映画『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は究極のVRゲームだった!?

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル (監督 ジェイク・カスダン 2017年アメリカ映画)

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「『ジュマンジ』ってアレだ、ロビン・ウィリアムスが呪われたすごろくやったら宇宙に行っちゃうヤツだよね?」と思ってたんだが、調べたら違っていた。どうやら記憶の中で『ジュマンジ』と、同じ原作者の『ザスーラ』という映画がごっちゃになっていたらしい。ちなみに映画『ジュマンジ』は1995年作で『ザスーラ』は2005年作である。もうオレにとっては大昔である。思い出は雨の中の涙のように消えてゆくものなのである。

とまあその程度の記憶力で観に行った『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』である。予告編を観た段階では「ちょいとオコチャマ向けかなあ」とは思ったのだが「そういえばオレ自身も人間がオコチャマじゃないかようグヘヘ」という事実に気付き素直に観に行く事にしたのだ。そして実際観てみると、予告編の映像はまだ全然序盤のほうで、その後の展開が想像以上によく出来ててビックラこいたし楽し過ぎであったッ!楽しいからみんなも観に行くといいよ!

という訳でここからの文章は全部蛇足。

お話はなにしろ呪われたゲーム「ジュマンジ」の中に取り込まれてしまった少年少女の脱出劇である。ゲームをクリアできないと現実世界に戻れないのだ。おまけにゲームオーバー状態になると本当に死んでしまうらしい。この辺「リセット可能のゲームばかりやってると現実と向き合えなくなりますわよオホホ」とかおっしゃられていらっしゃる御高邁な皆様にあらせられましては是非ルドヴィコ療法でこの映画を100万回観ていただければよろしいのではないかと思う。

とはいいつつセーブもリセット技もできないとはメチャクチャ難易度の高いゲームであることも確かである。ゲーム『ディアブロ3』で言う所の難易度「トーメント」である。「トーメント」とは「苦行」という意味だ。しかも『ディアブロ3』だとこの「トーメント」だけで13レベルあるらしい。どんなゲームであろうと最低難易度の「イージー」や「ルーキー」でプレイし、クリアした後に「めっちゃムズかったけどやっとクリアできたね!」と誇らしげに語る似非ゲーマーのオレには既にして無理である。無理ゲーでありクソゲーである。

さらにゲーム「ジュマンジ」はVRゲームでもある。ヘッドアップディスプレイ付けてやるヴァーチャルリアリティゲームの事ね。そしてその中に入ったプレイヤーはゲーム内キャラクターを割り当てられる。アバターということですね。グラも高解像度だしフレームレートも最高。そんな意味で言うならゲーム「ジュマンジ」は実は現在プレイできる最新鋭のゲームと言えないことも無い。これで普通にいつでも現実に戻れる仕様なら完璧なんだがな。呪いのゲーム「ジュマンジ」を作ったのは誰なのかナニなのかは知らんが、呪ってなんかいないでアミューズメントパークでこのゲーム展開したほうがウケるし儲かるんじゃない?やっぱり呪いってよくないですね。呪いダメ絶対!

さてゲーム世界「ジュマンジ」に放り込まれ付与されたキャラにはそれぞれスキルや弱点が存在する。映画に登場する「フェロモン」だの「ケーキ」だのは楽しかったけど一発ネタで終わっていたのがちょっと残念だったな。スキルにしてももうちょっと細かかった方が楽しかったような気がするし、ファイターとか地図や動物のエキスパートとか荷物持ちとか、ゲームで言う所のクラス分けももう少し明確だともっと面白さを出せた様な気もするが、それだと2時間程度の尺ではとっちらかってしまうだろうな。

同様に、ゲームにしてはステージ数が少なく意外とサクサク進んでしまうように感じるのはやはり尺の問題だろう。もっと長けりゃいいってことではなく、飽きさせず観させるにはどうしてもこの尺なのかなあ、とも思う。あとは編集か。それと、この映画では主人公たちのドラマもきちんと描こうとしているので、そのバランスもあるのだろう。この辺の欲求不満(といっても重箱の隅です、映画のほうは大変満足)は近々公開されるある意味同様なゲーム映画『レディ・プレイヤー1』を観て解消するしかないか。

その主人公たちのドラマというのはいわゆる高校生の青春ストーリーな訳だが、こういったドラマにありがちな「負け犬/はぐれ者高校生の結託と起死回生」というのではなく、「それぞれが現実世界では混じり合うことのあまりなさそうなキャラクター」同士がゲーム世界で協力しあうことで「お互いの知られざる側面を発見しあい友情を育む」という部分が実は新鮮なんじゃないか。例えば現実とネットだとキャラが違ったりするがネットのキャラのほうが本人の本質により近く、そういった本質に近い部分のネットのキャラで知り合ったほうが和睦しやすいみたいな。ちょっと違うか。

どっちにしろこのドラマが、現実世界の高校生ではなくロック様やジャック・ブラック演じるどこかコミカルなアバターによって成立している部分が物語から青臭さや生臭さを排し、現実世界との落差といった部分やキャラクタービジュアル的にも楽しく親しみやすいものにしている。ガチムチのロック様は洋ゲーでは普通によくあるキャラね。露出の多い女性ファイター、ルビーはあれは最近映画公開された『トゥームレイダー』だね!それとジャック・ブラック演じるホントは中身が女の子の中年男性シェリー教授だ。このジャック・ブラックの熱演が映画の面白さを1割か2割、ひょっとしたら3割ぐらい底上げしているよね。


映画『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』新予告