ゲット・スマート (監督:ピーター・シーガル 2008年アメリカ映画)

■懐かしのTVスパイドラマ

この『ゲット・スマート』は60年代にアメリカのTVドラマとして人気を博した『それ行けスマート』の映画化作品ということらしいですね。オレはこのTV番組は観た記憶が無いんですが、同時期に製作されていたTVスパイ・ドラマ『0011ナポレオンソロ』ならなんとなく覚えがあるんだよなあ。多分時期的に映画化作品のほうの記憶だとは思いますが。

『ミッション・インポッシブル』というタイトルで映画化されシリーズものにもなった『スパイ大作戦』ならTVでリアルタイムで観た覚えがあります。「おはようフェルプスくん」というアレね。自分は小学生頃でしたが、スパイ映画の大将であった『007』シリーズと合わせて、子供心にスパイもののドラマというのはカッコ良くて好きでしたね。あの頃《スパイ・セット》なんていうオモチャが出ていて持っていたんですが、ちょっとした宝物でしたよ。

■スパイ・コメディあれこれ

スパイ映画でコメディというと沢山の作品がありますが、やはり『オースティン・パワーズ』が一番有名でしょうか。『ミスター・ビーン』のローワン・アトキンソンが主演した『ジョニー・イングリッシュ』なんて映画もありましたね。シュワルツェネッガーの『トゥルー・ライズ』もコメディ要素のあるスパイ物でした。

この『ゲット・スマート』のように男女ペアのスパイ物というとアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ ピットが主演した『ミスター&ミセス・スミス』がありましたし、ユマ・サーマンが主演した『アベンジャーズ』なんて映画もありました。こっちはコメディというわけではありませんでしたが、男性エージェントがとぼけた性格で女性スパイ・エージェントがメッチャ美人、というところが『ゲット・スマート』と共通していて、『ゲット・スマート』の公開が決まった時には『アベンジャーズ』みたいな雰囲気の映画かな?と思っていました。

■スマートはおとぼけスパイ

さて映画のほうですが、TV作品と同様にスパイ・コメディとして作られたドラマです。主人公スマートを演じているのが『40歳の童貞男』のスティーブ・カレル。真面目腐った顔でとぼけた行動をとり周りから顰蹙をかう、というのが定番のギャグのようです。相棒であるヒロイン、"エージェント99"を演じるのが『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ、これが実に美人ちゃんでついつい見惚れてしまいました。

脇をザ・ロックから改名したドウェイン・ジョンソンザ・ロックのまんまでよかったような気がするなあ)、テレンス・スタンプ、ジェイムズ・カーンなんて所が固めております。さらに小悪人の役で『ボラット』で小汚いカザフスタン・プロデューサー役だったオッサンが出ていて、なんとなく可笑しかった。それと、知らなかったんですが、原作TVのほうはメル・ブルックスが絡んでいたんですね。

■軽快な笑いとアクション

冒頭からなんとなくスベリ気味のギャグが続き、最初は「大丈夫なのか?」と思わされましたが、物語が進行するにつれ固さもほぐれてきて、中盤からは軽快な笑いとアクションで飛ばしてゆきます。秘密兵器や悪の秘密結社など、このテのスパイ・コメディの定番がまぶされ、新鮮さはさほど無いのですが、安心して見られる作品になっているのではないかと思います。

ただ映画の尺が若干長めなので、もう少しシェイプアップしてもよかったかな。後半のアクションは非常にがんばっていて楽しめましたが、敵役がそんなに悪逆非道に見えない上に強烈なキャラクターを持っているわけでも無いので、善玉とのコントラストに乏しく、スティーブ・カレルの活躍ばかり目立ったのもちょっと残念。やっぱりこういったコメディだったら悪役には主役を食っちゃうぐらいのアホアホ振りとエグさが欲しかったかも。そういった意味ではちょっと優等生的に仕上がっちゃったコメディだったかもしれません。

■ゲット・スマート 予告編


■ゲット・スマート オリジナル・ポスター集