星と荒野とそして死と。〜ゲーム『レッド・デッド・リデンプション』

レッド・デッド・リデンプション (XBOX360) (PS3)


グランド・セフト・オートGTA)』シリーズのロックスター・ゲームズが新たに送り出したオープンワールドゲーム、『レッド・デッド・レディンプション(RDR)』である。現代の都市を舞台にした『GTA』に対し、この『RDR』は西部劇だ!馬にまたがり西部の荒野を駆けるのだ!無法者どもは鉛の玉で制裁だぜ!…というわけなのだが、実はオレ、西部劇に興味が無いばかりか、『GTA』さえやったことがない。なにしろオープンワールド系と聞いただけで一瞬身構えるぐらいだ。うんざりするほど広大なマップを隅から隅まで歩き回され、なんだか矢鱈めったら時間掛かりそうでさあ。
とかいいつつ時代の趨勢とでもいうのか洋ゲーというともはや避けて通れないジャンルで、かく言うオレも『Fallout3』をはじめ何作かのオープンワールドゲームをプレイしたことはあるにはある。いや、悪くはないんだが…やっぱり15時間ぐらいでサックリクリアできるゲームのほうがいいんだがなあ…。というわけで例によってブツクサ言いながらも、この『RDR』、先行発売されている海外では「『GTA』さえ上回る」という相当の評判の高さで、これはやっておかなければなるまい、とついつい手を出してしまったのである。
で、何時間がプレイしたのだが…いやあ…いいわコレ。ハマるわ。没入感が凄いのよ。"西部開拓時代”という世界まるまる一つを鬼のようなディテールで再現してるのよ。その再現された風景を眺め、闊歩しているだけで楽しいのよ。空が綺麗だなあとか、夕日が映えるなあとか、緑が萌えているなあとか、いろんな人が歩いているなあとか、馬に乗って走らせて通りすぎてゆく風景を眺めるのは気持ちイイなあとか、そういたものがリアルに迫ってくるのよ。リアルであると同時に、その世界をストレス無く動き回れるのよ。そして広大に作られたその世界は「あの空の向こうには、この山の向こうには何があるのだろう」という好奇心を抱かせるのよ。
「あたかもその世界の住人として過ごしているようなゲーム」ってまさにこれだわ。オレは昔の『ウルティマ』とか『ウィザードリィ』あたりのゲームを思い出したわ。『RDR』はRPGではないけれども、そもそもゲーム黎明期のRPGってこういうプレイ感覚を目指して作られていたのではないかしらん。それがテクノロジーが追いつくことによってやっと可能になったということなのではないかしらん。
ゲーム性ということでいうなら、確かに”お使い”なミッションではあるけれども、そういったミッションを通して、「開拓時代に生きるということはこういうことなのか」ということが分かるのよ。ああ、こんな人たちがいるんだとか、こんな仕事があるんだとか、こんなに治安が悪いんだとか、だからこんなに簡単に命が失われて、だから銃を持って自分や自分の属するコミュニティを守らなければならないんだとか、そんないろんなことが分かってくるのね。そしてそれを知ることが、「その世界で生きる」ってことなのね。このゲームで行われるミッションは、それはその世界の日常の一環だから、とてつもない難易度だったり、パズルみたいなゲームゲームしたものではないのね。あと自由度は高いけど「あんまり悪いことはしない方がいいよ」っていうゲームルールも好印象だよね。いくら自由だからって、そんな悪逆非道なことばかりやりたいとも思えないしさあ。ただ、そうは言いつつ、一番燃えるのは賞金首やギャングとの銃撃戦だけどね!あと動物ハンティングして皮を剥いだりとか出来るんだけど、血塗れで楽しいよ!
そういった意味で、なんだかゲームをしてしているというより、良質な映画を感情移入して観ているような、その映画の情景の中で生きているような、そんなトリップ感を味わえるゲームであります。さ、今日も愛馬に乗って牧場仕事しなきゃ。