(前回までのあらすじ)(もはやゲームレヴューでもなく単なる歳時記)(そもそもゲームレヴューじゃない)オレは疲弊していた。なぜなら歳だからである。ちょっとしたことで疲れるのだ。オマケに仕事も忙しい。最近なんて毎日残業2時間だぞ。1時間でも多いってぐらいなのに。疲れる。大いに疲れる。こんなに忙しくて疲れていたらゲームなんかやってる暇ないじゃないか。なにしろ仕事の疲れには酒が一番だからな。そんな訳で、いつものことだが酒に溺れる毎日であり、ゲームなんかしている暇などないのである。
しかしだ。年末のゲーム発売ラッシュというのが来やがったのである。この間の『Gears Of War 4』を皮切りに、『バトルフィールド1』『マフィア2』『タイタンフォール2』『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』さらにトドメとして『人喰い大鷲トリコ』が発売されるではないか。神よ、あなたはオレに何をさせようというのですか。オレは神に問うたのである。すると神はこう仰せられた。「ゲームしろ」。
という訳の分からない長い前置きは終わりにして『バトルフィールド1』である。FPSゲーム「バトルフィールド」シリーズはこれまで何作もリリースされてきたが、今回のタイトルが『バトルフィールド1』。どうやら今作が第1次世界大戦(WW1)を舞台にしているからのようだ。そういえばFPSでWW1というのは珍しい(今まで無かったのかどうかは不明)。昨今のFPSは第2次世界大戦(WW2)から現代戦へ、さらに未来戦へと進化し続けているが、ここへきてWW1というのはどうなのだろう。
しかしこのWW1が舞台というのは大当たりだったようだ。発売前に公開されたグラフィックや動画を観た段階からこれは成功だな、と思っていたが、実際プレイしてみてこれは確信となった。まず、WW1に登場する武器兵器というのが、非常に不格好で物々しく、逆にそれが禍々しい姿に見えてしまうのだ。それと併せ、WW2よりも馴染の薄い武器兵器ばかりなので、妙に新鮮さを感じるのである。そしてプレイして分かるのはその性能の悪さだ。ゲームでの銃は現実通りではないのかもしれないが、単発ライフルや装弾数の少ない銃などは使い勝手が悪く、逆にそれが緊迫感を生む。投擲弾も飛距離が少なくて敵にできるだけ近づかなくてはならない。
そして高性能武器が少なかった時代の、歩兵の数で圧倒しようとする戦略が生んだ、夥しい死体の数である。塹壕と鉄条網と泥濘に塗れた、陰鬱で荒涼とした戦場の光景である。そうした光景の中で繰り広げることになる戦闘は、異様さがいや増す。いや、戦場というのはそもそも異様なものではあるが、現代戦や未来戦に存在する玩具の様なスマートさとはその惨たらしさ、汚らしさといった点で一線を画している。
さらにキャンペーンゲームを盛り上げるのは実際の史実を基に構成された作戦に参加するということだろう。自分はこういった戦史には疎いのでこれらがどこまで再現されたものなのか知る術はないが、ゲーム的な脚色は当然あるにせよ、これとよく似た戦闘が行われていたのだな、と感じながらゲームプレイをするのは感慨深く、さらにその戦局が大国同士の利己的な決定によって覆されたり無に帰したりするのを知るにつけ、戦争の、そしてWW1の持つ不条理さを否応なく体験してしまうのだ。
特に「アラビアのロレンス」篇の、アラブの民として雄々しく戦い勝利した後に、最終的に英仏によって独立を反故にされた、という歴史的事実を突き付けられるのは、戦争の無情をまさに体験してしまったように感じさせられた。それと、今作、物凄くいいシーンで物凄くいい曲がかかる。この辺の演出も素晴らしいな。
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