今頃ではあるがやっとニュー・オーダーのアルバムを全てCDで揃えた。いや、ニュー・オーダーのアルバムは全て持っていることは持っているのだが、初期の3作はレコードで購入したもので、CDに買い替えていなかったのである。それはCDに買い替えてまで聴くほど愛着が無かったというのもある。
オレはニュー・オーダーのファンであるが、好きなのはデジタルビート満載の彼らのシングル曲であり、ギター・サウンドに重点を置いているアルバムそれ自体はそれほど興味が無かったのだ。そもそも彼らの初期アルバムのリリースされていた80年代初頭は、オレにとってはロック・サウンドに飽き飽きしてクラブ・サウンドをよく聴くようになっていた時期だった。
しかし最近購入した彼らの初期ベストアルバム『Substance』のリマスター盤をつらつらと聴いていたとき、「ニュー・オーダーのエレクトロニック・サウンドはもう散々聴いたから、ここらで少し彼らのロック的なギター・サウンドもきちんと聴いてやるべきなのではないか」と思えたのである。
という訳でCD棚の奥の奥や押入れの奥の奥に仕舞い込まれた彼らのCDを引っ張り出し、試みに1枚2枚と聴いてみると、これが結構いい。その後CDで持っていなかったアルバムも揃え、目出度くコンプリートとなったわけだ。
ニュー・オーダーのギター・サウンドは相当青臭いのだが、にもかかわらず、この年になって聴いてみても、結構イケる。というより、これらアルバムを購入していた当時、「青臭い」と切り捨てていた感情に、この今だからこそなのか、何故だか優しい気持ちで接することができたのだ。まあオレも結構イイ年になったからな。
コンプリートしたアルバムを順繰りに1枚づつ聴くと、今まで聴き流していた分、様々な発見や新鮮さを感じることができて、実に有意義な音楽体験となった。そもそもシングルリリースされたエレクトロニック・サウンドも、アルバムのギター・サウンドも、両方合わせたものがニュー・オーダーであり、今更ではあるがやっと彼らの全体像と対峙できたように思う。
というわけでニュー・オーダーがこれまでリリースしてきたオリジナル・アルバムを年代順に並べておこうと思う。それぞれに張り付けておいた動画は、それらのアルバムの中のギター・サウンド寄りのものを選んでみた。こうして「エレクトロニック・サウンドではないニュー・オーダー」だけをピックアップしてみるのも新しい体験だった。
『ムーブメント』 - Movement (1981年)
『権力の美学』 - Power, Corruption & Lies (1983年)
『ロウ・ライフ』 - Low-Life (1985年)
『ブラザーフッド』 - Brotherhood (1986年)
『テクニーク』 - Technique (1989年)
『リパブリック』 - Republic (1993年)
『ゲット・レディー』 - Get Ready (2001年)
『ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール』 - Waiting for the Sirens' Call (2005年)
『ロスト・サイレンズ』 - Lost Sirens (2013年)
『ミュージック・コンプリート』 - Music Complete (2015年)