令和孤魯那騒動後先 (れいわころなそうどうあとさき)

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ぶっは。

皆さんマスクしてますか。手洗いうがいしてますか。三密に気を付けてますか。外出は控えてますか。

実際の所、個人レベルでは、これら100万回位聞かされたことをただ粛々とやり続けるだけのことである。これしかやりようがない。だから無駄に不安になっても無駄である。ただ、日本は他の国と比べて感染者や死亡者が、なんでだかよく分かんないけど不思議なくらい少ない、ということだけがラッキーで、その分不安感は若干低いというのはあるが。陰謀論はいろいろ楽しませてもらったが、そもそもアレってェのは真面目に受けとると心が病むだけのものでしかないので、笑い話として聞かせてもらっている。

今回の騒ぎ(ホントは騒ぎで済まされるものではないがあえて矮小化する)で思ったのは、東日本大震災の時の放射能騒ぎだった。専門家ですら意見が割れ、デマが飛び交い、不安に駆られた人たちは極端な言説に走り、時として他者を攻撃し、パラノイアックな状況が続いた。オレもなんだか嫌な雰囲気だよなあと思いながら、やはりいったい何がどう正しいのか判断が付かず、結局辿り着いたのは「自分の信じたいものを信じる」でしかなかった。まあデマ流してた連中も「自分の信じたいものを信じてた」とも言えるわけだが、オレは自分の気性から、なるべく深刻ぶらず希望のある材料を、しかし注意深く信じることにした。それは今回も一緒だ。

買い占め騒ぎにも呆れたが、個人的にはティッシュもトイレットペーパーも品薄になった時期に一度も買う事がなかった。足りなくなったら節約すればいいだけの話じゃんか。食料だって結局は無くならなかった。東京都知事のアレが非常事態宣言をほのめかしたその日のスーパーは芋を洗うが如くのとんでもない混雑になっていたが、みんな何を慌ててるんだと呆れてしまい何にも買わずに帰って来た。あの日カップラーメンを鼻息荒くしてカートン買いした人は今そのカップラーメン食ってるんだろうか。ただオレはパスタを常食にしているのでスパゲティの品薄は流石にイラッときたがな。

この騒ぎではとことん引きこもるしかないのだが、もともと人間嫌いで雑踏が嫌いで友人が殆どおらず引きこもり体質のオレにとってはいつもの通り過ごすだけのことだ。とはいえ映画観に行けないのは辛いがな(白状すると非常事態宣言に関わる映画館営業自粛の前日に滑り込みで映画を観に行った。客はオレを含め二人だった)。あと外食できないのも辛いな(週一に外食して美味いもんをとことん食うのが楽しみだった)。旅行はたいした興味はないんだが、動物園に行ってカピやマヌルを愛でる事が出来ないのも辛い。なんだやっぱなんだかんだ言って辛いんじゃないか。

とまああれやこれや我慢しながらやはり粛々と引きこもる。休日はもっぱら洗濯と掃除に勤しみ、食料の買い出しをし、終わったら淡々とブログの下書きをこなし(これが意外と楽しい)、ようやく夜になったらメシを作ってビール飲みながら映画を観ている。その繰り返しだ。なんだやっぱりいつも通りじゃないか。とはいえ長く引きこもってると酒と煙草の量が増えて健康に悪いことは確か(ただしオレは酒好きではあるが昼間には絶対飲まないことを昔から自分に課している)。動かないからメシの量は少なくていいだろうということで一日2食、せいぜい途中で軽食1回、ということにしているので体重も増えない。むしろ減ったぐらいだ。それとあと、動かないで煙草ばかり吸っているので血圧が高くなってきた。これだけは今後の課題である。

ところでオレは現場作業員なのでリモートなんちゃらというのとは全く縁がない。自粛も非常事態も関係なく、いつも通りに出勤し、いつもと同じ仕事をいつも通りにこなしている。オレの実際の仕事は輸出入貨物の管理なのだが、2月の旧正月以降、中国がアレな状況だったためにガックリと輸入貨物が減り、ほぼ一ヶ月ぐらい事務所でインターネットのたわけた記事を鼻糞ほじりながらぼんやり眺めて過ごしていた。しかしそれも中国のアレが収束した段階で通常に戻り、通常に戻ったどころか今までの物量を取り戻そうと増加傾向となっており、今現在忙しすぎてヒーホーハーホーとかなんとか喚き散らしながら仕事をしている。なんといってもマスクの輸入が多い。コンテナを開けても開けてもまたマスクである。最初は喜んだもんだがこれだけ毎日大量に水揚げされるとそりゃあダブつくだろうなあと思ってたら案の定現在過剰供給状態らしい。

出勤が不安じゃないかと思われる向きがあるかもしれないが、まずオレは電車通勤をしていない。朝起きたらタラタラ歩いて会社の乗り合い乗用車のある駐車場に向かい、そこで同僚と一緒に現場に車で向かうのである。現場はなにしろ貨物倉庫なので、何人かの従業員もいるが限りなく人口密度が低い。実のところマスクをする必要すら感じない。人口密度が多いのは事務所だが、ここも5,6人しか常駐していない。こんな通勤状況と職場環境なので、日本で一番罹患率の高い東京に住んでいるにも関わらず、世間一般の人とはどうも危機感の在り方がズレている。

マスクと言えば会社から社員一人に付き50枚のマスク支給なんてのもあったな。たいした会社である。そもそも倉庫なので、もともとマスクは潤沢に常備してあり、オレは騒ぎの始まる前も後も一度も店舗で購入した事がない。さらに使い捨てないで洗って使っている。まあこれも2ヶ月ぐらい続けていたら毛玉だらけになるしケバ立った繊維が抜け落ちて呼吸と一緒に喉に入ってしまい例のアレよりも肺に悪いんじゃないかというシャレにならない状況になっている。マスクいっぱい持ってるなら取り換えなよ、と言われたのだが、そうじゃない、これはオレが負けるかマスクが負けるかの戦いなのだ(いったいなんの勝ち負けだ)。

結局オレがしようとしていたのは「日常感覚を死守する」ってことだった。これもやはり東日本大震災の時に思った。余震は続き放射能がどのような範囲で撒き散らかされどのような健康被害があるのかも判別付かず、否応なく不安にならざるを得ない状況ではあったが、表面上は慌てず騒がず何食わぬ顔でいつもと同じ毎日を続けようとした。それが精神状態を安定させるためにオレがやり続けようとしたことだった(だから全く不安を感じてないってことじゃなく、オレなりには不安だったことの裏返しでもある)。

そういや「マスクは買ってない」と言いつつ、実は一つだけ購入したものがある。ネットで見つけて「こりゃいいや」と思って個人輸入した。到着するのに一ヶ月掛かった。随分掛かったな、と思って送付先を見てみたらなんとラトビア共和国から届いたのらしい。ラトビア共和国ってどこだよ……。絵柄はリック・フレアーというプロレスラーが中指突き立ててる写真だ。オレはプロレスのことは皆目分からんが、まあキューバ革命を全く知らないのにカストロのTシャツ着ているような軽薄なセンスだと思ってもらえればいい。え、何に中指を突き立てているかって?そりゃもちろん新型コロナにだよ!FUCKIN’ COVID-19!!

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