■キック・アス / マーク・ミラー、ジョン・ロミータJr.、光岡三ツ子
- 作者: マーク・ミラー,ジョン・ロミータJr.,光岡三ツ子
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2010/11/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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コミックファンが自らもコミックヒーローになるというこの物語、それを映画で観るのとコミックで読むのとでは微妙にニュアンスが違ってくる。コミックで読むとき、おのずとコミックを読む者(コミックファン)自身の願望を見透かし、そしてそれを皮肉った物語として読めてしまう。ヒーローに憧れる君にこんなにボロボロになる覚悟はあるのかい、といった具合に。そして読むものは主人公と同じように苦痛を味わい、それを乗り越えた最後の勝利に歓喜することが出来るのだ。
さらにこのコミックが映画と大きく異なるところ、それはビッグダデイの戦いの動機の部分であるだろう。映画では主人公キックアスはしょーもない動機で生まれたヒーローだがビッグダディには復讐という動機があったというふうに描かれるけれども、コミックではビッグダディもまたキックアスと同じようなしょーもない動機でヒーローごっこをしていた情けない大人だったという事が明らかになるのだ。即ち、キックアスにしろビッグダディにしろ、結局は戦う必要の無い戦いを自ら買って出て痛い目に遭い傷だらけになるという、単なる愚か者でしかないことになってしまうのだ。
しかしここでヒットガールの存在に意味が出てくる。ヒットガールは逆にもともと戦う理由がないにもかかわらず父の言うがままに戦っていたのだけれども、結局は最後の戦いにおいて、戦う為の正当な理由が生まれてしまうのだ。大人たちのヒーローごっこという無意味なはずの戦いに一人意味を持たされて戦う少女ヒットガール。つまりヒーローになりたかった者が結局ヒーローになりきれず、そうでなかった者がヒーローになってしまうのだ。「普通の人間がヒーローになるとはどういう事か?」を描いたコミック版『キック・アス』は、実はこういった皮肉の込められた物語だったのではないだろうか。
■アイアムアヒーロー(5) / 花沢健吾
- 作者: 花沢健吾
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/12/25
- メディア: コミック
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■聖☆おにいさん(6) / 中村光
- 作者: 中村光
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/12/24
- メディア: コミック
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