- リドリー・スコット監督による旧約聖書「出エジプト記」の映画化!というか半ばチャールトン・ヘストン主演の『十戒』のリメイク!であります。
- 『十戒』のほうはまあ、割りと面白く観ました。実はその時同時に『ベン・ハー』も観たんですが(レンタルビデオでね)、同じキリスト教絡みの作品にもかかわらず『十戒』のほうが馬鹿馬鹿しくもまたスペクタクルしていて、一方『ベン・ハー』のほうは説教臭くて思ったほど楽しめなかったのを覚えていますね。
- しかし232分ある『十戒』と212分ある『ベン・ハー』を一緒に借りて観ていた当時のオレは相当暇ぶっこいていたのであろうと今にして思いますなあ…。
- で、その『十戒』(「出エジプト記」でもいいけど)を今更なんでまた映画化なの?と思う訳なんですよ。
- 去年はダーレン・アロノフスキー監督で『ノア 約束の舟』なんてぇ映画が公開されていたじゃないですか。んでまた旧約聖書物語なわけでしょ。ハリウッドってホントもう題材ないのか、それとも保守主義や原理主義の皆さんがハリウッドで幅効かせはじめてんのか、な〜んてよく知らないくせに思ってみたりもするわけですよ。
- だから「ノアの箱舟やって出エジプト記やって、次はバベルの塔?ソドムとゴモラ?それとも天地創造?」などと適当なことを思い浮かべてたりしておりました。
- でまあ『エクソダス:神と王』なんですが、映画的に言うと『キングダム・オブ・ヘブン』で十字軍を好き勝手に描いたリドリー・スコットが引き続き「出エジプト記」で好き勝手やってみました、という映画みたいなんですね。
- だって主人公モーゼの神託は岩で頭打ったせいでこさえた幻覚かも?な〜んて新展開を見せてるんですからね。
- だからエジプトの皆さんが大変な目に遭っちゃう「10の災い」もクライマックスの「割れる紅海」も「いや〜皆さん散々だったとは思いますが、たまたま自然現象が重なっただけかもしんないし!」となってる上に、一緒に観ていた相方さんが言ってたけど「十戒の石版、神様から授かるんじゃなくてモーゼが自分で彫ってんじゃん!?」ということになってるわけなんですよ。
- そういった意味では保守主義でも原理主義でもなく「なんかキリスト教チックな歴史スペクタクルやったらウケるだろうし儲かりそう!でも不可知論者のフリしてるほうがカッコイイから抹香臭いのはナシでね!」とかいうリドリー・スコットさんの商売上の鼻の利き方が優先した映画ではないのかな、という気がしましたね。
- そんなですから評論家にはウケは悪いし熱心なキリスト者から批判だらけにもかかわらず結構なヒットを飛ばしてるみたいじゃないですか。
- そもそもリドリー・スコットって『エイリアン』や『ブレードランナー』みたいな名作はありますけれども、その後の作品にはヒット作・凡作含めてそれほど強い作家性を感じないんですよね。だから好きか嫌いかと言われたら好きな監督ではありますが、観る必要ないな、と思えるような作品も結構あるんですよ。
- ただ映像作家としてはやはり抜きんでたものがあって、どの作品でもそれは大きく表れますが、特にこういった歴史スペクタクルでは非常に分かり易くその才能が生かされていますよね。金の掛け方とかね。
- だからこの『エクソダス:神と王』も「エジプトスゲエ!10の災いスゲエ!紅海割れるのスゲエ!」と大体の方は観られてるだろうし、オレもそんなふうに観たし、まあ、それでいんじゃね?という作品ではありましたね。
- それにしても(神様がいたとして)、ユダヤの神様怖すぎ。それに対してエジプトの神様なにやってたの?という気がしないでもありませんでした。
http://www.youtube.com/watch?v=SAb5kpVZD-w:movie:W620