凸凹刑事コンビの誘拐犯大捜査!〜映画『Dishoom』

■Dishoom (監督:ローヒト・ダーワン 2016年インド映画)


大会中のクリケット選手が誘拐された!それを追う刑事二人!しかしこの二人、水と油のような凸凹コンビでして……というアクション・コメディです。刑事コンビ役に『Dhoom』(2004)、『Housefull 2』(2012)のジョン・エイブラハム、『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』(2012)、『Any Body Can Dance 2』(2015)のヴァルン・ダワン。ヒロインに『Kick』(2012)、『A Flying Jatt』(2016)のジャクリーン・フェルナンデス。それとちらほらカメオ出演があるのでお楽しみに。監督は『Desi Boyz』(2011)のローヒト・ダーワン。

《物語》中東で開催されているクリケット大会の会期中、インドのトップ・クリケット選手ヴィラージ(サーキブ・サリーム)が誘拐された。しかし彼は2日後に予定されるインドとパキスタンとの因縁の対決となる試合にどうしても出場させなければならないのだ。インド当局は事件解決のために急遽スペシャル・タスク・フォースであるカヴィール(ジョン・エイブラハム)を派遣する。現地警察が捜査協力者として選んだ男は新人警官ジョナイド(ヴァルン・ダワン)。だが無口で強面のカヴィールとお喋りで腰の軽いジョナイドはなかなかそりが合わない。そんな中、事件の手掛かりを知る女ミーラ(ジャクリーン・フェルナンデス)の名が浮上し、二人はミーラの確保に乗り出す。事件解決の猶予は36時間、凸凹コンビは無事ヴィラージを救出できるのか?

シリアスだったり実録モノだったりする作品の多い2016年のインド映画ですが、ここに来てやっとインド映画っぽいお気楽アクション・コメディの登場です。いやあ、こういうのが観たかったんですよ!舞台となるのはキンキラキンのアラブの金満国家、ガチムチ男とにやけた兄チャンとの凸凹刑事、背後で蠢く陰謀、謎の美女、宙を舞うバイク、銃撃戦、大爆発、しかして全体的にはお気楽&ゆる〜い展開で、賑やかなダンス・ミュージックがのべつまくなしに挿入され、アラブの陽光は常にさんさんと照り、刑事二人は真面目にやっている筈なのになぜだか妙な目に遭ってしまう。でもそこに時々派手なアクションがドカーンと挿入されて、物語をピリッと引き締めるという訳ですな。数は少ないけど艶やかな歌と踊りのシーンも楽しいよ!

物語の中心となるのはなにしろカヴィールとジョナイドとの掛け合いの様子。カヴィールはとにかく暴力的で自己中心的な野蛮極まりない男。一方ジョナイドは一見おちゃらけ野郎に見えつつ、口八丁手八丁で事態を切り抜ける要領のいい男。「力の1号・技の2号」というか力のカヴィールと技のジョナイドといった感じ。たいていの局面では、力任せに突き進んでコケてしまうカヴィールの横で、ジョナイドがシレッとした顔で事態を収めてしまう。この正反対のキャラが次第に協力し合い、最後には力を合わせて敵を追いつめる!……というのはバディ・ムービーのお約束ですが、だからこそ安心して観ていられるんですよ。そんな男臭くなりがちなドラマに美女ミーラが絡んで華を添える、なんてところも王道でしょう。ハリウッド映画に例えるとジェイソン・ステイサムとジョセフ・ゴードン=レヴィットのコンビにミーガン・フォックスが絡んでくる、みたいなビジュアルかな?

さらにこの作品、カメオ出演者が多数出演して何かと嬉しい。どんな俳優かはお楽しみの為に秘密にしておくけど、インド映画じゃお馴染みのあのAKさんはあろうことかゲイっぽく登場するし、唇の魅力的なNFさんはなんと水着で登場して眼福の限りだし、中堅どころながら印象深い作品に多く出演するPCさんはアイテム・ガールとして楽しい歌と踊りを披露だね!こんな具合に至れり尽くせりで肩の凝らない娯楽作品に仕上がっているんですよ。まあ練りに練ったシナリオの大アクション作って程ではないし、大味っちゃあ大味なんだけど、気楽にサクッと観られるスカッとしたセンスの良作ということはできるんじゃないかな。