ネズミとネコのはなし

今日はオレの大好きなネズミとネコの話をしたいんだ。ネズミとネコって言ったって「トムとジェリー」じゃないよ。というか「トムとジェリー」、子供のころは単にアニメだからっていうだけでいつも見てたけど、ブラックすぎ&サディスティックすぎて子供心にもあんまり好きじゃなかった記憶があるなあ。

カピバラとオレ

まずネズミの話からしよう。その名はカピバラ。ネズミというよりもネズミ目のげっ歯類ということなんだけど、体長最大130センチ以上まで成長する世界最大のげっ歯類なんだな。オニテンジクネズミなんて和名もある。

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カピバラについてはオレの日記でよく書いているから、オレのカピバラマニアぶりをよく知ってる方もいるかもしれない。日本でもあちこちの動物園で飼われていて、放し飼いにされているところも多く、直に触れられたりできるんだよね。オレと相方さんで年に何回かそんな動物園に出掛けて、思いっきりカピバラと遊んでくるのが恒例になっている。でもカピバラの毛って結構硬くて、触ってもハムスターやなんかから想像する様なモフモフ感は全然ないんだよね。

カピバラの魅力、というか好きな所は、なにしろいつも「ぬぼーっ」としている所かなあ。大人しいことは大人しいんだが何考えてんのか分かんなくて、とりあえずご飯食べて食べたらぼーっとしてその後適当に寝てしまう。なんかこう生き物として最高の生き方をしている。オレもこんな生き方をしたい。大きさ的に飼い犬に近いものがあるんだけど、懐くということがなくて、触っていても全く無視される事すらある。そのつっけんどんさもいい。

それと、カピバラのフォルムって若干とらえどころがないのが面白い。なんかこう、野生動物って何がしかのポイントがあるじゃないですか。角があるとかないとか、首やら鼻やら尻尾が長いとか、縞々だったり白黒だったりとか、長方形だったり丸っこかったりとか、そういう「一目見てその動物と分かるポイント」みたいのが。それと比べるとカピバラって、なんかこうポイントに乏しい。色は地味な茶色だし、体型はナマコみたいにドテッとしてるだけだし、鼻面は豚や猪みたいだし、全体的に「進化の途中でいろいろ面倒臭くなって投げ出しちゃった結果」みたいなフォルムをしていて、つまり不細工なんだよなあ。あと「尻尾が無い」というのも「ずんぐりむっくり要素」を多大に高めている。

でも、目は黒くて大きくて、おまけに睫毛が長いから、そこがとてもチャーミングに見える。いつも群れで行動しているので個体同士の関係を眺めるのも楽しい。動物臭が殆どしない、というのも気安く接することの出来る部分かもしれない。煎じ詰めると、カピバラって平和なんだよなあ。実のところ成獣と子供の上下関係とか厳しかったりするらしいんだけど、とりあえず、おしなべて平和。平和なカピバラを眺めてこっちも平和になっちゃうんだな。そこがカピバラのいいところです。(ちなみにカピバラ写真2枚はオレの撮ったものです)

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マヌルネコとオレ

いつだったか、相方さんにこんな(下の写真)ネコの写真を見せてもらったんだよ。そん時オレ、「うっわー!なにこの不細工なネコ!?こんな不細工なネコが世の中にいるの!?」と驚愕してしまったんだ。あまりの不細工さに、オレは「なんなの?なんなのこのネコは?」と気になって気になってしょうがなくなり、このネコの正体を調べ始めた。それが、マヌルネコとオレの出会いだったんだね。

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魅力満載!表情豊かなマヌルネコの愛くるキュートにズームイン! : カラパイア

マヌルネコ中央アジアや中国、ロシアなどの高地で生活するヤマネコの仲間だ。ネコ科の動物でも古い種に属するらしく、よく見るとまず耳が若干頭の下の方に付いていて、額も狭い。なにより特徴的なのは、瞳孔が他のネコのように細長くならず、まん丸いままだということなんだね。この「まん丸い瞳孔」のおかげで、他のネコと表情が違って見えるし、ある種人間ぽい表情にすら見えるんだよな。

最初に見た写真こそ不細工だったが、こんなふうに顔を歪めていないときは実にネコらしい気品のある顔をしている。そしてなにしろびっくりさせられるのが、このモフモフ具合!見てよ下の写真!もうモッフモフだよね!?マヌルネコは寒い土地に住むのでこれぐらいの冬毛を蓄えるんだが、夏はもうちょっと(ほんのちょっとだけ)シュッとしている。このモフモフ具合にオレはすっかりヤラレちゃったんだよ! 

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マヌルネコの冬支度 - 那須どうぶつ王国 Official Blog

「こんなモフモフなマヌルネコを抱いて思いっきりモッフモッフしたら楽しいだろうなあ……」と思ったりするんだが、実は、これが絶対に出来ないんだ。

それは、生息地が高地であることに起因するんだ。高地であるがゆえに微生物が少なく、そういった場所に適応しているからもともと免疫力が低くて、人間の住むような場所ではすぐに感染症に罹って生存が厳しいらしいんだ。だから動物園での飼育も難しくて、飼育員さんも相当に注意を払って接しているんじゃないかな。動物園での繁殖もやはり難しいみたいだけど、割と日本の動物園でもあちこち子ネコが生まれているらしいことは耳にする。こんなに可愛らしいのに触れることの出来ないネコ、それだけでもなんだか神秘的な感じがするよね。

それとこのマヌルネコ国際自然保護連合レッドブックに載っている、いわゆる近危急種/準絶滅危惧種でもあるんだ。「今のところは絶滅する危険性はないが、同じく絶滅の危険性のない低危険種と違って生息地の変化などがあると将来的に危急種に移行する可能性がある」ということなんだね。マヌルネコの数が減ってしまったのは、1900年代の毛皮としての乱獲、エサの減少が原因らしい。こんな可愛らしいネコが絶滅危惧種だなんて、オジサンとても胸が痛くなってしまう……(とはいえ、最近は数が増え始めているらしい)。こんな具合に、「触ることが出来ない」「絶滅が危惧される」という二つの部分で、このネコがなおさら気になってしまうんだ。

このマヌルネコ、数が少ないこともあって、日本でも飼育されている動物園がそれほど多くない。上野動物園にもいるけど、あとはちょっぴり小旅行か、ちょっとした旅行でもしないと見に行けない。見る方にとっても希少なネコなんだ。聞いた話だとロシアのノボシビルスク動物園にはいっぱい飼われているらしいんだよなあ。マヌルネコ見るためだけにロシアに旅行しちゃいたい……。

マヌルネコの楽しいポイントは、なんだか知らないけど動きがカクカクしている所なんだよな。警戒している時の動きなんだろうけど、これが全然ネコっぽくなくて、見ていてちょっと笑えてしまう。鳴き声は普通のネコより低いしゃがれた声で、これも可愛らしくない。体型もずんぐりむっくりだし、やっぱり少々不細工味がある。ブサカワってやつかな。そういやカピバラもいわゆるブサカワだし、どうもオレはこんな、ブサカワっぽい動物に興味をしめしちゃうのかもしれない。あー早くこんな緊急ナンチャラが終わって、伸び伸びとマヌルネコカピバラを見に行きたいなあ!

(おしまい)