ニュー・オーダー:ライブ・アルバム & ベスト・アルバム・コンプリートガイド

New Order

《目次》

ニュー・オーダーのライブ・アルバムとベスト・アルバムをなんとなく・だいたい・コンプリート

ニュー・オーダーのライブ・アルバムとベスト・アルバムを(だいたい)コンプリートした。実の所「だいたい」ではコンプリートと呼ばないのだが、既に入手不可能になっている作品があり、さらにMP3でのみの発売作品はあえて入手しないことにしたので、なんとなく・だいたい・コンプリート、ということでお茶を濁させて欲しい。濁させてよ!

なお、ニュー・オーダーのスタジオアルバムを全コンプリートした記事は以下に。

globalhead.hatenadiary.com

ベスト・アルバム

なぜスタジオ・アルバムが10枚しか出てないのにベスト・アルバムが6枚も出ているのか?などとは聞いてはいけないのである。ベスト・アルバム自体2枚組とか4枚組とかで出ているので、実質スタジオ・アルバムの枚数を超えているのである。実際の所、ニュー・オーダーはアルバム以外にも大量のシングル、さらにそのシングルの大量の別バージョンがリリースされているのでこういうことになっちゃうんだろうな。

Substance (1987/2023)

SUBSTANCE 1987 (4CD DELUXE EDITION)

SUBSTANCE 1987 (4CD DELUXE EDITION)

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ニュー・オーダー初のベストは1987年に2CDとして発売された。この時まだレコード盤で音楽を聴いていたオレは、「デジタルビートにはデジタル再生機だろ」とベスト盤発売を機にCDプレイヤーを購入、このベスト盤が初のCD購入だったのが記憶にある。内容としてはCD1にベスト盤発売の1987年までにリリースされた12インチシングル曲12曲、CD2にそのB面12曲で構成されている。ニュー・オーダーは基本的に12インチシングルばかり聴いていたオレにとってこれは最高のベストで、そして後々までニュー・オーダーの最高傑作アルバムはこのベスト盤だった。

そして2023年、1987年盤ベストのリマスター盤が発売される。リマスター盤は1987盤と一部曲目の差し替えがあり、さらに2CD盤とは別に4CD盤が発売されている。こちらはCD3に「ALTERNATIVES & B-SIDES」、CD4に「LIVE FROM IRVINE MEADOWS AMPHITHEATRE, CALIFORNIA 1987」と銘打たれたライヴ音源が収録されている。リマスターが施されているので当然音質は向上、新たな1987年ベストとして楽しむことができる。

(the best of) New Order (1994)

The Best of New Order

The Best of New Order

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ニュー・オーダーが古巣のファクトリー・レーベルからロンドン・レーベルに移籍してからの初ベスト、16曲入り。初期の曲は収録されず、1985年にリリースされた3枚目のオリジナルアルバム『ロウ・ライフ』や1984年のシングル『シーヴス・ライク・アス』以降の楽曲から選曲されている。要するに1984年から1994年までのニュー・オーダー・ベストといった体裁。

(the rest of) New Order (1995)

The Rest of New Order

The Rest of New Order

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上記『(the best of) New Order』のリミックス・バージョンを集めたベスト盤。なお『(the best of) New Order』の全てのリミックスを収録しているわけではなく、そもそもリミックスはロングバージョンが多いのでこちらの収録曲は10曲と少ない(でも長い)。ニュー・オーダーのリミックス・バージョンは面白いものが多いのでこちらも必聴。

International (2002)

2001年にリリースされたオリジナルアルバム『ゲット・レディー』の翌年にリリースされたベストアルバム。全14曲。こちらは前回の『(the best of) New Order』と違い初期アルバムから満遍なく有名曲を収録しているが、1981年から2001年まででで併せて14曲となると取りこぼしも多く、当然「ザックリした」ベストであると言わざるを得ない。

Retro (2002)

Retro

Retro

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4枚組ボックスセットとなるベストアルバム。バンドの友人である4人によって選曲された楽曲がそれぞれ1枚のCDに収められた4枚組になっている。4枚の内訳はシングルヒット曲中心の「POP」、オリジナルアルバムから選曲された「FAN」、リミックス集「CLUB」、ライヴヴァージョンばかりを集めた「LIVE」となっていて、ライブ含め全57曲というボリューム満点のベスト盤であり、2002年時点での最高のニュー・オーダー・ベストアルバムという事ができるだろう。これは相当愛聴したな。

Singles (2005)

2005年までに発表された全てのシングル曲を収録した2枚組ベストアルバム。2005年リリース時には輸入盤(全22曲)と日本国内盤(全23曲)とでは曲目と曲数が違っていたらしいが、オレの持っている日本国内盤「2015 Remastered Version」では全22曲収録の形で落ち着いている。ややこしいので購入の際には要注意。

Total from Joy Division to New Order (2011)

まだまだ進撃するニュー・オーダー・ベスト、今作はジョイ・ディビジョンとニュー・オーダーカップリング・ベストとなる。だからアルバムタイトルが『Total』なわけだ。商売とはいえいろいろ考えるよな!全18曲収録、ジョイ・ディビジョンからは6曲、ニュー・オーダーから12曲という構成。「ジョイ・ディビジョンとニュー・オーダーをざっくり安価に聴きたい」という人にはイイかもしれないが、せめてそれぞれ別のベストで聴いてほしいとは思う。ところが実はなんとこのアルバム、ニュー・オーダーの未発表曲「Hellbent」が収録されており、オレのようなニュー・オーダー・ベストに食傷している者も買わざるを得ないという意地悪な内容となっている。

ライブ・アルバム

なぜスタジオ・アルバムが10枚しか出てないのにライブ・アルバムが6、7枚も出ているのか?などとは聞いては(以下略)。

The John Peel Sessions (1990)

Complete Peel Sessions

Complete Peel Sessions

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1981年と1982年にジョン・ピール・セッションで録音したセッション・アルバム。曲の多くは1stアルバム『Movement』から、2曲は2ndアルバム『Power, Corruption & Lies』の曲「5-8-6」「We All Stand」が演奏されている。他にキース・ハドソンのレゲエ曲「Turn The Heater On」を演奏しているのが実に珍しいし(イアン・カーティスの好きな曲だったのらしい)、「Too Late」はニュー・オーダーの全てのアルバム/コンピレーション/ライヴの中でもこのセッションでしか聴けない大変貴重な未発表曲である。なおこのアルバムは幾つかのバージョンでリリースされているが、オレの入手したのは上記アルバム・ジャケットのもの。他のも収録曲は同じのはず。

BBC Radio 1 Live In Concert (1992)

BBC Radio 1 Live in Concert

BBC Radio 1 Live in Concert

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1987年のグラストンベリーCNDフェスティバルでのヘッドライン・パフォーマンスを編集したもの。「Touched By The Hand Of God」「The Perfect Kiss」「Bizarre Love Triangle」「True Faith」といったシングルヒット曲が満載で意外と聴きやすい。ラストでベルベット・アンダーグラウンドの「Sister Ray」のカヴァーが聴けるのがなにより貴重。

Live at the London Troxy (2011)

2011年にロンドンのザ・トロクシーで録音されたライブだが、残念なことに現在入手不可能。なので持ってません。クライマックスで「Blue Monday」「Love Will Tear Us Apart」が演奏され大いに盛り上がっているのだそう。

Live at Bestival 2012 (2013)

2012年9月にイギリスのワイト島のロビン・ヒルで開催されたBestival 2012で録音されたライブ・アルバム。トラックリストには「Bizarre Love Triangle」や「True Faith」などのベストヒット曲がほとんど含まれており、「Isolation」、「Transmission」、「Love Will Tear Us Apart 」といったジョイ・ディヴィジョンの3曲も収録されている。前作ライブ『Live at the London Troxy』と同様に、ピーター・フックに代わってトム・チャップマンがベースギターを担当。

NOMC15 (2017)

2015年に行われた英ブリクストン・アカデミー公演のライヴ盤。この時点での最新アルバム『ミュージック・コンプリート』から5曲、さらに例によっていつもの如くなヒット曲満載、そしてジョイ・ディヴィジョンの「Love Will Tear Us Apart」等ジョイ・ディヴィジョンからニュー・オーダーまでのベストが演奏される。CDでは2枚組全19曲の圧倒的なボリューム。

∑(No,12k,Lg,17Mif) New Order + Liam Gillick: So it goes.. (2019)

2017年にマンチェスターのオールド・グラナダ・スタジオで開催された「Manchester International Festival」に出演した際に収録されたライブ。このオールド・グラナダ・スタジオはジョイ・ディヴィジョンが1978年にトニー・ウィルソン(ファクトリー・レコード創始者)のTV番組「So It Goes」に初出演を果たしたスタジオだった、といういわくつきの場所。収録曲は全キャリアにおける膨大な作品素材:お馴染みのものから超レアなもの、初期のものから最新作までを一旦解体し楽曲の構想を練り直し再構築して行ったとされ、王立ノーザン音楽大学の学生による12台ものシンセサイザー・アンサンブルが加えられている。CDでは2枚組全18曲。なおアルバムタイトルの読み方も意味も全く分からないのだが、調べたら下記のような記事があった。

アルバム名は総和の∑、ニュー・オーダーのNo、12人のシンセサイザー奏者で構成されたオーケストラから12k、そしてアーティストのLiam GillickのイニシャルLg、最後に2017年のManchester International Festivalの17Mifから構成されている。そして最後のSo it goes..は1978年にジョイ・ディヴィジョンが初めて出演したテレビ番組のタイトルを意味している。

https://rockinon.com/news/detail/186317

Education Entertainment Recreation (2021)

2018年ロンドンのアレクサンドラ・パレスでの公演を収録したライブアルバム。2CD、3LP、2CD+Blu-ray、バンドのオンライン・ショップでのみ購入可能なボックスセットといった4形態で発売された。2CDでは例によって今更書くまでもないいつものヒットシングル連発&懐かしのジョイ・ディビジョン大会であり、目新しさはないと言えばそれまでだが、一応現在最新のライブ音源だしアレンジも違うと言えば違うのでマニアはとりあえず買えばいいのだと思う。オレも2CD+Blu-rayバージョンを買った。このBlu-rayでは全22曲、2時間20分の演奏が収録されており、むしろこちらが目玉となるだろう。

その他

Complete Music (2016)

Complete Music

Complete Music

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2015年にリリースされた今の所最新であり最後となっているアルバム『Music Complete』のリミックス・バージョンを集めたもの。CDでは2枚組全11曲収録。オリジナルアルバムとジャケットもタイトルもよく似ているので決してお間違えの無いように。

Be A Rebel (remix) (2021)

2020年にリリースされた今の所最新のシングル「Be A Rebel」とその翌年にリリースされたリミックス音源を1枚にまとめたリミックス集。全13曲、全部「Be A Rebel」とそのリミックス。

まとめとして

じゃあ結局ニュー・オーダーベスト・アルバムとライブ・アルバムはどれを聴けばいいの!?という方の為に挙げてみるなら:

ベスト・アルバム……やはり最新ベストである『Singles』が一番網羅的でボリュームもそこそこあるからこちらがいいかも。2002年リリースなので網羅的ではないが、4枚組ボックスセット『Retro』ニュー・オーダーの全貌を掴むといった形では本当のベストだと思う。ただ『Retro』はちょいと高額なので、後期の曲を切り捨ててもいいのなら2023年発売のリマスター盤Substance 1987』が音もいいのでこちらもお勧め。できるなら4枚組を!(やっぱり高い!)ニュー・オーダーのリミックス作を楽しめるといった点で『(the rest of) New Orderも捨てがたい。

ライブ・アルバム……最新ライブ・アルバムとなる『Education Entertainment Recreation』ニュー・オーダー・ライブの最新形といった形で楽しめるが、ステージの熱気が存分に味わえるといった点では『NOMC15』のほうが上だと感じるので、こちらをお勧めしようかな。余裕のある方はニュー・オーダー結成時のヒリヒリとした緊張感を味わえる『The John Peel Sessions』も一聴の価値があると思う。