■Help / Duval Timothy
Duval TimothyはUK/シエラレオネを拠点に活動するマルチアーティストだという。この『Help』は彼の4枚目のアルバムとなるが、一聴してその繊細なピアノワークと電子音楽との見事な融合振りに聴き入ってしまった。ジャンル的にはエレクトリック・コンテンポラリー・ポップということになるのだろうか。全体的にメランコリックであり、殆どにおいてナイーブなピアノ演奏がリードし、幾つかの曲でたおやかなヴォーカルが聴こえる。そして時折巧みなサウンドコラージュが顔を覗かせ、ごく稀に力強いエレキギターの音が響く。技巧的でありつつ心に訴え掛けようとするソウルを感じる。非常にユニークなアーチスト精神によって製作された好アルバムだということが出来るだろう。
■Wrong Way Up [Expanded Edition] / Eno/Cale
ブライアン・イーノとジョン・ケールがコラボした1990年のアルバム『Wrong Way Up』に2曲のボーナス・トラックを加えてリイシュー。イーノといえばアンビエント作品を連想してしまうが、この作品では初期イーノを髣髴させる稚気溢れるヴォーカル・ポップ・サウンドを聴かせ、豊かで楽しいアルバムとなっている。イーノのヴォーカルって意外といいんだ(ジョン・ケールの歌う曲もあり)。国内盤は高品質UHQCD仕様になっており、これがオレの安物ステレオでも驚くほどにイイ音で響いてくれてびっくりした。
■Spinner [Expanded Edition] / Eno/Wobble
Spinner - Expanded Edition - [輸入盤デラックスCD] (WAST018CDX)_1056
- アーティスト:Eno/Wobble,Brian Eno,Jah Wobble
- 発売日: 2020/08/21
- メディア: CD
ブライアン・イーノとパブリック・イメージ・リミテッドのベーシストとして知られるジャー・ウォブルがコラボした1995年のアルバム『Spinner』に2曲のボーナス・トラックを加えてリイシュー。国内盤は高品質UHQCD仕様。もともとイーノ製作による故デレク・ジャーマンの映画作品『グリッターバグ/デレク・ジャーマン1970-1986』のサントラをウォブルが再構築したアルバムとなっている。さらにCANのヤキ・リーベツァイトがドラムで参加。イーノの静謐なアンビエントをウォブルの重いベースが歪ませリーベツァイトのドラムでドライブが掛けられる、ユニークな作品となっている。
■Soest Live / Kraftwerk
クラフトワーク、デビュー直後の1970年にTV収録されたライヴ音源をリマスターしたアルバム。アコースティック楽器と特殊なオルガンを使った演奏はシンセサイザー中心の現在のセットとはまるで異なり、いかにクラウト・ロックした音。マニア向け。
■Music For 18 Musicians (Steve Reich) / Erik Hall
現代音楽家スティーブ・ライヒが1976年に作曲した『18人の音楽家のための音楽』をミシガンの音楽家Erik Hallが再構築した作品。「18人の音楽家のための音楽」をたった一人でオーバーダブ録音したところがミソ。54分間にわたってひたすらミニマルにループしながらじわじわと位相を変えてゆく音世界は法悦の極地。聴いていると、【永遠】が見えてきそうになる。
■Air Texture Volume VI / Steffi/Martyn/VariousNYを拠点とするAir Textureレーベルのコンピレーション第6弾。 今作ではDisc1を女性テックハウス・プロデューサーSteffiが、Disc2をダブステップ/テクノ・プロデューサーMartynが担当。全体的にアンビエント風味の楽曲が並ぶが、Disc1:Steffi編では中盤から硬質なテクノ・チューンが顔を覗かせ、またDisc:2:Martyn編ではデトロイト・テクノ愛も伺える驚くべき選曲となっている。
■Seeing Through Sound: Pentimento Volume Two / Jon Hassell
Seeing Through Sound (Pentimento Volume Two) [解説付 / 国内仕様輸入盤CD] (BRNDEYA7CD)
- アーティスト:Jon Hassell,ジョン・ハッセル
- 発売日: 2020/07/24
- メディア: CD
現代音楽/ワールドミュージック的アプローチによるトランペット演奏でブライアン・イーノ、デヴィッド・バーンらに支持されるJon Hassell、2019年にリリースされた『Seeing Through Sound』の続編。今作でも油彩の如きサウンドコラージュにより構築された幽玄な音世界を創出している。
■Infinite Moment / The Field
Kompaktレーベルの人気アーチストThe Fieldによる6枚目のアルバム。永遠にループしながら天の高みに上ってゆくような音はそのままに、今作では時折影が差すように暗さやメランコリイの風合いが持ち込まれる。それにしてもこのユニット、毎回アルバムジャケットが似ていてどれ買ったんだか分かんなくなる。
■Pop Ambient 2020 / Various Artists
ケルンの人気テクノ・レーベルKompaktの定番コンピレーション「Pop Ambient」の20作目。 「Pop Ambient」といいつつ多大にドローンな音で占められてるな。
■The Weight / Weval
アムステルダムのデュオ、Wevalによる2年ぶりのセカンド・アルバム。気だるくセンチメンタルなエレクトロニック・ポップ。