ヘルボーイ最終章『ヘルボーイ・イン・ヘル:誰が為に鐘は鳴る』

ヘルボーイ・イン・ヘル:誰が為に鐘は鳴る/マイク・ミニョーラ

ヘルボーイ・イン・ヘル:誰が為に鐘は鳴る (DARK HORSE BOOKS)

血の女王との死闘の果てに地獄へと堕ちたヘルボーイは、忌まわしき血の絆を断ち切りながら煉獄に足を進める。だがその旅は、間もなく終焉を迎えようとしていた。その行き着く先とは…。1994年にスタートしたヘルボーイの物語を締めくくる「ヘルボーイ・イン・ヘル」シリーズ最終章。巻末には、ヘルボーイシリーズ全カバーギャラリー、原作者マイク・ミニョーラが日本の読者に向けて描き下ろしたメッセージを収録。

ヘルボーイが遂に最終章を迎える。 マイク・ミニョーラによるオカルト・ヒーロー・コミック『ヘルボーイ』シリーズは、この『ヘルボーイ・イン・ヘル:誰が為に鐘は鳴る』によって22年の歴史に幕を閉じるのだ。

ヘルボーイは『闇が呼ぶ』『百鬼夜行』『疾風怒濤』と続く”世界最終決戦3部作”において闇の軍団との壮絶な戦いを繰り広げ、その最期に命を落とす。その後の地獄に堕ちたヘルボーイを描く新シリーズは『ヘルボーイ・イン・ヘル』というタイトルのものだ。「地獄の子の地獄巡り」を描く新シリーズ作品『死出三途』で、ヘルボーイは自らが背負おう呪われた運命の糸を断ち切り、そしてこの『誰が為に鐘は鳴る』では、地獄における彼の最期の日々が描かれることになる。

漆黒の闇と虚無とが覆う地獄でヘルボーイはかつて彼が屠ったさまざまな魔物と出会う。それはあたかも走馬灯の如きエピソードの数々だ。そしてそれは彼の入滅の儀式でもある。現世に於いて魔族との凄まじい戦いを掻い潜ってきたヘルボーイだが、この『誰が為に鐘は鳴る』ではただ静寂があるのみであり、ここで彼が歩む一歩一歩が鎮魂と浄化へと向かわせるものなのだ。変な話だが、このクライマックス章『誰が為に鐘は鳴る』は、水木しげる大本尊の描く『河童の三平』のラスト、死んで魂だけになった主人王三平の死出の旅にも似たもの悲しさに満ちている。

とはいえ、ここまで「最期最期」と書き連ねておいてなんなんだが、実はこの後、新たなヘルボーイの活躍を描く『B.P.R.D.:ザ・デビル・ユー・ノウ』という作品が登場しているのらしい。なーんだよまだまだ続くんじゃんかよ心配させやがって!というわけでヘルボーイの戦いはまだ終わっていない。リブート映画作品も近々公開されることだし、またしばらくはヘルボーイの雄姿を拝むことができそうだ。

ヘルボーイ・イン・ヘル:誰が為に鐘は鳴る (DARK HORSE BOOKS)

ヘルボーイ・イン・ヘル:誰が為に鐘は鳴る (DARK HORSE BOOKS)

 
ヘルボーイ・イン・ヘル:死出三途 (DARK HORSE BOOKS)

ヘルボーイ・イン・ヘル:死出三途 (DARK HORSE BOOKS)