりセキュリティバイパスができるだけではなく、敵の脳内インプラントに侵入して自殺させたり同士討ちさせたり、銃を暴発させたり出来るんです。この「ブリーチング」は敵を倒すごとにゲージが溜まって行き、それぞれの効果を使用することが出来るんですね。単に銃をバリバリ撃つだけではなく、「ブリーチング」を使用することで効果的に敵を殲滅することが可能で、特に銃だけでは撃破の困難な固い敵を倒すときに有利になるんです。さらにゲーム後半ではこの「ブリーチング」を無効にするジャミング機能を持った敵が現れ、このジャミング機能を解除しつつ敵を倒す、という攻略方法が必要になってきます。ゲームの要所要所には特殊能力を持った敵エージェントも登場し、様々な攻略方法を試さなければならないのも楽しい。敵のインプラントを奪うことによるパワーアップ要素もあり、また、通常なら体力がゼロになることでゲームオーバーになりますが、このゲームではトラウマの超過によるインプラントへの負荷、という形でゲームオーバーという形を取っているのも独特。「世界で15万本しか売れなかった」なんていうのが全く信じられないユニークなゲームなのでサイバーパンクなSF・FPSに興味のある方は是非プレイしてみてください(国内版の発売はいまのところ無いようです)。


Syndicate (輸入版)

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