映画館もやってないのでタイトルだけ知ってて観たことのなかった巨匠映画監督の作品をあれこれ観ていた

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基本的にオレはただただドンパチしてるだけのIQの低い映画や観た後すぐ忘れるようなひたすらしょーもない映画を頭をボンヤリさせつつウヘヘ……とか半笑いしながら観るのが大好きな怠惰極まりない人間なのだが、時たま意味不明な向上心がメラメラと燃え上がり、「世界の名だたる巨匠の撮った素晴らしい名作映画を観ておかなければ!」などと思い付き、アマゾンでそんな映画のDVDやらブルーレイを逆上気味にポチッてしまう事があるのである。まあオレもちょっと見栄はってみたくなるんだよ!

ただそんな名作映画のディスクを買っても実際観ようとしたら案の定なーんだか退屈で全然観ることが無い。まあなにしろオレだしな。しょうがないだろ。で、そんな生活をしてると「観ていない名作映画DVD」がたっぷりと溜まり、それらのDVDジャケットを眺めながら「いったいどうすんだよこれ……」と暗澹たる気持ちになってしまうのである。

ところが昨今の新型コロナウィルス騒ぎで映画館が軒並み休業し、新作ソフトも発売されず、観たい映画は殆ど観てしまっているという状況が訪れ、そんな時に5月の連休が到来してしまったのだ。まあネトフリやらアマプラには入ってるのでそれらでしょーもないドラマでも観ていればいいのかもしれないが、実はオレはドラマってヤツが嫌いで殆ど観ないし、観てもそのあまりの薄っぺらさに辟易してすぐ観るのを止めてしまうで、全く役に立たない。

そこで思い出したのが最初に書いた「観ていない名作映画DVD」である。ああ、もういよいよこれを観るしかないのか……とオレは観念したのである。というわけで今日はそれらオレの部屋に死蔵されていた「観ていない名作映画DVD」の鑑賞記録を付けておくというわけである。なお、オレは映画的知識というのとはひたすら無縁の男であり、そればかりか映画的知識とかいうのを憎んでさえいる男なので、ここで書かれていることには何一つ有用な蘊蓄が無いばかりかひたすら軽薄かつ適当かつ的外れな感想しか並んでいないだろうことはお断りしておく。一言で言うならなんのタメにもならないアホ感想である(開き直り)。では行ってみよう!

サクリファイス (監督:アンドレイ・タルコフスキー 1986年スウェーデン/イギリス/フランス映画)
サクリファイス [Blu-ray]

サクリファイス [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/09/04
  • メディア: Blu-ray
 

ロシアの巨匠アンドレイ・タルコフスキーの作品。実際に観たのは随分前に購入したDVD版。物語は煎じ詰めると核戦争勃発をド田舎で知ったインテリ欧州人があとはもう神に祈るしかないんだ...…と己の信仰の在り方を掘り下げようとする話である。しかし実際観た感想としては、耶蘇教にかぶれた爺いが世界終末戦争の妄想に囚われ「終末を止める為にはマリアっちゅう娘といたさねば!」と勘違いして夜這いかけた挙句、気が付けば世界は終わってなんかいなくて「よし神様に捧げ物を!」とばかりに自分ち燃やして最後に救急車に連れてかれるという狂った物語、とオレには思えてしまった。あのなあ、祈ってないでモンスターマシンを駆ってガソリン求めてヒャッハー!するのが先決だろッ!?結局信仰に凝り過ぎたインテリ欧州人が理屈捏ねまくった挙句どんどん悲観的な事しか考えられなくなっちゃうって話に思えちゃうんだがなあ。ただし撮影はすんばらしく美しい。特に前半の一軒家の中のシーンではカメラがゆっくりと縦横に動きながら複数の登場人物がそれぞれに独白する場面を一人一人捉え、そのどれものシーンの構図が絵画の様にカッキリ美しくキマっている、という部分は息をのんだ。あと鏡を使って一つの場面に二つの視点を設けるとか驚かされたな。 

甘い生活 (監督:フェデリコ・フェリーニ 1960年イタリア/フランス映画)
甘い生活 Blu-ray

甘い生活 Blu-ray

  • 発売日: 2015/04/24
  • メディア: Blu-ray
 

イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニの最高傑作と謳われる名作。いやこれが実に複雑な風味の作品だった。なにしろ3時間余りある作品なのだが、確たる物語があるというわけではなく、ゴシップ記者を主人公としながら彼がローマの街を彷徨う姿を確信犯的にとりとめなく描いているのだ。しかしひとつひとつのエピソードに注視するなら、そこにはヨーロッパ上流階級の退廃と悲哀、喧騒と虚無が描かれ、ある意味非常にフェリーニらしい混沌とした作品に仕上がっている。ただし決して暗鬱な作品ではなく、可笑しみも愛も編み込まれ、それら全てが止まらないメリーゴーランドのようにぐるぐる回っている、そんな映画だった。ところで主演のマルチェロ・マストロヤンニ、モノクロ画面でも分かってしまう程に相当に仕立てのいいスーツ着てなかったか?さすがのイタリアものってヤツか。あとマストロヤンニの睫毛が異様にパチパチして見えたがやっぱりつけ睫毛だったんだろうか……。

バリー・リンドン (監督:スタンリー・キューブリック 1975年イギリス/アメリカ映画)
バリーリンドン [Blu-ray]

バリーリンドン [Blu-ray]

  • 発売日: 2012/11/07
  • メディア: Blu-ray
 

アメリカ出身、『2001年宇宙の旅』で知られる鬼才スタンリー・キューブリックの作品。 実際観たのはDVDで、しかも上下左右が黒縁になってるという仕様の画面だった……。さてキューブリック、さきの『2001年』や『時計仕掛けのオレンジ』、『シャイニング』に『フルメタル・ジャケット』、『博士の異常な愛情』あたりで有名な監督で、オレもどの作品も一通り観ているが、それ以外の作品となるとあまり取り沙汰されないんじゃないのか?この『バリー・リンドン』は18世紀欧州を舞台に1人の男の栄枯盛衰を描いた歴史モノなんだが、アカデミー賞4部門を受賞しているにもかかわらず、なんかこう地味な印象であまり食指が動かなかったんだよな。しかも3時間もありやがるんだよ。でまあ実際観てみると予想通りひたすら地味な内容でな……。ただこの作品、聞くところによると完璧主義者キューブリック時代考証からなにから一分の隙も無く作り上げ、あたかも当時の情景をそのまま撮ったかのように見せる為徹底的に自然光にこだわり、蝋燭の炎でも写るカメラを開発しちゃった、という伝説的な作品で、多分映画史的には相当重要であることは確からしいんだがな。とはいえ、やっぱり物語はやっぱり地味でなあ……なんかこう、いつもピザ食ってるような舌で高級とらふぐの刺身を食って繊細すぎて味が分からん、といった敗北感を感じてしまった……。

羅生門 (監督:黒澤明 1950年日本映画) 
羅生門 デジタル完全版 [Blu-ray]

羅生門 デジタル完全版 [Blu-ray]

  • 発売日: 2009/02/06
  • メディア: Blu-ray
 

世界に名だたる日本の巨匠、黒澤明監督作品。なんとデジタルリマスター完全版ブルーレイで観た。この『羅生門』、日本映画として初めてヴェネツィア国際映画祭金獅子賞とアカデミー賞名誉賞を受賞し、黒澤明や日本映画が世界で認知・評価されるきっかけとなった作品として有名でもある。原作は芥川龍之介の『藪の中』。物語は平安時代を舞台に一つの死体に関する3人の異なった証言を描きながら結局真相は藪の中、というお話である。こうして物語は客観的現実に対する主観的現実の食い違いを描くことにより人間心理が冒しがちな認知バイアスを浮き彫りにするわけなんだが、だからなんだというかそんなの当たり前だろというか、特に先鋭的なテーマとも思えなかったんだけれどなあ……。それよりも三船敏郎の野蛮さ全開のワイルドっぷりとか森雅之とのへっぴり腰のチャンバラとか京マチ子の妖しい鬱陶しさとか志村亮の分かったような分かってないような台詞とかそーゆーのに「へー」とか言いつつ観ておった。結局ヴァネツィア云々受賞というのも単に欧州白人の皆さんがプリミティヴなジャポネスク風味に「ヴラーヴォ!」となっただけなのではないか、と勘繰ってしまうんだがな。あと出演者の皆さんの平安時代だけど舞台俳優みたいな活舌の良いせりふ回しになんか違和感があったな。

■三人の女 (監督:ロバート・アルトマン 1977年アメリカ映画)
三人の女 [DVD]

三人の女 [DVD]

  • 発売日: 2012/07/11
  • メディア: DVD
 

アメリカ映画界の鬼才ロバート・アルトマン監督作品。『キャリー』のシシー・スペイセクと『シャイニング』のシェリー・デュヴァルが主演という段階で怪しさ百万倍の作品である。描かれるのは全篇不穏な空気に満ちた女同士の確執で、何が起こるって訳じゃないのに終始不気味な違和感と不安感に包まれているのだ。そして「3人の女」の3人目というのがこれが始終不気味な絵を描いているよく分からん人で……。実はこの作品、以前名画座で観てたいそうショックを受け、DVDで購入していた。しかしこうしてもう一回観直してみると、イケテナイ女( シェリー・デュヴァル)と度を越した天然( シシー・スペイセク)が織りなす居心地の悪いこの物語は、視点を変えると容易くコメディに変身し得るもので、つまりは「何かが……変!?」と不安を煽るところを「いやーしゃーねーなーアホやなー」と笑いに変える事が全然可能なのだ。それをこんな具合に怪しげに撮っちゃうのは監督ロバート・アルトマンの底意地の悪さなんじゃね?とちと思ったけどね。 

■毛皮のヴィーナス (監督:ロマン・ポランスキー 2013年フランス/ポーランド映画
毛皮のヴィーナス [Blu-ray]

毛皮のヴィーナス [Blu-ray]

  • 発売日: 2015/07/02
  • メディア: Blu-ray
 

ポーランド出身、『ワンス・アポンナ・タイム・イン・ハリウッド』でもその名が取り沙汰されたワケアリ監督ロマン・ポランスキーの作品。これはアマゾンプライムで観た。物語は舞台女優オーディションに来た女と脚本家の二人芝居となるが、この舞台演目というのが「マゾ」という単語の元になったレーオポルト・フォン・ザッハー=マゾッホの1870年の小説『毛皮を着たヴィーナス』を原作とした舞台だったんだな。物語はこの「マゾ」風味を漂わせながら二人の主従関係がどんどん入れ替わって行くというブラックコメディで、最後まで得体の知れない展開が続く様に引き寄せられた。ポランスキー作品って今まで幾つか観たけど、なんだかどれも微妙にイヤったらしい雰囲気、それは嗜虐的であると同時に自虐的な、つまりはSMな雰囲気が漂っていて、やはりこの監督つくづく変態なんだなーと納得ししつつ、そんな変態ぶりがとても気に入った。