馬鹿鍋食った

馬鹿の馬鹿たる馬鹿的な馬鹿を料理した馬鹿料理、その名も「馬鹿鍋」というのがあるらしいと聞き、馬鹿の中の馬鹿を目指すオレとしてはこれを見逃す手はない、とばかりにその馬鹿の真髄を食べに行くことにしたのである。まあ要するに馬肉と鹿肉を使った鍋である。その他にも馬肉を使った料理があれこれあるらしい。
場所は横浜市野毛にある『浜幸』。桜木町外れの気取らない飲み屋街の一角にある店だ。お店にたどり着くと馬鹿ばか馬鹿と馬鹿の文字がそこここの看板に踊る実に愉快な佇まい。
 
店の中は手狭だが実に居酒屋らしい居心地のいい雰囲気。早速生ビールを頼みお通しの馬もつをつついてみる。
 
同じく馬もつを炒めた信州名物「おたぐり」。

馬肉の刺身はあれこれとあったが、どれもそれなりにいい値段がする。その中で「たてがみ刺し」というのがあったので頼んでみた。出てきたのは真っ白なお刺身。口に入れて噛んでいるとうっすらと脂肪の甘い味がしてくる。はまちやなにかの脂の多い魚の刺身の味に似ている。「たてがみ」という名前通りどうやら本当に馬の首筋の脂肪のお刺身らしい。これは美味しかった。

そしていよいよ「馬鹿鍋」。右半分、もみじの形の麩が乗ったのがもみじ肉こと鹿肉、左半分の桜の形の麩が乗ったのが桜肉こと馬肉。鍋の味付けはすき焼き風であったが、お店によるとこの鍋のタレは『馬鹿たれ』ということらしかった!

ちなみにどうして鹿肉をもみじ肉、馬肉を桜肉というのかちょっと自分用にメモをリンクさせておこう。

桜肉 
馬肉は別名「桜肉(さくら肉)」とも呼ばれますが、この由来には諸説あります。馬刺し肉をカットして空気に触れた時にきれいなさくら色になるから、という説がひとつ。そして桜の咲くころ、4月から5月にかけてが一番おいしいからという説。つまり夏の青草ばかりを食べた馬の肉は水っぽくてうまみがなく、逆に冬の間干し草や殻類を沢山食べ、肥えて脂がのった肉は美味しい!・・という事です。また江戸時代の童謡に「咲いた桜になぜ駒つなぐ」というのがあり、そこからきているという説もあります。

もみじ肉 
鹿肉は隠語で「もみじ」という。これは百人一首にある猿丸太夫の歌「奥山にもみじ踏み分け鳴く鹿の、聲きくときぞ秋は悲しき」から出たものと思われる。肉食を禁止されていた僧侶などが隠語として用いた。

関係ないが調べていたら鶏肉のことをかしわと呼ぶ理由もあった。

やきとりの歴史『にわとり』の語源について 
さらには関西方面では鶏のことを「かしわ」といいます。これも色から柏の葉を連想させたという説と、鶏の羽ばたきが「かしわ手を打つ」姿と似てるという説。もうひとつ朝廷の中に「膳部(かしわべ)」という料理方の部署から由来するという説もあるそうです。

あと猪肉=牡丹肉というのもあれこれ俗説があるらしく、花札由来とか薄く切って皿に盛った様子が牡丹のようだから、とか言われているようだがはっきりしない。

脱線したが「馬鹿鍋」、馬と鹿両方のお肉の味を堪能できて大変美味しゅうございました。全然けもの臭くなくて食べやすかった。そもそもあれこれ食べてみたけど馬肉って牛や豚よりもけもの臭くない。鍋のあとにはしっかりうどんもいただきましたよ。
その後”カイピリィニヤ”なるブラジルの蒸留酒を飲みながら「馬ソーセージ」なども食してこの日はお店を後にしました。なぜ馬鹿料理店にブラジルの酒が…と不思議に思って店内を見回すとなぜかサンバカーニバルの写真が…ああ益々分からない…。信州名産を得意としたお店らしく「蜂の子」や「いなご」もあったけどこれはパスしたのであった!
  

馬鹿鍋 浜幸

〒231-0064 神奈川県横浜市中区野毛町1-24
TEL:045-231-0070

《おまけ》

帰り道ぶらぶらしてたら「福音喫茶」なるものを発見。きっといっぱい福音しているのに違いない!?