出ましたよ新世代ゾンビ・パニック・ストーリー『
アイアムアヒーロー』第3巻!前巻までの展開凄かったなあ!1巻目でグダグダダラダラした屁みたいな日常を徹底的に描き込んでいって、2巻目でそれら全てを完膚なきまで破壊し瓦礫の山と化すという巨大
カタルシス!あまりの凄さに読んでて現実感覚が消し飛びましたよ!まだオープニングなんでしょうが、もはやゾンビ・ストーリーの決定版と言ってもいいでしょう!さてヘタレで糞野郎な主人公が危機的状況に遭遇し、いったいどんな活躍を!?と期待させて終わった前巻でしたが、なんと!この3巻でもやっぱりヘタレの糞野郎です!全然ダメです!使えなさ過ぎです!ある意味スゲエ!いったいどこが「
アイアムアヒーロー」だっちゅうねん!っていうかグズでバカでダメという三重苦を全身に漲らせたこのタコスケが無能の極みを振り撒きながら最後までセコくセコく生き延びてしまうという、ヒーローの真逆を行くストーリー展開がきっとこの物語の主軸なのでありましょう!この巻の中盤では新キャラの女子高生と出会ったりしますが、この後もずっとヘタれまくって行くんだろうなあ!ゾンビ・パニック・ストーリーではありますが、その真のテーマは多分「ダメ人間はどんなに逆境に遭ってもやっぱりダメ人間」っていうことになると思うなあ!なんかもうサディスティックすぎ!いやあ、ますます楽しみになってきたぞ!ゾンビ・ファンは必読であります!
一般人の姿をして下界に休暇を楽しみにやってきた
ブッダとキリストがセコイ日常を過ごすという人気シリーズの最新刊であります。しかし5巻目ともなるとさすがにネタが枯渇してきたのか天界のサブキャラ頼りだったりちょっと判り難いキリスト・
ブッダネタだったりと、少々息切れしてきているような気は否めません。キャラがキャラだけに同じネタ遣いまわしてもいいような気がするし、ちょっと目先を変えてサブキャラメインのお話を作ってみたりするのも面白いかもな。
山上たつひこの『
がきデカ』といえばオレくらいの年代の人間にとってはギャグ漫画の金字塔であり、その徹底的にお下劣な内容にはガキの頃のオレなんかは狂喜乱舞しあまつさえ性格形成におそろしく誤った影響を与えたという傑作中の傑作である。オレが下品でアホなものを好むのはひとえにこの『
がきデカ』のせいであるといっていい。1974年に雑誌連載されていたこの漫画は完結後24年を経て『
中春こまわり君』として再び蘇る。『
がきデカ』で変態小学生だった主人公・こまわり君が成長し、妻子を持つサラリーマンとして生活する様子を描いたこの物語は、かつての主要キャラを交えながら相変わらずの変態ギャグをブチかますが、それと同時に大人になることの苦い現実も描かれてゆく。そしてこの『
中春こまわり君』、単発的に掛かれたものかと思ったら、実は今も不定期に雑誌連載していたらしく、このたび第2巻が出版されて驚いた。この第2巻でも暗くドロドロした大人の事情をシュールなギャグに包みながら描かれてゆくが、今回はこまわり君が
狂言回しとして登場するミステリ仕立ての作品が多く収められている。ある意味主人公がこまわり君じゃなくとも構わなかったかもしれないが、逆に一度筆を折り小説家として活躍していた作者・
山上たつひこの文学性をうかがわせて面白い作品となっていた。